性的暴行
こんなことが自分の身に起こるなんて、思いもしなかった。 性的暴行。
「あはは、あははは。私、一体何がいけなかったの? 先生に告白したこと?」 一人の女子生徒が、乱れた衣服のまま教室の床に座り込み、泣きながら、そして笑っていた。
「ねえ、あなた、襲われたことある?」 彼女は傍らに立つ黒い服の女性に尋ねた。
「いいえ。ごめんなさい、私には生前の記憶がないの……」 68号が答えた。
「記憶がないなんて、いいな。私も今の記憶を消したい……あはは、無理よね。」 彼女は泣き笑いを浮かべた。その姿は、見るに堪えないほど悲痛だった。
ほんの少し前、彼女は教師から暴行を受けた。
きっかけは、彼女が教師に告白したことだった。彼女は先生が好きだった。だが、こんなに早く関係を持ちたいとは思っていなかったし、先生の暴挙を止めることもできなかった。
先生が彼女にキスをした。彼女も嬉しくて、それに応えた。 だが、体はゆっくりと机に押し付けられ、ズボンを脱がされ、下着までも剥ぎ取られた。 そこで初めて彼女は異変に気づいた。抵抗しようとしたが、先生のキスによって助けを呼ぶ叫びは封じられた。
「私、少し嬉しいなんて思っちゃったの。頭がおかしくなったのかしら?」
「……悪いのはあの教師よ。あなたは何も悪くない。」
「でも、今もまだ先生が好きだなんて。私、本当に狂ってるわ。ははははは!」
68号は何も言わず、ただ瞳を閉じた。 黒い瞳から一滴の黒い涙がこぼれ落ち、床に黒い渦を形成した。
「たとえ先生を許したとしても、自分自身のことは許せない。」
「いいえ、彼を許す必要なんてない。あなたは自分を許すべきよ。」
68号は歩み寄り、女子生徒の衣服を整えた。その姿が少しでも惨めでなくなるように。
「ありがとう……ところで、あなたは誰?」
「私は案内人。人々の魂を救済へと導く者よ。」
「ああ、噂の魂を連れ去る女の子? 私から死の気配が漂っているのかしら?」
「その通り。今のあなたは影に覆われているけれど、それでも魂はこれほどまでに純粋で無垢だわ。」
「私の魂が純粋? もう汚されてしまったのに、どこが純粋なのよ。……あの渦に入れば、連れて行ってもらえるのね?」
「ええ……」
「ありがとう。最後に、身なりを整えてこの嫌な世界を去らせてくれて。」
彼女はそう言い残すと、黒い渦に足を踏み入れた。 消えゆく瞬間の最後の微笑みは、胸を締め付けるほどに切なかった。
今度は、教師の番だった。 教師は懺悔の念に駆られ、学校の屋上に立っていた。固く閉ざされていたはずの扉が、再び開かれた。
「人間のクズ。飛び降りたければ、さっさと降りればいいわ。」
「私は間違っていた。抑えられなかったんだ。あんなに可愛い教え子に告白されて、欲望を抑えきれなかった。」
「だからクズだと言っているのよ。何か言い返せる?」
「その通りだ、私はクズだ。死んでお詫びをしなければならない。」 教師は数歩前へ踏み出し、フェンスに近づいた。
「だったら早く死になさいよ。」
「君は、噂の魂を連れ去る女の子かい?」
「どうしてどいつもこいつも同じことを……。あなたに苦痛のない死なんて相応しくない。飛び降りて全身の骨を砕いて、のたうち回って死ねばいいわ。」
その時、68号の右目から涙がこぼれ落ち、地面に白い渦を形成した。
「えっ、どうして?」
68号は必死に足で白い渦をかき消そうとした。だが、また必死に白い涙がこぼれ落ちる。彼女は何度も何度もそれを繰り返した。
「どうしてあなたのような人間が救済を得られるのよ!」
「すまない、すまない……」
「白々しい真似はやめて。あなたはただのクズよ!」
「本当に、本当に申し訳ない……」
68号は再び目を閉じ、やはり白い涙がこぼれ、地面に白い渦を作る。 彼女が再びそれを足で消そうとした時、駆けつけた67号がそれを制止した。
67号が駆け寄り、68号を数歩後ろへ引き寄せた。 彼女が生み出した白い渦を、これ以上消させないために。
「冷静。」
「先輩、どうして止めるんですか! こんな奴、黒い地獄に落として虚無に変えて、永遠に魂を苦しめるべきです!」
「職。」
「68号、落ち着け。お前は案内人としての本分を見失っている。このままでは今の職務を解かれるぞ。」 帽子が言葉を継いだ。
「それがどうしたって言うんですか。自分がどうなろうと構わない。この男には報いが必要なんです! 苦痛のない死を望むなんて、厚かましすぎる!」
「ぼく!」 67号が強い口調で言った。
「えっ?」
「きみ!」 67号は68号を力いっぱい抱きしめ、その腕の中から彼女を逃そうとしなかった。
「先輩……」 68号はわっと泣き出した。
「よよ。」
教師はただ、傍らで謝り続けていた。
「あなたを好きだったあの子は、さっき渦の中へ入っていったわ。もし本当に彼女を愛しているなら、あなたも同じように渦へ入りなさい。」 68号はようやく冷静さを取り戻し、職務を遂行した。
「ああ、わかった。」
教師は迷うことなく白い渦の上に立ち、ゆっくりとその中へ沈んでいった。
67号はただ68号の背中を撫で、傷ついた彼女を慰めた。多くを語ることはせず、静かに寄り添った。 人のいない屋上には、二人だけが残された。
「先輩、あなたがどうしてこんなに学校の屋上が好きなのか、分かった気がします……」
「そうか?」
「でも、私とは理由が違うんでしょうね。先輩は、いつもどこか変ですから……」
67号は心の中で、68号が01号のいるモガディシュへ送られないことをただ願っていた。あそこは感情を磨り潰してしまう場所だからだ。
案内人として、過度な感情を抱くことは許されない。だが、それは持ってはいけないものでもない。捨てるくらいなら、最低限の感情は残しておくべきだ。仕事の邪魔にならない限り。
職務を解かれれば、虚無へと還される。魂が救済されたとしても、それが何だというのか。 この世界でより多くの魂を救い、より多くの感情を見届けること。それこそが、この仕事がもたらす唯一の恩恵なのだから。
おそらくは。
「よよ。」 彼女は68号の頭を撫でると、その場を立ち去った。 一人屋上に残された68号は、自分を惑わせる迷宮からゆっくりと出口を探し始めた。




