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三年目の灯  作者: 禿鷲
影追編
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09話 夢を見せていた正体

 自宅へと向かう道中、俺が気になったことがあったので、ふと聞いてみる。


「そういえば、まさやさんのこと、なんて呼べばいいですか?」


「ん?そうねぇ、、まさやちゃん⭐︎とか、ふっじー♡とか……」


「真面目に答えてください」


「もー、可愛げがないわねぇ……。師匠、とか?あなたのお母さんもそう呼んでたみたいだしね」


「うーん……不満は残りますけど……まぁいいです。じゃあ、師匠でよろしくお願いします」


「いいわね〜師匠呼び!かっこいいわ〜」


「そうですか?かっこいいかなぁ……あ、ほら、着きましたよ」


 自宅に到着した。中に入ろう……って、待てよ。

 良く考えたらどうやってばあばに師匠のことを説明しようか。僕に友達はいないから友達っていうのは変だし、かと言って「師匠です!」とか言ったらもっと怪しいもんなぁ。どうやって安全に入れるか……


 なんでウジウジ考えてる俺を尻目に、師匠が勝手にインターホンを押す。


「あ、ちょ!なんで勝手に押すんですか!?」


「大丈夫よ〜。何をそんなに弱気になってるの?もしかして、幽霊怖い?」


 こいつ、人が心配してやってるのに!


「はいはい、今行きますよ〜」


 ばあばの足音が高くなってくる。これは終わったな。今日は諦めて後日来てもらうか……

 玄関のドアが開く。ばあばが師匠の顔を見るなり、ぱあっと笑顔になる


「あら、あらあら、まさやさんじゃないの!この前は助かったわぁ!」


「いえいえ。大したことじゃありませんよ」


 え?知り合い?


「今日はどうしたの?というか、どうして私の孫と一緒に?」


「この前のボランティアで知り合ったんですよ。今日は薫くんが家に招待してくれたので、遠慮なくこさせてもらったんです」


「あらあら、そういうことね!ささ、上がって上がって。今お茶でも入れましょうね」


「いえいえ、私は薫くんと少し話に来ただけなので、お構いなく。すぐに帰りますから。」


「あら、ゆっくりしていけばいいのに」


「ありがとうございます。じゃあ薫くん、部屋を案内してくれるかな?」


「は、はぁ。」


「薫、まさやさんに失礼ないようにね!」


「わ、わかったよ!」


 そういうとばあばは、居間へ戻って行った。


「どういうことですか!?なんで師匠とばあばに面識があるんですか!?」


「私もこの街で楽に活動するには、やっぱり知り合いを作るべきだと思うの。だから、たまに街のボランティア活動に参加してね、交流を図ってるのよ。」


「その時に知り合ったのが、僕のばあばってことですか?」


「そゆことよ♡」


 なるほど……

 てかこいつ、外面はいいんだな………。オカマ口調出てなかったし……


「それで、あなたの部屋は?」


「階段上がってすぐの扉なので、ここです」 


 扉の前に立つ師匠と僕。師匠は深呼吸したかと思うと、何かを決心したような顔をした。


「じゃ、入るわよ」


 扉が開く。そこにはもちろん、俺の部屋があった。何も変わらない。今朝見た景色と。強いていうのなら、少し散らかっているくらいだろうか。


「ふーん、なるほど……。で、あなたは?」


 師匠に話しかけられた?


「え?いや、薫ですけど……」


「違う違う、あなたじゃないわ。そこのあなたよ。誰?なぜこの部屋に?」


 師匠が何もないところに話しかけている。まさか……幽霊!?!?いやいや、そんなはずないか、


「師匠、誰に話しかけているんですか?まさか、幽霊とか言わないですよね?笑」


「あら、そうよ。見えないの?」


「見えるも何も、誰もいませんもん」


「そう……それじゃあ、私の肩に触れて深呼吸してから、私の指差す方を見てちょうだい」


 まさかな……な。肩に手を乗せる


「ん……」


「な、なんで変な声出すんですか!」


「くすぐったいのよ!」


 はぁ……。深呼吸する。スーッハーーッ。

 目をゆっくりと開けると……


「え!?」


 確かにそこには、何かがいた。

 師匠の指を指す方向。そこには、学生服に身を包んだ男が立って、こちらを見ていた。

 驚きで声が出ない。


「あなたが彼、磯野薫に夢を見せていた幽霊かしら?」


 そいつは、こくりと頷いた。


「お前ら、俺が見えるのか……?」


「ええ。見えるわ。もっとも、私たち以外からはあなたは見えていないでしょうけれど。それで、あなたは何者?どうして彼に夢を見せていたの?」


「……俺は、俺の名前は斎藤蓮。折り合ってお願いがある。どうか、聞いてはくれないだろうか。」


 そいつはそう言って、頭を下げてきた。おいおい、まじかよ…。

 

 こうして俺は、初めての送灯師?としての仕事を始めるのであった。

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