猫耳のクラスメイトと焼餅を焼く犬耳メイド
人は皆不平等だ。
それ故に個性があり特徴があり、バランスがとられている。
私は、それなりに裕福な生まれで其れなりに才能があって学校に通えた。
学校は様々な種族の人達がいて凄く偉い階級のまるで雲の上の人もいる。
そんな学園の街に私はいた。
白い猫耳と尻尾を揺らし、はねっ気のある茶髪に青い眼をしている半獣種族猫耳尻尾科が私だ。
学校に比較的近い寮の一つに籤で入寮できて、放課後はレストランのウェイトレスをしている。
光霊魔法の第七種魔法学部に通っていて、将来は故郷で診療所を開けたらいいなって思っている。
私の隣の席には半森守種族の女の子がいます。
名前はシロエール・ヴァイスカルトさん。
入学式で魔法科の代表で挨拶をしているほどの凄く優秀な人でとても可愛い。
白い肌で少し病弱さんなのか今日も学校を休んでいる。
以前授業中に別の本を開いていて勉強ができるから授業をまじめに受けないなんてってむすーってなった。
でも、書いている事は凄かった、無属性魔法で使えない属性の魔法を使えるようにするとか色々な事を走り書きしていたのだもの。
先生に後から聞いたけど既に中級もマスターしているんだって、やっぱり凄い子なんだ。
そういえば、初等科新聞で有名ギルドが誰かにぼこぼこにされるって記事が載っていたっけ。
あちこちで噂になっていて、入ろうかと思っていた男子が別の所にいくとか話していた。
シロエールさんが学校きたら教えてあげようかな?
「うぷ……気分悪い」
「お嬢様大丈夫ですか?」
ベッドで背中を擦られるシロエール。
記憶改竄は精神系でも上位クラスで、26人分は可也精神的に消耗してしまった。
マナに余裕はあっても精神面はまだまだ未熟だった。
そのせいで、起き上がると眩暈がするほど疲れきってしまったのだった。
「エクレールの尻尾ふわふわ…」
もふーっとエクレールの尻尾を抱き締めるシロエール。
一瞬、ビクッと震えたけど嬉しそうにもふられ続けていたら、腰に手を添えられそのままベッドに引きずり込まれてぎゅーっと抱き枕にされる。
「ぬくい…」
「わふっ…お嬢様エクレールはぬくいですか?」
シロエールはぬくいぬくいと言いながら耳を撫で撫でしたり、尻尾をもふもふして疲弊した心に癒しを貰っていた。
シロエールに撫でてもらう度に、尻尾を振り、喜びを表す彼女はまさに犬だった。
昔はメイド見習いで中々上手くいかず、家族はもういないエクレールは時折ベッドの中で泣いていた。
その事に気付いたシロエールは時折彼女と一緒に添い寝してあげていた。
自分の命を救ってくれた女の子。
魔法の知識を覚えの悪いに私に毎日丁寧に教えてくれたお陰で誰も使ったのを見た事が無い不思議な雷鳴魔法を使えるようになった。
彼女を友人だと言って優しくしてくれて、自分の主人である女の子にエクレールは崇拝に近い恋慕をしていた。
エクレールの世界はシロエールを中心に回っている。
彼女がとても大事にしていてくれているのは分かっていても、外の子を専属しないかとか実は猫派で犬は好きじゃないとか色々不安を抱えていた。
シロエールが寝付いたのに気付くと、そっと抱き返し額に内緒の口付けをするのだった。
そして自分も、うとうと眠りに入るエクレール。
良い夢が見れそうだなぁと子供っぽい笑顔で眠りにつく。
学校から帰って来たアカネに見られて、今朝はお楽しみでしたねとからかわれた。
次の日、大分回復したシロエールは学校に通う。
「いやー、昨日はシロがいないから通学大変だったよー」
「偶には良いんじゃないですか?」
「でも、結構遠いですし」
鍵魔法を前提に遠くに拠点を置いたので確かに不便だった。
2人と別れた後、教室の前に立つシロエール。
まだ、学校が始まって間もないのに休んじゃうと目立ったかなぁ。
ゆっくりとドアをあけ、ごきげんようと少し小さい声で挨拶しながら教室へ入っていく。
皆、シロエールを見るとおはようございます、おはよう、と声をかけてくれる。
ただ、少し距離があり親しくなる方法が浮かばないシロエールだった。
軽いため息をついて席に座ると予想外の事が起きた。
「あ、あのシロエールさんおはよう、昨日お休みしていたけど大丈夫?」
「え、えっと、え、ええ今はもう大丈夫なのです―確か」
「ミルク・ブレンダだよ」
そう、隣に座っているミルクさんだ。
彼女が話しかけてくるのは初めてで緊張するのです。
「ミルクさんですね、うん、覚えました、もう大丈夫なのです」
「えへへ、宜しくねっ」
にこーっと笑う彼女の笑顔に少し安心しこちらもにこっと微笑み返した。
休み時間中にあるギルドが惨敗して記事になったことを聞かせて貰った。
うん。それ、私達がやりました。
ミルクさんはしっかりものでとても勉強熱心だった。
近くにより、授業中も中々理解できず困っている内容を教えてあげたりした。
彼女とのやり取りを見た他の生徒が、休み時間に質問しにきてくれた。
「え、えっとそのですね」
