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第四話 衝突

 「珍しいね」


 見知らぬ人の声、それと同時に感じたことのない殺気を覚えた。

 振り返るとそこには黒いコートを身に纏った長身の男性が立っていた。


 「お、お前は誰だ」


 「珍しいって何が…」


 震える口を動かすので精いっぱいだった。


 まず感じ取ったのは全校生徒を殺したのはこいつであること。

 そして、こいつには関わってはいけないこと。


 そう体が拒否反応を起こすかのように震え始める。


 「怖いか?」


 男は余裕の笑みで聞いてきた。


 「ただの武者震いだ」


 必死に取り繕ってみるが震えは止まらない。

 

 しかしなぜだろう。

 

 ここまで体が言うことを聞かないのは初めてだ。


 「…」


 その瞬間すべて理解した。


 男の後ろ、おびえていた対象が目に入ってきた。


 そこには大きな爪、血濡れた牙、そしてすべてを飲み込むかのような大きな一つ目。


 「珍しいね、ここまで精霊と心を通わせているとは」


 「君の【恐怖】が精霊を弱くする」


 男はそういうと手を前に出し


 「衝突アルター


 「ドンッ!!」


 受け身をとる間もなく大きな爪に引き裂かれた体はそのまま壁に突き飛ばされた。


 意識が朦朧とする中、体を見ると嫌でも目が覚めた。


 「なんで…」


 体には大きな爪の跡が残り、そこから血があふれ出していた。

 必死に傷跡を抑える。


 「言ったでしょ」


 「恐怖は精霊を、君自身を弱くするって」


 男の視線の先に目をやると、

 そこには鎌で体を支えるかのように、やっとの思いで浮いている枯れかけた魂悪食ソウルイーターがいた。


 「一ついいこと教えてあげるよ」


 意識がまた朦朧としてきた中、男は話し続けている。


 「精霊はね、使用者の感情の起伏によって強さが変わってくるんだよ」


 「強い信念を持てば強くなるし、今の君みたいに縮こまってれば当然弱くなる」


 「君の精霊は特に影響を受けやすいようだしね」


 情けなかった。

 力を持っても、使いこなせなければ意味がない。


 だが、 


 今にも倒れそうな体を奮い立たせ口を開いた。


 「あぁ、本当にいいこと教えてくれたよ お前は」


 あふれ出る血液を無視して、全身に力を込める。


 「あいにく、昔の未練を晴らせずイライラしてたところだ」


 「これ以上ないってくらいには強くなれる」


 そして、心に怒りと復讐心を据えるとみるみるうちに傷はふさがっていった。


 きっとこれは、男の挑発なんだろう


 「やるぞ」


 魂悪食がかつての肉体を得ていることを、見ずとも本能的に理解した。

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