[19話]怨霊の覚醒
怨霊となったフェンを救うため、西の塔へ急ぐイシュディア。記憶を失ったフェンは精神の部屋で「過去の自分」と対峙し、己の名と誓いを思い出す。自らの意志で「フェン」と名乗り、怨霊アビスの支配を拒絶。力を解放し、氷の剣・氷織でアビスを斬り裂いた。
***
———「おかえり、フェン…暴走しなくて…よかった。」
私はそう言ってフェンの元に近づき、フェンのことを抱きしめた。誓ったからには、もう危ない目には合わせない…私はそう思いながらフェンを力強く抱きしめた。
「心配しすぎなんだよ…イシュディア…俺はカナルディアを救って英雄になる男だぞ…?こんな所で自我を失って、逆に恐怖の対象として、恐れられるものになってたまるかってよ。あと苦しいから…離してくれ…もうだいぶ…限界だ…」
そう言ってフェンは息苦しそうに私を引き離そうと、力強く私を押した。私は少し疑問に思うことがあった。こんなにフェンは力が強かっただろうか…少し、いや、怨霊化する前よりも強くなっている気がした。やはり怨霊になることで昔の力よりかなり強化されるようだ。
「フェンのその装備って…どういう装備なの…?」
私はフェンが身に纏っているグレーのような隊服と、真っ白い羽織を指差して言った。自分の名前を自分で決めた時に、フェンが光に包まれていつも間にか、着ていた服がその服になっていたのだ。
「そういや…イシュディアには俺の故郷の話をしてなかったよな…氷織の武器の種類は刀だ。これは俺の国に昔から伝わる…伝統的な武器なんだ。そして俺が来ている服これは俺の国の戦士がきる隊服なんだ。そしてこの服のモチーフは俺の国に伝わる伝説の戦士の服なんだ。強くなりたいと思ったら…いつの間にかこの服になっていたんだ。」
フェンはそう言って自分の服を叩きながらそう言った。
「その性能って何かわかる?」
私はそうの武器と防具の性能が気になって私はフェンに聞いた。
「氷織が元々、武器の性能が氷を纏ったり、防御に使ったりできてたけど、これからはそれに加えて。こんなこともできるようになった。」
そう言ってフェンは氷織を鞘から引き抜くと前に氷織を突き出したかと思うと、フェンの周りに小さな氷の粒が浮き上がり、フェンの『爆ぜろ』という言葉で飛んでいった。
「氷の粒を俺の周りに浮き上がらせてそれを『爆ぜろ』っていうことで、前に飛ばせるようになった。」
フェンはそう言って氷織を鞘の中に戻した。
「へー、遠距離攻撃がより正確になったんだね…防具は?」
私は防具のことを聞いた。
「まぁ、呪いの防具にならなかっただけマシだが、隊服自体が、自分の身体能力を1.2倍にしてくれるのと、羽織はすごい性能をしているみたいで、俺が即死級の攻撃を受けたときには、この羽織が燃えて、俺の身代わりになってくれるらしい…本当かどうか確かめる方法もないし、確かめたくないけどな。」
フェンはそう言って私に自慢げに言った。私はその羽織の効果は本当にすごいと思い、ジロジロと見た。
そういや…フェンは怨霊になったわけだけど、憎しみの身体能力強化なんて使えるのだろうか。私はルヴァンシュという先生がいたから、怨霊の効果を無駄なく使えていると思うが、フェンは誰が教えるのだろうか…
「フェンってさ、憎しみによる身体能力強化って使える?怨霊になったら使えると思うんだけど。」
私はフェンにそう言ってフェンに尋ねた。
「身体能力強化って…そんなことができるのか…けれど…どうやってするんだ?」
フェンは自分の手を見ながらそう呟いた。
「先生が…いたらいいんだけど……あっ、フェンが怨霊になったからこの秘密は隠さないでいいよね…おーいルヴァンシュ…起きてる?」
私はそう言ってルヴァンシュのことをフェンに伝えようとした。
「起きてるよ…君…僕はずっと君たちの話を静かに聞いていたよ。君の迷惑にならないようにね。君が、フェンか…うん…しっかり、怨霊化しているね。君ももう立派な怨霊だね。初めまして。僕の名前はルヴァンシュ。イシュディアのメイン武器で、知能を持った呪いの武器さ。」
