[16話]闇に落ちた氷
イシュディアとフェンは南の塔で、死神ベリウスとの激闘に挑む。風が荒れ狂う中、息を合わせて攻め立てるが、敵は軟体のように攻撃をかわす。フェンが渾身の一撃「雪華一閃」で勝負を決め、塔に満ちていた憎しみも消え去った。残る怨霊は三体。日暮れの中、二人は次の塔へ向けて別行動を取ることを決意し、それぞれの戦場へと歩み出した。
***
「はぁ、イシュディアのやつ俺の方が弱いと思ってるじゃないのか......こっちの方が弱いから俺を行かせるなんて。」
俺はそう思いながら塔の周りを確認した。周りには人影も、人の気配もなく、あたりは怨霊が暴れたかのように家が半壊している場所が少し多く白い美しい街並みはもう見るも無惨な姿になっていた。
「外から、入れる場所は......あるが、少し高いし、届かなそうだな…じゃあ中から入って攻略するしか方法はないみたいだな。」
俺はそう思い、塔の扉を開けて、塔の中に入った。塔の中には、なぜか体が透けた肉食獣が大量にいて…一斉に俺の方を向いてきた。
「なんだよ…この量…それになんで体が透けてるんだ?」
俺は体が透けていることを不思議に思い、思考を巡らせた。
「まさか…これは怨霊の能力なのか…?」
俺は1つの最悪な答えに辿り着いた。もし、本当に怨霊の能力が肉食獣を生み出すものだとしたら……対多数の不利な盤面で戦う必要がある…イシュディアがいない今1人で相手と戦うのは少し…危険だ。
「イシュディアがいない今どうするか……けれど、あいつはこの怨霊は弱いって言って俺に託してくれたんだ。これで勝てなかったら…何を言われるかわかったもんじゃない…やるか。」
俺はそう言って氷織を鞘から抜刀した。なぜかその時に、氷織が"がんばれ"と言ってくれている気がした。
「じゃあ、さっさとこいよ…化け物ども、俺が相手だ!」
俺はそう言って近くのライオンの場所に行き、飛び上がり相手の首を視認した瞬間相手の首を一撃で切り落とした。「まず1体。」俺はそう言って俺に突撃してくる虎とハイエナを見ながら、氷織を鞘の中にしまった。
「おせえよ、ノロマが。」
俺はそう言って一瞬にして背後に移動した。フェンがカチンと氷織を鞘にしまう音を立てた瞬間に、虎とハイエナの首が音を立てないまま切り落とされた。それを見た肉食獣が一斉に最上階に続く階段を登っていき、ドアをすり抜けて、ドアの向こうへ言ってしまった。
「ここが、もう最上階か…どうせ開けたら南の塔と同じ感じなんだろうから…気を引き締めていくか。」
俺はそう言ってドアに手を掛けてドアを押した。
***
———一方イシュディアは
「ねぇ、もう人を死なせないって言ってるのに、フェンを1人にして良かったの?」
ルヴァンシュはそう言って、私に尋ねてきた。どうやらフェンのことが心配らしい。
「うん、フェンには実践経験を積んで欲しいんだよね。少し、戦った量が少ないんような気がしてね。あと1人で倒せないとこの先の盗賊のボス戦で少し苦労すると思うんだよね。」
私はフェン1人で怨霊1体倒せる実力がないと最終戦の時に勝てないという考えをルヴァンシュに話した。
「そういうことね、急にイシュディアがフェンに死んで欲しいのかと思ったよ。」
ルヴァンシュは安心したようにそう呟いた。
「ついた…ここが北の塔…外から入れる場所はないね…東側の塔が特別だっただけなのかな…」
私はそう思いながら塔の入り口を潜った。そこは少し、奇妙な場所だった。なぜか空間が歪んでいる場所が数箇所あるけけれどその空間が歪んだ先は塔の中のあるところへつながっていた。これはまるで…
「驚いた…まるで迷路みたいな場所だね…」
ルヴァンシュはそう呟いて、あたりを見渡しているようだった。
「これ入って大丈夫なやつなのかな?明らかに危険そうだけど。」
私は歪んだ空間を指差しながら言った。私は瓦礫の破片を周りから拾いその歪んだ空間に投げた。そうすると向こう側の空間から瓦礫が出てきた。
「やっぱり空間自体はつながってるんだ…これじゃあトラップというよりか、時間稼ぎみたいだね。」
ルヴァンシュはそう言って正解のルートを探し始めた。
「まあ話しても、正解に辿り着いたり、最上階に着くわけじゃないし、さっさと解いてフェンに合流しますか。」
私はそう言って歪んだ空間に足を入れた。不思議な感覚と同時に私は瓦礫が飛んだ場所にいた。
「やっぱり、この空間自体はつながっているんだね。とりあえずどことどこが繋がっているのか確かめるために、どんどん入っていこう。イシュディア体力は大丈夫?」