沢山の視線にくらくらしているとミルクさんが、病み上がりだからシロエールさんも困ってるよと助け舟をだしてくれた。
良い人なのです。
「すみません、あまり人の視線や囲まれるのが不慣れなもので…」
「あ~、やっぱりお嬢様って感じするもん」
ミルクさんはだよねーだよねーうんうんと頷く。
友達になれそうだなーと思い、少し嬉しくなった。
お昼休みに誘われたけど待ち合わせをしていると伝えたら。
「あぁ、だから何時もすぐに出ちゃうんだねー」
「ごめんなさい、でも誘ってくれてありがとうございます」
「ううん、いいよまた今度一緒に食べよう」
彼女と別れて、二人の下に向かう私。
今日は何時もと違うのですよ。
何時もの場所で食事をとっているとご機嫌な私に気づいたのか二人が首をかしげる。
「今日はクラスの人達とお話したり友達になれそうな子ができましたのです」
「おー、よかったじゃない」
「お嬢様がボッチ脱却はいい事です」
さりげなくボッチって言われた気がするけどきにしないでおくのです。
「えっとですねワーキャットのミルクさんという方が隣の席なんですけど、とても親切で」
「へー、お隣さんが良い子でよかったねーシロ」
「猫…」
あ、またエクレがぷるぷるしてるのです。
そういえば、猫に過敏に反応するなぁ。
「お嬢様を誑かす泥棒猫は隣の席と」
ぶつぶつ、と呟きだすエクレールを見て二人は思った。
エクレールってヤンデレ要素があったんだなあ。
最近うちのメイドの様子がおかしいんですが。
「ギルティです」
「エクレール、ノットギルティ」
「何でそんなに猫が嫌いなので?」
犬と猫ってそんなに中が悪いのだろうか。
むーむーと膨れっ面でコッチを見てるので仕方ないので撫でてあげると機嫌が直った。
最近構ってあげてないのが原因なのでしょうか?
「あー、そういえば昔に狼王と獅子王の伝説ってあったね」
「狼王と獅子王ですか?」
アカネが言うにはヘルメス自由連合では束ねる種族を決める為に内戦が今でも続いてるけど特に500年前の獅子王アイオーンと狼王フェンリルの戦いは凄いものだったらしく、そのせいか今でも犬と猫科は仲が悪いらしい。
「昔の話だけど、まぁ犬と猫は派閥争いというか似たような事例は知ってるよー」
「んー、私としては仲良くして欲しいのです」
撫でられるのに夢中で会話にはいってこないエクレールをころりと転がしお腹をくすぐる。
服従の証だそうで、アカネが撫でようとすると元の姿勢に戻る徹底振り。
「エクレール」
「何でしょう、お嬢様」
「私の専属メイドは貴女だけだから安心してください」
その言葉をきくと膝に転がりこりすりすりと甘えてくる。
背丈ばかり大人っぽくなっても私たちと変わらない歳なんですよねえ。
むしろ私たちより子供っぽいところがあるのです。
「シロは愛されてるねー」
「そうですね、アカネも撫で撫でしてあげましょうか?」
「私はシロを撫でる側かなー」
アカネが私の後ろに回りぎゅーっと抱きしめてきた。
暖かい気候に暖かい人肌、少し涼しい風。
流石にちょっと暑いのです。
午後の授業は受けずに買い物にでかける。
空き部屋にでっかいベットを置こうとアカネがいいだしたのです。
お店の特注品で10人くらい寝られる大きなベットというのがありました。
店員さんに聞いてみるとハーレム形成してる人がよく頼んでるらしいのです。
ハーレムって言葉にアカネがほほう、と目を光らせ購入しちゃった。
私は別に構わないしエクレールも喜んでいたからいいのかな?
お店が比較的近かったのでそのまま運搬してもらうことになった。
荷馬車に乗せて移動し、どうやって部屋に入れるのだろうと思ったら。
「我の言葉に従いし植物と大地に精霊よ、かの物体を動かしたまえ」
どうやら大地魔法の上級の人が担当をしているらしく、壁がまるで生き物のように横にずれ、風乱魔法の人がベッドを浮かばせてゆっくりと設置していった。
こういった日常生活の使い道は『知識』にはないので素直に関心したのです。
今日の夕食は無駄に豪華で食べ切れなかったのです。
エクレールは分かりやすいなぁと思いつつお風呂も3人で入るのが恒例となっている。
「やっぱ広いから皆で入るほうが楽しいよねー」
「確かに一人よりは楽しいかもしれませんが何かもったいなくないですか?」
「問題無いと思いますよ」
アカネは体をあらいあったりする時少し照れくさそうにする。
自分からやろうって何時も言い出すんですけどね。
エクレールは念入りに尻尾とかも洗ってあげるとへなーっとなってしまうのでお風呂でぐったりするのが日常風景になってます。
で、大きなベッドになったわけですが。
これだけ広いと一人一人、大の字で寝れるなぁと思いきや。
「おやすみー」
「お休みなさいませ」
「おや…すみ?」
左腕をアカネが抱きしめ、右腕をエクレールが抱きしめてくる。
二人の吐息が両耳にあたるし、やわらかい感触が腕にくるし、何か緊張して寝づらい。
慣れるまで私の寝不足は続いたのです。
祝・ぼっち脱出