ルヴァンシュはそう言って、自分の自己紹介をした。今回はルヴァンシュに先生役になってなろうと思い、ルヴァンシュを起こした。
「ルヴァンシュ…フェンに憎しみを使った身体能力強化を教えてあげてくれない…?私は教えるのが下手だから多分教えられないんだよね…」
私は頬をかきながらそう、ルヴァンシュに相談した。
「君…こんなにも、身体能力強化を使っているのに、説明ができないの…はぁ、わかった僕が教えるよ。」
ルヴァンシュはそう言って先生をしてくれるのか私の力を吸って、浮き上がった。フェンは、なぜか思考を止まらせたように…固まっていた。
「おーい、フェン…固まってないで起きろ〜」
私はフェンの頬をぺちぺち叩きながら起こそうとした。
「なんだ…夢か…イシュディアの武器が喋り始めたと思ったんだが、そんなこと起きるはずないしな…」
フェンはそう言って信じられない現実から目を背けているようだった。
「残念、ここは夢でもないし、そんなことは起こってるよ。」
「なんで、槍が喋るんだよ。しかもそんな流暢に!」
フェンはそう叫びながらルヴァンシュを指差した。
「まあ、喋るか喋らないかは置いといて、君ってさ、体から溢れている憎しみを怨霊になって感じたことはある?」
ルヴァンシュはそう言って、フェンに尋ねた。
「まあ、俺の体の中で、渦巻いている感情が、憎しみだてことはわかる。どうやって使うかはわからないけどな。」
フェンはそう回答した。
「それがわかっていたら第一段階が終了だね。次に、自分の憎しみを体の1部に集めることはできる?」
そう言ってフェンは尋ねた。少し、私の強化方法を違うようだ。
「こういうことか…?今は腕に集めているんだが…」
「そうそう、それで、地面を殴ってみて…きっと驚くから。」
ルヴァンシュはそう言って地面をコンコンと叩いた。
「本当に強くなってるのか…」
フェンはそう疑問に思いながら、地面を叩いた。そうすると、轟音を立てて、私たちがいる、床が凹んだ。
「ほら。強くなってるよね。これが、身体能力強化の方法。方法しだいでは、君の氷織に乗せることもできるし、君の隊服にだってかけることができる。万能の力なんだ。」
ルヴァンシュは誇らしそうにフェンにそう紹介した。
***
「よし。新しい力も手に入ったところだし、早速真ん中の大きい塔の上にいるボスを討伐しに行こうぜ。」
そう言ってフェンは立ち上がった。
「そうだね。じゃあフェンも身体能力強化ができるから塔の上から時間短縮のために飛び降りるね。」
そう言って私は、塔の窓から中央の塔へ向かって飛び降りた。
「フェン…この先はきっと2人で協力しないと、勝てない相手が多分いる。フェンは気づいてた…?倒した怨霊の気配が全て、真ん中の塔へ向かっていたことに。」
私はフェンが気づいているかどうかを聞くために尋ねた。
「いいや、本当にそんなことが起きていたのか?イシュディアの思い違いじゃないのか?」
フェンは気づいていないようで私にそう言ってきた。
「そうだといいんだけど…もし本当に怨霊の力を取り込んでいたとしたら…多分勝てるか怪しいと思う。その時はフェン…私は封じ込めている、呪いの力を使う。その時はフェンを巻き込むかもしれない。だから少し、離れていて見ていて欲しいの。」
私はルヴァンシュにしか話をしていないことをフェンに伝えた。
「わかった、怨霊になってもイシュディアの方が強そうだし、イシュディアの指示に従うぜ…」
フェンはそう言って快く承諾してくれた。そう言った話をしている間に街の中央にある塔の元へついた。
「じゃあ、行こうか…」
私はそう言って塔へ入る扉を開けた。
———この扉の向こうが、どのような結末を決めているか知らずに
NOCHESです。明日は2本投稿の日曜日です。午前9時と午後9時です。午前9時は時刻が変動する可能性があります。
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