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【どや顔】

「名雪さんって、写真取ると絶対どや顔しますよね」

「え、どういうこと?」

デジカメを名雪さんの前に持ってきて、写真を拡大する。

「こういうことです」

画面いっぱいにじつに見事などや顔が映しだされている。

「はぁ」

「あれ、反応悪いですね。自分では意識してなかったとか」

「や、そうじゃなくて、どや顔って何?」

え、そこから説明しないとだめだった?

「あ、えーと、まぁ、一言で言うとこういう顔のことです。どやーみたいな顔してるでしょ。」

「ん?そもそもどやーってなに?」

小首を傾げる名雪さん。

「え、どないなもんやーみたいな感じで」

「???」

名雪さんの頭の上にはてなマークが見える。

やばい、完全に理解してない。

「えっと、つまりキメ顔みたいな……」

「あ、ドラ顔のこと?」

ドラ顔?言い間違えだろうか。

「ほら、丈助がドララララッララララ!!ってスタンドで攻撃してる時の顔でしょ。あれキメ顔だもんね」

「ジョジョは関係ないです! しかも、なんで丈助!? 4部限定じゃないですか! つーか、ジョジョから持ってくるならオラ顔でしょう!」

「や、だってそれだと1文字もかぶってないじゃん。さすがに強引すぎるよ」

あはは、冗談よしてよみたいな顔で言う名雪さん。納得いかない。

キメ顔から丈助持ってくる時点でかなり強引だと思う。しかも、冷静に考えたらべつにドラドラやってる時とかキメ顔してねーし。

「あ、ドラえもん顔のこと?」

「ドラから離れて下さい!」

むしろ、ドラえもん顔ってなんだ。単に顔でかいやつじゃないか。

「スモールライトとビッグライトはペアで買わないと危険だよね」

「戻れなくなっちゃいますからね!」

このままほっておくとドラえもん談義から抜けられ無くなりそうだから、方向修正を試みる。

「本気でどや顔知らなんですか? 最近はサミットまで開かれてるそうですよ」

「なんか茨木くんの話聞いてる感じだと、『どや』って関西弁でしょ? 私出身愛媛だもん」

「西だし! 大阪近いし!」

「四国は島なんだよ」

「日本も島ですけどね!」

「流されて藍蘭島」

「脊髄で喋らないでください!」

くそ、この人完全にネタを喋りたいだけだ。『どや』の謎を解き明かそうという気がまるでない。

「ともかく、島国出身の先輩にもわかるように言うとですね。なんかやった時にすごく上手くいった時に『どうだ!凄いだろう!』っていうのが口に出してなくても、顔でわかる時ってありますよね?」

「ごめん、そこは『どうだ!』の部分を伊予弁にしてくれないとわかんない」

「なんで!? 普段、思っきり標準語しゃぺってるじゃないですか!」

というか、名雪さんの伊予弁など聞いたことがない。

「まぁ、『どうだ!』」の部分が関西弁では『どや!』なわけで、そういう時にする顔の事をどや顔という訳です」

ようやく、説明をする事ができた。なかなかの達成感だ。まるで10kmマラソンを完走した時の様だ。

名雪さんをみると、腕を組んで何やらうんうんと頷いている。

よかった、どうやら理解してくれたらしい。

「うん、どや顔ことはよくわかったよ。ねぇねぇ、ところで茨木くん」

「なんでしょうか」

「どや顔って一気に広まったと思わない? 発祥と言われてる松本さんもここまで全国区になるとは思わなかっただろうね」

「はい?」

「そのうち、同意語のしたり顔も使わなくなったりしてね。それにしても、川越シェフほどのどや顔は私にはできないことがわかったから、もう写真には普通に写ることにするよ。慣れないことはするもんじゃないねぇ」

えーと、これは、つまり

「最初から、知ってました?」

「うん」

「……名雪さん」

「なにかな?」

「今すぐ俺に謝罪して下さい」

「てへぺろ(・ω<)」

「ざけんなやあぁぁああああああ!!!」

ちくしょう。ホントにふざけんな。

てへぺろとか、可愛すぎだろ。

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