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三年目の灯  作者: 禿鷲
始まりの幽影編
1/12

プロローグ

 まずは、自己紹介から始めようか。

 僕はとある田舎に住んでいる、高校1年生。

 名前は、磯野薫。家族からは「かおる」と呼ばれている。

 友達は0。16年間生きてきて、0。いやいや、1人ぐらいいるでしょ?と思われるかもだけど、本当に0人なんだ。驚くよね。

 

 親はいない。じいじとばあばと住んでるんだ。

 両親はどうしたのかって?それはね、、。

 

 僕が2歳の時、父親が亡くなった。なにせ2歳の時の話だからよく覚えてないんだけれど、母親"らしぎ"人が泣いていたことだけはよく覚えている。一応、不慮の事故で亡くなったとじいじからは聞いている。


 母親は、女手一つで僕を育ててくれた。でも、それには限界があった。頼れる人もいないで、若くして最愛の人を亡くして。限界だったんだろうね。

それで母親は、3年後、僕が5歳の時に、僕を置いて行方不明になった。


 そこから僕はじいじとばあばに引き取ってもらった。

 確かに、少し寂しいけれど、じいじは優しくて、悪いことをしても怒らない。ばあばはたまに怒ると怖いけど、ご飯は美味しいし、いつも相談に乗ってくれ

る。

 最近腰を悪くしたとかで、歩きづらそうにしてるのが心配だけどね。


 僕に関してはそんな感じだ。

 さて、ではなぜ僕が、わざわざこんなことをこのノートに書いているのか、について話そうか。


 僕はつい先日、余命宣告を受けた。

 

 

 あと3年の人生らしい。


 

 流石に驚いたよ。確かに、前から胸が痛かったり、息苦しい時もあったけれど、まさか本当に病気だったなんて。

 何かの間違いかと思ったよ。けれど、何度検査をしても、結果は同じ。変わらなかった。

 

 そうして、僕の時間は、唐突に「残り3年」となった。


 それから、世界の見え方が変わった。

道を歩いていたとき。通学路の角を曲がったとき。

駅のホーム、誰もいないベンチの上。

 何気ない日常の風景。前まではなんてことのない、普通の景色だったのに。いざ余命3年にもなると、全てが色付いて見えた。不思議だよね。

 この景色がもう見れなくなる。僕のじいじとばあばにも、もう会えなくなる。あの美味しいばあばの手料理も、もう食べられなくなる。そう思うと、無性に涙が止まらなかった。

 

 じいじとばあばは、「あと3年、かおるの好きなことをしなさい。」そう言ってくれた。なので、いつまでも泣いていてもしょうがない。まずはこれからの人生、何をしようか考えることにした。

 僕としての結論は、「前と変わらずに過ごす」だった。僕はなんだかんだ言って、この生活が好きだった。何かしようにも、あまり思いつかない。なので、いつもと変わらない日常を過ごす中で、やりたいことを見つけていこうと、そう思った。


 そうやって、僕の人生は幕を閉じる。短いが、悪くない人生なのではないだろうか。

 でもさ、なんせ僕には友達がいないからね。そうやって忘れ去られるのが嫌だと思ったんだ。

 だから僕は、"残す"ことにしたんだ。

 僕が生きたという記録を、証を。

 大切なあの人へ向けて。

 

 あの人っていうのは、あなたのことだよ。思い出すだけで笑ってしまうよ、あなたと初めて出会った時のことは。

じゃあまた明日、続きを書こうかな。

                 2020年4月1日


パタン。

ノートを閉じる。

よし、初日にしてはうまく書けたかな。

そう考えながら、薫は部屋を出る。

そのノートの表紙には、こう書かれていた。


「三年目の灯」


三年という時間に灯る、命の火・心の記録。

という意味を込めた名前だ。

彼は残りの人生で、このノートに、彼の感じた想い、気持ち、そして命。

様々なものを記録していくのだろう。

大切な"あの人"へ向けて。


―――――――――――― 

 

 

 この物語は、薫の記録であり、生きた証であり、

 彼の最後の物語だ。

 彼は3年という残り短い人生で、何を成すのか。

 君にはその"証言者"の1人になって欲しい。

読んでくれてありがとうございます!

私、禿鷲と申します!

小説を書くのは初めてですが、

初めてなりに頑張って描きますので、

よろしくお願いします!

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