[47話]信じたかったものと信じているもの
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「魔王軍は…秩序を保つための軍だ…」
ライトルト・オルターは私に向かって、衝撃の事実を言い放った。彼は私の故郷を滅ぼした…魔王軍を秩序を保つためといった。
けれど…魔王軍に家族を破壊された過去を持っている私はその話を理解できずにいた。
「なぜ…秩序を保つためならば…!何…も…何も奪う必要なんてないじゃない…!だったら…なんで…」
私は話しているうちに私の家族と捨てたはずの過去を思い出し…そして…目から暖かい水がこぼれ落ちた。もう思い出さないと決めていたのに…相手の話を聞いていると封じていた過去が鮮明になった。
「この国はもともと…戦争が絶えない国だった。」
「けれど、100年前に戦争は終わり、平和な世の中が戻ってくると皆は信じていたが、戦争が終わると次は…内乱が起こった。内乱を鎮めているうちに、新しい内乱が起き永遠とそのループを繰り返しているだけだった。」
「そんなの嘘だ…!もし魔王軍が内乱を止めるために作られたのだったら………まさか…」
私は学校の歴史の授業で100年目に戦争が終わったことや、数年単位で内乱が起こっていたことを思い出した。けれど、ある一つのことも思い出した。
内乱が起こらなくなったのは30年前…その30年前に…初めて魔王軍というものが結成されたということを。
「気付いたみたいだな…魔王軍が結成されたのは…30年前だ。その年には…3つの都市が魔王軍によって破壊されている。その理由がお前にはわかるか…?」
私はなぜ、魔王軍で都市を滅ぼすことで内乱を防ぐことができるということにつながることがわからなかった。けれど、その理由がいいものではないということを直感で気づいた。
「3つの都市を破壊されたことで、他の都市はこう思った。」
「『次は自分たちの番かもしれない』とな。自分たちの守るべき国民や、家族などを守るために都市の奴らは次々と同盟を組んでいった。お前は知らないのか…?この30年間で結ばれた同盟の数を…その数は100以上だ。」
私は同盟など学校で習わなかったことを聞かれて、ある一つの疑問を思い出した。ある年を境に都市同士の戦争が明らか減った年があったことを思い出した。
(あれは…先生は偶然だと言っていたけれど、もし同盟だとしたら…)
「人間っていうのは単純なんだよ。一つの勝てない大きな敵を目の前にすると誰もが手を組んで、その一つの強大な敵を倒そうとするんだよ。怨霊だけだったら抑止力にならなかった。だから魔王軍が編成されたんだよ。」
「その秩序を保つためだけに…なぜ一つの都市を滅ぼすのを繰り返したの…!ただ一つの街を破壊するだけでいいじゃない!」
「俺たちのあるお方は慎重でな。魔王軍がいなくなったと思われたら、内乱がもう一度起こると危惧していたんだろうよ。俺たちが街を襲ってから内乱はなくなったこれが答えだ…!俺たちがやったことは正しかったんだ。それは結果が示してくれている…!」
私はオルターは狂ってしまっていると感じた。けれど、相手の言い分も理解できる私は何も言えずにいた。
けれど、私は一つだけ言えることがあった。
「誰かを傷つけて、成り立つ平和は私はいらない。平和はみんなで試行錯誤して手に入れるもの。だからこんなやり方は間違っている。だから私はそれを止める。誰も傷つけない方法で平和を手に入れる方法は…必ずあると私は信じている。」
必ず平和を手に入れる方法は見つかると私は信じている。だから私は…オルターを倒してまで、手に入れる方法を模索する。
「甘いな…お前はまだ…この世の醜さを知らない。人間は欲張りなんだ。そんな希望論を言ったところで、この世は見てくれない。俺は昔は信じていたさ。信じたかった。俺は調停者について人の醜さを知った。だからもうこの世界は…恐怖でしか支配できないんだ。」
「話は…終わりだ…もしこの負のスパイラルを止めたいなら、俺を倒してから言うんだな。」
「私はあなたを倒してこのループを終わらせる!」
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私は相手の出方を伺いながら、相手の周りを移動しながら観察した。相手に勝っているのは"スピード"このアドバンテージを活かさないと私は勝てないことを悟っていた。一撃でも喰らったら、瀕死になる。それを覚悟して私は相手に攻撃を仕掛けた。
「ぬるい…ぬるい…こんな攻撃しかできないお前が…希望を語るとは…笑止千万!」
相手は斧を軽々と振りまわし、私のセイバーとルヴァンシュを弾いた。その衝撃は私の腕まで届き、セイバーとルヴァンシュを強化していないとすぐに折れるということを感じ取った。
「吹き荒れろ…大気龍」
私はフェンとの戦いで発明したスカイドラゴンを相手に飛ばした。この攻撃は実態を持たないので、単純な攻撃では防ぐことができない。けれど、相手は案の定自分の武器の特殊能力で防いできた。
スカイドラゴンがオルターの1mぐらいに入ると、スカイドラゴンはなぜか、地面に叩きつけられてしまった。その行動から私はオルターの能力に気づいた。おそらくオルターは「重力」を操る斧を持っている。
私は一気に勝負をつけるために詠唱を始めた。
『時空を裂き、命運を逆巻くものよ…我が二つの刃に宿れ、
風と憎しみの力!全てを喰らい尽くし、残すは勝利のみ。
我の力を、喰らい全てを吹き飛ばせ…
ここに示すは最強の証、起きろ!…ルヴァンシュ!
〈リリース・オディウム〉』
私が、詠唱を終わらせる寸前に相手も詠唱を始めた。
『沈めよ大地……軋めよ天穹……古き星々の脈動よ、我が呼び声に応えよ。
万象に宿る重力よ、その束縛を解き放ち、すべての質量を一点へと収束せよ……!
万物の現象に逆らい、従い、全てを我がものとせよ。
___我が斧が振り下ろすは星の墜落、逃れ得ぬ運命の圧殺。
〈グラビティ・ガゼルロダ〉』
2人の最強の技がぶつかり、立っていたのはオルターだった。私は相手が作り出した重力場に足を取られ、致命傷は避けたが、相手の攻撃を喰らってしまった。相手の攻撃を喰らった瞬間私は強烈な眠気に襲われた。
「お前は少し…そこで寝てろ…敗者はもう来るんじゃねえよ。」
オルターはそう言い放つと街の方へ行ってしまった。行かせる訳にはいかない私がそう思っていると私の体に注射器で何かが打ち込まれた。
「これで、イシュディアも私たちのコマですね…さあこの街を攻略しましょうか…」
それは間違いなく私があの会議で聞いた、『研究者』スカーレット・ナイトローズだった———
NOCHESです。
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