ルヴァンシュは迷路というのが珍しいからなのか、少しウキウキしていた。
「体力は大丈夫。けれど、いつまで経ってもゴールできないイライラに塗れないかだけが心配。」
私はそう言ってルヴァンシュを肩から下ろした。少しだけ身体能力強化を使ってクリアしようと思い、私は呪いで足を強化して、腕を弱体化させた。
「よし、行こうか。」
私はそう言って歪んだ空間に走り込んだ。ものの20分足らずで私は扉の前についた。
「ここが、最上階…ここの怨霊たちは今まで見たことがないようなこと。現実の物理法則を無視した奴がいるかもしれない。気を引き締めていこう。」
ルヴァンシュは私にそう言ってやる気に満ち溢れていた。
「そうだね。ルヴァンシュは私のサポートをお願い、もし私が危険な目に遭いそうとか、私じゃ勝てないとかがあったのなら、すぐに私の体の主導権を奪って私の体を操っていいからね。大事なのはこの街を救うこと。」
私はそう言って最上階の扉を開けて中に入った。
***
———フェンは
「ここも、真っ暗だな…南のやつと同じように光が灯っていくのか?」
俺はそう思いながら、まっすぐ進み出した。そうすると、いきなり暗闇の中に2つの光る眼が見えた。俺はそれが見えた瞬間に扉の前まで戻り、暗闇を見渡した。明るくなる様子は無く、いつまでも暗いままだった。それが示すのは……
「ああ、そういうことかよ。」
俺はそう言って氷織を鞘から引き抜いた。
「ここ全体が、この暗闇が相手のバトルフィールドってことかよ。流石に真っ暗闇じゃあ、戦いにならねえぞ…」
俺はそう言いながら相手の顔を拝もうと暗闇を凝視した。そうするとどこからか声が聞こえてきた。
「どうも、初めまして私の名前はす従呪契約の、アビス以後お見知り置きを。」
そう言って相手は顔を見せずに声だけで、自己紹介をしてきた。やはり相手の能力の名前通り、動物の魂を自身の憎しみの力と合わせて呪の獣として扱っているみたいだ。
「めんどくえ、相手だな…結局は暗闇からの不意打ちか、多数による妨害だな…」
俺がそう考えていると急に空気を切る音がして、俺はその場をジャンプして離れた。そこには、さっき逃げた狼がそこにはいた。
「やっぱり、暗闇からの奇襲か…どうやってここに火を灯す…?火を起こせるものは何もないし…光をどこから持ってくる…?そうだ、近くに太陽があるじゃねえか。」
俺は相手の攻撃を無視して中心部分に近づきさっきの戦いで考案した技を放った。
『雪華吹雪の舞』
俺はそう言って剣に氷織の権能を最大限纏わせて、上に強力な一撃を放った。天井は大きな音を立てて大きな粒も残らないくらいに粉々に吹き飛ばした。
「ようやく対面できたな…アビスさんよぉ。」
俺はそう言ってアビスを睨みながら言った。
「これは、これは素晴らしい…まさか展望台の天井をぶち抜いて光を取り入れるとは…実にエレガントですね。」
相手は作戦が全て潰れて、諦めているのか俺に近づきながら、拍手をしてきた。
「それ以上近づくと切る。そこを動いても切る。お前は俺の質問に答えろ。」
俺はそう言って氷織を構えて尋問をする用意を作った。
「お前らはどこから生まれた…?」
俺はそう言ってこの化け物どもの生まれた場所を聞いた。
「私は、水の都かナルディアの"水の監獄"で生まれました。」
相手はそう言って衝撃的なことを言い放った。
「お前ら、ここで…生まれたと言いたいのか…?」
俺は衝撃的な事実を受け入れることができず唖然としながら尋ねた。
「生まれた…というのは適切な表現ではありませんね…正確には生まれ変わったというのが正しいでしょう。」
相手はさらにとんでもないことを言い放った。つまり、怨霊は人工的に作り出すことが可能というわけだ。
「お話は以上ですか?」
相手はそう言ってその場を動いた。
「動くなって、言ってんだろ!」
俺は相手の足を狙って飛び込んだら、切る前に腕に痛みを感じた。そこには注射器があった。
「何を…刺した…?」
俺は溢れ出てくる苦しみに堪えながらそういった。
「いいや…少し怨霊になる薬をあなたに刺していただきました。あなたが次起きるときはどうなっているか非常に楽しみですね……」
怨霊はそう言い放ったあと、俺の意識は深い闇の中へ沈んだ。
———頼んだぞ……イシュディア…
NOCHESです。
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