[48話]研究者の裏側
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イシュディアが怨霊討伐に向かっている最中、街のある一角で___
王都の中で死刑囚の1人が牢を脱走し、街の中を逃げ回っていた。警察はそのことを危険に思い、1人の調停者を派遣するようにお願いしていた。
「なんで、こんな薄暗いところを犯罪者たちは好むんだろうかねえ。さっさと任務を終わらせて日が当たるところに帰りたいんだが…指名手配犯はどこにいるんだよ…」
俺は調停者の任務のために犯罪者が逃げ込んだ『研究者』スカーレット・ナイトローズの研究所に訪れていた。ここはとても薄暗く、そしてどこか不気味な気配が漂っていた。
「炎織…明かりをつけてくれ…」
俺はそう言って、炎織に火を灯しそれを頼りに、研究所を探索していた。気配を辿ってみると地下の場所に生命反応が一つあり、それが犯罪者だと分かった。
「どうやって…地下に行くルートがある…?スカーレットに尋ねようとしても、今日に限ってなぜかいねえしよ…」
部屋の中に隠し扉などがあり、その中にもしかしたら地下に続く扉があるかもしれないため、一つ一つの部屋を探索する必要があった。
「なんだ…この部屋は…なんでこんな血生臭いんだ…?」
俺が『調理室』という名前が書いてあった一つの部屋に入るとそこには血のようなものは見当たらないものの…なぜか血生臭い匂いが漂っていた。この匂いは一体どここから…?
俺はとりあえず…気配を探ってみると…地下に続く通路はないが…なぜか一箇所だけ地下収納のような四角の穴があった。俺はそこを開けてみると…そこには大量の人骨が入っていた。
この人骨が血生臭い臭いの元だと俺は気づいた。もともと肉がついていて、それが腐り落ちてそこに溜まっていってる…見ているだけで、吐き気がした。俺はそっと扉を閉じ見ていないことにした。
「研究所っていうのは…研究をするところじゃなかったのか…?なぜ…こんな人骨が大量にある…?」
「おかしいよ…この研究所…私が気配を探ってみたけど…どうやら…この研究所…一つの部屋に確実に人骨がある…まるで…人体実験をしていたみたいに…」
氷織がそう俺に言ってきた。俺より気配を探るのが上手な氷織がいうなら…本当にそうなのだろう。俺はさっきの人骨を見ると吐き気がするので確かめたくなかったから、かなりありがたい。けれど、本当に人体実験をしていたら、何をするんだ…?
「あ…あと、地下への入り口だけど…見つけたよ。ここから、三つ先の部屋の棚の下の扉の奥に空間があって、そこからはしごが伸びてる…けれど、気をつけてね。ここは研究所だから、武器になりそうなものは大量にある。」
俺はそれを聞いて、すぐにもう一度牢獄に入れるためにすぐに言われた場所へ向かった。
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「なんで…こんな所を知ってる…?なんでこの場所が存在しているんだ…?」
俺は色々な疑問に残ることはあったが、とりあえず任務が第一だと思い…一番下へ降りていった。はしご下にあった気配はもう地下の一番下の場所へ移動していた。俺は相手に向かって一直線で進んでいった。
「ここに…いるってことか…」
そこは、どこよりも禍々しくそして、重い雰囲気を漂わせていた。俺は直感でこの先にあるものはただものじゃないということを感じ取っていた。
「開けるぞ…」
「キィイィィ」と音を立てて開いた扉の向こうには死刑囚が1人立っていた。一本の瓶を持って———
「来るんじゃねえ…そこから一歩でも近づいたら…俺がこの薬を飲むぜ…!」
俺は…その一本の薬について知っているところがあった。その薬は…俺がイシュディアとカナルディアの地下で見た…人を簡単に怨霊化させる薬にそっくりだった。
「お前…まさか…それは…怨霊化の薬か…!?お前がなぜそんなものを持っている?」
あの薬は全て俺とイシュディアが処分したはず…カナルディアの製造方法を知っていた人たちも全て…死んだことを俺たちは確認した。なのになぜ…!?
「俺は…元ここの研究者だからな…こうなったら全てを教えてやるよ…どうせここのことを知られたら全てがわかるんだからな…」
そして、相手は俺を怒らせるに値する話をし始めた。この研究所の歴史について…
「元はここの研究所は風邪などに効く特効薬を作るために作られた研究所だったんだ。昔は薬一つで救える命が大量にあったからな。けれど、それは次第に崩れていった。」
死刑囚が話している雰囲気が変わり、表情には怒りが見えてきていた。
「今の王様に変わった時だ…今の薬を製造するのをやめていいということを伝えられた。お前にはなぜだか…わかるか…?」
「まさか…怨霊化の薬か…!?」
「ご名答。王様は俺たちに向かって、人を怨霊化させる薬を作れと言ってきた。俺たちは最初は反発したさ。けれど俺たちは家族を人質に取られた、そして『研究者』という名目で俺たちの監視を置きやがった。俺たちは…薬を作ることしか許されなかった。そして俺たちは薬のレシピを作ることができた。1人を犠牲にすることで作ることができる薬をな。」
「薬を作ることになった経緯は俺は理解できた。けれど、なぜカナルディアは…薬の製造方法を知っていたんだ…!?そのせいで、カナルディアは街が半分消し飛ぶという被害を負ったんだんだぞ…」
俺は相手に近づこうとしたが、相手が薬を口の中に入れる素振りを見せたため俺は地下づこくことができなかった。
「カナルディアには、王が直接伝えたよ。カナルディアはすぐにでも戦力を増やしたかった。王は新薬の実験がしたかった。その提案はさぞかし素敵なものだっただろうよ。だから、あの街でもこの薬が流行ったんだろ。」
俺は王へ今まで感じたことがないくらいの憎しみを向けていた。俺は思った。『こいつだけは許してはいけない』ということを俺がこの国の中枢を破壊する。もうこれ以上被害を出さないために。
「ありがとうな…もうお前は黙っていい。お前はもう用済みだ。
氷織…狂い咲け…我の敵を捕まえ…その体を拘束せよ…
我が望むのは…全てを包み込む氷の薔薇…咲け…青薔薇よ…」
俺がそう唱えると死刑囚はその場に凍り、倒れ込んだ。俺は任務完了を報告するために、帰ろうとすると氷織が俺を止めた。
「フェン…この先の扉を開けてみて…なぜか…大量の憎しみを感じる…」
氷織と炎織が1人で俺の鞘から抜け出し、戦闘態勢を取った。俺は恐る恐る、その扉を開けるとそこには大量に積み上がった箱とその中には…
俺がさっき見た…薬の瓶が…10000個以上はあった———
NOCHESです。
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