[59話]ある研究者と少女の記憶
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スカーレットは自分の強さを見つけた日から約3週間がたった。
スカーレットとその兄は新しい研究に取り組んでいた。それは過去数多くの研究者たちが挑戦し失敗例しか報告されていない研究———
「感情式エネルギー供給装置」
これは人間が持つ負の感情をエネルギーに変える装置だった。昔に怨霊はマイナスのエネルギーから来ていると1人の研究者が報告した。その報告を聞いたある1人の研究者がこの装置を思いついたのだった。しかし過去に作られた装置はすべて暴発し、辺りの人を巻き込み爆発してしまった。
今回はそのリーダーにスカーレットの兄がそして副リーダーにスカーレットが就任した。私は全ての人に被害が行かないように安全確認のためにその場所にいた。
「今日は感情式エネルギー供給装置の試運転と観測データをとることです。この実験には未来のエネルギーの不足などの問題を全て解決する可能性があります。皆さん頑張っていきましょう!」
スカーレットの兄がそう演説をして実験が始まった。
「異常部分ナシ!」
「プログラムのバグ無し!」
「供給装置……起動!」
そう言って1人の職員がボタンを押した。その瞬間装置は形を変え、回路に水色の光が流れ始めた。その光が黒く濁りきっている装置の中に組み込まれた核のようなものに接続された瞬間に電気が生まれた。
その電気は一つの大きな電球を光らせあたりを照らした。電球が光ったことでスカーレットの兄が口を開いた。
「よしっ!第一段階は成功だ……油断はするな……いつ暴走するかわからない。第二段階へ移行する!」
そう言った瞬間に水色の光ではなく紫色に光に変わった。水色の光よりゆっくり回を進み核にたどり着いた。その瞬間電球が先ほどより強く光り輝いた。先ほどの水色の光より発電している電気の総量がとても多いようだった。
けれど……スカーレットは全ての情報が映し出されているモニターを見ながら呟いた。
「……この装置、出力値が少し跳ねすぎてる。安定領域に収まっているけど、発電量が一定じゃなくてランダムに変わってる」
スカーレットの兄がそのモニターを覗き込んだ。これは非常にまずい事態だった。今は安定して発電できているがもし安定領域を外れてしまうと暴発してしまう可能性がある。
「この人が作り出した電気ではなく雷を発生させて作り出した電気は違うのか。なぜこのことが起きるのか……?」
そこに白衣を着た少女セリアが近づいてきて眉を寄せた。
「これは……私たちが予期していない現象……これ以上実験を続ける判断はお兄さんにあるけど……どうする?実験を続ける?」
これ以上続ければもし暴発した時に被害が出るのは免れない。しかしここで終わらせれば全ての実験を終えることができない。スカーレットの兄が選んだのは、
「……続行だ。しかしすぐに危険だと感じた場合はすぐに全てを止め、ここから脱出する。次の実験を終わらせればこの装置の試運転は終了だ。第三段階へ移行する!」
そう言って合図をすると回路に水色と紫色の光が混ぜ合わせたような光が出てきた。第三段階は1と2で行った実験で使用した光を両方とも混ぜ合わせてそれを回路に流すという実験だった。
スカーレットは端末の前で数値を見るが、違和感は消えない。
「兄さん、やっぱり——」
「分かってる。スカーレット、観測を続けて」
兄の声は落ち着いていた。セリアが全体に向けて指示を出す。
「制御班、負荷チェック開始。演算班、更新履歴をリアルタイムで追跡」
第二段階の実験より数値は安定していた。しかしスカーレットの胸のざわつきは消えなかった。
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「数値が上昇を始めました!このままだとすぐに安全圏を突破し、暴走する可能性があります!」
モニターを見ていたスカーレットが全員に聞こえるように言った。しかし今電源を落としてももう安全圏を超える前に実験を終わらせることは不可能だった。
「安全圏を超えます……注意してください……安全圏を超えます……注意してください」
