[64話]これは家族を失った少女が復讐に生きる話
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私は世界の希望をルヴァンシュに乗せた。この一撃は世界を守るか滅ぼされるかが決まる。私は絶対に負けられないと思い体中に強化をかけた。憎しみ100倍、呪い100倍合わせて10000倍。今私ができる最高の強化だった。
私に眼から血が流れ落ちる。それだけ私は無理をしていた。けれど隣にはフェンがいる。それだけで私は頑張ることができた。私は必ずこの手で決めなければならない。
「お前を……ここで倒す!これは世界の人の祈りと希望だ!あなたが決して壊すことができない、人が生まれた時から持ってるもの」
「どれだけ人の想いを乗せたところで、私が手に入れたこの最強の力の前ではいかなる力も無力になることを知れ!」
相手も私を滅ぼすために力を貯め始めた。大気が渦巻く、あたり一面が暗闇に包まれる。けれど私の刀だけは暗闇の中唯一光を放っていた。
「お前は……罪を犯し過ぎた!だからこそ、私はお前を裁く!我の名はイシュディア……!神の代わりに裁定し、罪を犯したものに天罰を与え、この世の中で悲しむ人に手を差し伸べることをするために私は復讐を遂げる!」
「祈りよ……星となりて、我が敵を……世界の敵を排除し、世界に安寧をもたらせ……
——星輝爆裂」
私はそう言い放ち、ルヴァンシュを振り下ろした。斬撃は化け物に飛んでいき、あと少しで直撃しそうなときに、化け物は溜めていた力を解放した。
「この私にただ民衆の祈りだけで勝てると思っているのか!そのちっぽけな力で何ができる!」
「あなたを……倒すことができる!私は……この力であなたを倒す!」
私はそうは言ったものの、完全に力は互角で硬直してしまっていた。けれどその均衡を破った人がいた。
「おいおい……俺がいることを完全に忘れてるんじゃねえだろうな……こんな大役イシュディアだけに任せるわけがないだろ!我は望む……我が敵を拘束し、我の敵に青薔薇を咲かせろ……!咲け……青薔薇よ!」
フェンそう言った瞬間氷織の先から青薔薇が咲き始めた。青薔薇は化け物の体に巻きつき始め、一瞬にして敵を固定してしまった。
「なっ……この私が押されている……だと……バカな……ありえない……私はこの世の誰よりも強い力を手に入れたんだぞ……私が負けてにいはずがない……奇跡を、奇跡を起こしたとでもいうのか……!」
化け物は自分が死ぬ間際になった瞬間に急に饒舌になった。けれど私は相手の"奇跡"という問いには明確な答えがあった。
「奇跡は起こすものではない。誰かが祈ったからと言って起きるものではない。けれど誰もが一つの目標に向かって努力をした時にだけ、人の前には……大きな力が現れる。それが奇跡というものだ!」
私はそう言って攻撃の出力を上げた。私の攻撃の余波に耐えられなくなったのか私の事をずっと守ってくれていたお面が壊れた。けれど私はそんなのも気にせずに相手に攻撃をおしこんだ。
「ありえない……この私は負けるなど……あってはならないのだァァァアグァァァァア」
化け物は悲鳴混じりの叫び声を上げながら光に包まれていった。私が目を開けるとそこには大きな化け物もいない、ただ半壊した王都が映っていた。私はすべてが終わったことを確認した瞬間、安心と疲労で気を失いかけ、広げていた翼が崩れ落ち私は地面に落下した。
(私はここで死ぬんだ。)など馬鹿なことを考えているとフェンが私のことをお姫様抱っこで抱えてくれた。
「お疲れ様……今はゆっくり休んで、休憩してくれ。終わったよ全てだから安心して眠れ。"おやすみ"」
私はその言葉を聞き安心して瞼を閉じた。私はやり遂げた、もう復讐に生きた少女はもういない。
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「んん……ここは……って!あの化け物は!」
私は勢いよく飛び起きた。けれどあたりは何もなく聞こえてきたのはただの笑い声だった。
「イシュディア……面白すぎるだろ……お前もう戦いは終わったんだよ。お前が終わらせてくれたんだ。だからお前はもう戦わなくていいんだ」
「イシュディア……君は本当に無茶をするよ……最後の10000倍なんて体が壊れても文句言えなかったんだからね……」
「ごめん……ごめん。けれどあそこしかあの化け物を倒すことはできないと思ったからね。」
私は少し困ったように頭を書きながら言った。体はどこも痛くないしそれどころか体は少し軽かった。最近ずっと戦闘続きであまり眠れていなかったからかも知れない。
「それはそうとして……イシュディア……ついにやったね。腐った王を討伐することが出来た。フェン……カーテンを開けてみて」
私は少し首を傾げながら開けられたカーテンの外を見た。そこには沢山の王都の住人がいた。
「君は最初の契約の時僕に革命を起こしてこの国を変えると言いたよね。つまりは後始末も君がやるってことだ。今玉座は空いている。君はそこに座るべきだ」
ルヴァンシュはそう言って窓を器用に刀を動かして開けた。窓を閉めていた時は何も聞こえなかったが、開けた瞬間たくさんの声が聞こえてきた。
「イシュディア様万歳!イシュディア王万歳!」
「女性の王の誕生だ!建国記念日にしよう!」
「我々の英雄王万歳!」
外からは私が王になったと言っている人ばかりだった。けれどもう逃げられる気はしなかった。
「イシュディア……こんだけの人がお前のことを慕ってくれてるんだ。覚悟を決めて王様になっちまえよ」
「主人は王になるべき器を持っておられる。きっとうまくいくと思います!我々もサポートさせていただきます!」
セイバーもフェンもそう言って逃げるのを防いできた。どうやら覚悟を決めないといけないらしい。私は窓へ近づいて大きく息を吸った。
「私はこの世界を破壊する可能性がある化け物を討伐した。けれどその化け物の正体は王だった!今は玉座は空いている。私はこの王都を再生するべく、その玉座に座ろと思う!反論のあるものはいるか!」
私は大声で王になることを宣言した。けれど周りから反論の意見は出なかった。私はもう一度息を吸い込んで叫んだ。
「反論がないなら私は玉座に座る!私の名前は……イシュディアではなく、⬛︎⬛︎⬛︎……いや、私の名前はエルス……私の名前はエルスだ!」
私はイシュディアになる前の名前を叫んだ。私の両親は私に希望を意味するエルスを名付けていてくれた。私はもう悲しむことはない。これかは誰もが幸せに生きることができるようにする必要がある。私は心にそう誓った——
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——5年後
「お母さん、なんであそこに刀が4本飾ってあるの?」
「それはね……フェンと私があなたを産む前に使ったからその名残として置いてあるの。今でも腰に下げて使うことがあるからね」
「お父さんとお母さんの昔の話って……?」
「そうね……私とお父さんが出会う昔の話はわからないけど……お母さんの昔話ならできるわよ。」
「聞きたい!お母さんってこの王都を救った英雄なんでしょ!昔の話が聞きたい!」
「わかった。じゃあこれは……ある家族を失った少女が悲しまないために復讐に生きる話——」
NOCHESです。2ヶ月間投稿した作品が終わりました!頑張ったのでぜひブックマーク登録、感想、評価お願いします。それでは、また次の作品を書いたときにはよろしくお願いします!




