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三年目の灯  作者: 禿鷲
影追編
6/12

05話 怪しいハガキ。

 さーて、そろそろ始めようかな。

 ノートを開く。

 と、その時、後ろに気配がした。

 

 まだいたのか。まったく、気が早いな。

 わかってる。すぐに君のことも書く。


 ペンを持つ。息を吸う。

 ーーさて、続きを綴ろうーー



――――――――――――――


 

 母さんが展望台で成仏したその日、

 僕は家に帰るなりすぐに布団に入り、今後のことについて考えていた。


 母さんは成仏する前、母さんと同じように未練を持ち、この世に彷徨い続ける人たちを、助けて欲しいと、言葉を残した。

 それを聞いた瞬間から、僕の余生でやるべきことは決まったも同然だったんだけれど、、。


 幽霊と話すどころか、見ることさえもできない僕は、どうするべきか行き詰まっていた。

 これからどうしよう。どうすれば良いのだろう……。

 そんなことを考えているうちに眠気が襲い、自然とまぶたが閉じてゆくーーーー


 気が付いたら、公園のベンチに座っていた。

 この公園は……、見覚えがある。家のすぐ近くだ。

 ふと隣を見ると、見知らぬ女性がいた。

 僕に何かを話かけていたが、声がよく聞こえない。

 何を話しているのだろう。

 なぜだか、無性にドキドキする。

 あぁ、彼女と話したい。君は、君は一体ーーー



 ハッと目が覚める。

 今のは……夢…?にしては鮮明だったな。

 ふと頬を撫でると、濡れていた。涙…?僕は、泣いていたのか…?今のは一体……。


「薫ー!早く降りてきなさい!朝ごはん冷めるよ!」


 ばあばの声が階下から聞こえる。


「…わかったよ、今行く!」


 にしても、変な夢だったなぁ。


――――――――



 ばあばは台所で朝ごはんの用意をしていた。

 じいじは机の前であぐらをかき、新聞を読んでいた。

 今朝の夢のことをぼーっと考えていると、目の前にご飯が並ぶ。


「早く食べなさいよ?今日学校でしょう?」


「わかってるよ、ばあば」


 分かってるよ!とは言わなかった。いくら反抗期でも、ばあばに舐めた口を聞いたら、じいじが黙ってない。


「そういえば薫、あんた宛に手紙が届いてるよ」


 そう言ってばあばはハガキを差し出してくる。


「え?僕に?誰から?」


「知らんよ、……って言うか、このハガキ白紙じゃないの!?なんだいこれ!」


「そんなことある!?」


 と言ってハガキを受け取る。白紙ってそんな……。と思ったら、普通に字が書いてある。達筆だ。

 これが見えないとは……。ばあばもとうとうボケたか?


「ばあば、よくみて、字が書いてあるよ」


「何を言っとるの、この子は。何も書いてないじゃない」


「え?でもほら!ここに!」


「ばあばをからかわないでちょうだい。まだボケるには若いんだからね」


 そう言って歯抜け顔でケタケタ笑う。

 どの口が言ってるんだか、、。


「まぁいいや、これはもらうね。あとご馳走様」


「はいよ。」


 そう言って食器を片付けるばあば。

 学校に行くにはまだ早かったので、部屋でゆっくりハガキを読むことにした。

 階段を上がっていく。僕の部屋は、階段を上がってすぐのところにある。そんな広い家じゃないからね。

 襖を引いて部屋に入る。さてと。


「いったい何が書いてあるかな〜。というか、だれからだ、これ?……って、差出人の名前が書いてないじゃないか!?本当に怪しいな。」


 なんで独り言を繰り広げつつ、皆さん気になっているであろう内容を見る。


「どれどれ……」


 そこには、驚くべき内容が書いてあった。


 「お母さまが無事に旅立たれたようですね。

  よかった、本当によかった。

  あなたはよくやりました。立派なものです。

 です。

  ……それと。あなたのこと、頼まれていたのですよ。ずいぶん前からね。

 水曜日の夕暮れ時。駅前の古書店で会いましょう。

 きっと、話すことは山ほどあるでしょうから。


 手紙にはそう書かれていた。

 「頼まれていた……?」


 思わず声に出していた。

 母が、誰かに自分のことを。

 いつ。どうして――。


 ……いや、そうじゃないだろう。まずは、こいつが誰かだ。母のことを知っている、誰か。

 恐らくだが……母が言っていた、「師匠」なる人物だろうか。

 ……その可能性は高いだろうな。

 それ以外に考えられない。

 僕の敵だとして、僕に矛先を向ける道理がない。

 つか敵ってなんだ。漫画の主人公か?僕は。


「………行くしかない、か……。」


 どちらにせよ、行き詰まっていたのは事実だし、会って話せば、何かのきっかけになるかもしれない。


 僕は、こいつに会うことにした。

タイトルにひねりがないでしょうか?

次はもう少し考えたいと思います……。

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