装置がそう喋り出した。スカーレットの兄はほとんどの職員を外に出し強固な扉を閉めさせた。スカーレットと兄とセリアは装置を止めるために今ある知恵を働かせた。
「セリア……電源を落としてみた!そっちの状況はどうなってる!?」
「私の方は電源からの電力は0ってなってるけど……今生み出してる電気の量が多すぎて……回路を止めることができない……」
「プログラムのデータと観察データは全て写してある!お前らももう逃げるぞ!」
そう言った瞬間だった。核が光に包まれ亀裂が入り、次の瞬間に部屋の中にあった機械などが全て吹き飛んだ。
「大丈夫か……!」
兄はスカーレットの方に駆け寄り倒れている弟の体を起こした。スカーレットの服が真っ赤に染まっていた。兄がすぐに服を破り体を確認した。けれどスカーレットの体は無事だった。
「セリア……!下半身が……!」
セリアはスカーレットと兄を爆発から守り、お腹から下の体がなかった。
「2人とも……大丈夫だった……?」
セリアは口から血を吐きながらそう呟いた。2人がセリアの体を心配していると煙の中から1人の声が聞こえた。
「……あぁ、久しぶりにこれだけの電気を食ったなあ……お前らが俺のことを生み出してくれたのか……俺の名前はエネ……怨霊だ」
この実験は負のエネルギーを使う。その負のエネルギーが集まり怨霊を作り出す可能性は0ではなかったのだ。2人がそのことに気づき絶望しかけていると、スカーレットの耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
「お困りのようだね……スカーレット。君は将来ものすごい研究者になると言う約束をしたじゃないか……ここで死んでもらっては困る」
スカーレットが後ろを見るとそこには1人の美少女が立っていた。
「私の名前は……イシュディア。君の未来を守るために来た……神の使いだよ———」
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私はそ言って三人の前に出た。2人は逃げれそうにないし、1人は下半身がないという重症だった。私はとりあえず怪我人の治療が先だと思い、氷織を掲げた。
「青い薔薇」
エネという怨霊の足元から青い薔薇が生え、体に巻き付いた。どうにかしてエネが氷を砕こうとしているが、この氷は砕くことのできない氷。何をしても無駄だった。
「お前っ……これをほどきやがれ!」
「お前は、治療の邪魔だから少し黙ってて」
私はそう言ってセリアの元へ駆け寄った。私はルアタイルの過去で人の体を治す方法を理解していた。だから私はセリアへ手をかざし、私の力を少し分け与え始めた。
「セリア……死ぬな!研究者になることを約束したじゃないか!死なないでくれ!」
やはり人の願いは奇跡につながるのだろうか。ルアタイルと同じようにこの言葉がトリガーだったようにセリアの体が回復し、セリアの体は元に戻った。
「スカーレット……セリアは今は寝ているがいつか目を覚ますだろう。私は今からあの怨霊を討伐してくる。それまで君が……セリアを守るんだよ」
私はそう言ってエネに向かい合った。私が指を鳴らすとエネに巻き付いていた氷が音もなく砕け散った。
「お前……よくも俺のことをコケにしてくれたな……人間風情が……怨霊の俺に勝てると思ってんじゃねえよ!」
そう言ってエネは体に電気を纏わせながら私に攻撃してきた。しかし、その攻撃は遅すぎた。エネの攻撃は今まで戦ってきた敵の中では一番足が速かったが、それでも私より遅かったのだ。私はその攻撃を見切り最小限度の動作だけで攻撃を避けた。
「なっ……この攻撃を避けるだと!」
「あたりまだよ。だって……君遅いもん。あと……人間風情って言ってたよね……私はあなたと同じ……怨霊だよ」
私はそう言って全身に身体能力強化をかけ、ルヴァンシュに手を置き相手の首元に近づいた。
『怨呪一閃』
私はそう言ってエネの首を刎ねた。私はその瞬間視界が光で包まれた———
NOCHESです。
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