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はじまり

その日、空からは小雨が滴り、辺りには肌寒さが漂っていた。肺腑に吸い込む空気は冷たく、思わず身震いするほどだった。


道行く人々は皆、厚手の上着やズボンをまとい、うっかり風邪をひかぬよう警戒している。


しかし、一人の少女は違った。


彼女は防寒帽を被り、黒いマントを羽織っているだけで、中には黒い半袖とミニスカート、そして黒いショートブーツという出立ちだ。少女は校舎の屋上にある手すりの傍に一人座り、真下で生徒たちがぞろぞろと校門をくぐり、教室へ入っていく様子を眺めている。彼女の存在に気づく者は誰もいない。


彼女は、まるで校内から漂うその沈鬱な雰囲気を楽しんでいるかのようだった。


「学校、行きたくないな……」 「宿題忘れた、どうしよう……」 「……はぁ、朝からテストだ。」 「……」 「いっそ死んでしまいたい……」 「今日は数学か、あーあ、面倒くさい。」


様々な心の声が、あたかも実際の音になったかのように、一つ一つ少女の耳に届く。彼女はそれを細やかに聴き入った。


「67号、仕事の時間だぞ。」


頭に被った防寒帽が、校内の様々な心情を聴き入っている少女に、不意に声をかけて促す。


「わか。」


少女は簡潔に二文字で帽子に応じた。


「こんなに朝早くから仕事か。一体誰が、朝っぱらから生気がないってんだ?」


「老人。」


67号は再び帽子に答える。


右が黒、左が白。まるで世界の色彩を吸い取ったかのようなオッドアイを持つ少女――67号は、手すりから軽やかに飛び降りると、その黒いマントに導かれるようにして目的地へと向かった。

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