第二話 転換
僕の名前は御園廻斗
今さっき、電車で約50人を殺した立派な犯罪者だ。
殺したといっても手を下したのは僕ではないが。
2日前のあの日、確かに僕は首を吊って死んだ。
なのに、なぜか生きている。
いや、理由は明確だ。
【怒り】だ。
怒りの感情が僕を現世に呼び戻したのだろう。
自分を追い込んだすべての人間への復讐を愚かながらやっとその瞬間に抱いたのだ。
ただ、遅すぎた。
その感情をもっと早く抱くべきだったと後悔しながら意識は遠のいていった。
目が覚めるとそこには数秒前と何一つ変わらない現実と目を背けたいほどに恐ろしい異様な存在が浮いていた。
そして現在。
僕には精霊と呼ばれる感情が具現化した存在?がついている。
正直なところ、わからないことが多すぎる。
知っている情報といえば、
僕についている精霊は 魂悪食と呼ばれる、”憎しみ”や”恨み”などため込んだ復讐心から産み出された存在で、あの高校生が言ったように樹のような体を持ち、大きな鎌を振るう死神のようであること。
そしてもう一つ、この魂悪食は僕が受けた外傷などのダメージを代わりに受けてくれるということ。
受けてくれるといっても傷が残らないというだけで痛みなどは感じるけど。
問題なのが、魂悪食がダメージを引き受けた際に幹のような体が枯れてしまうこと。
そのため血を与える必要がある。
血を与えると魂悪食は成長できることが身を挺した実験によって分かった。
まぁ、そのおかげで走行中の電車から飛び降りても傷一つなく今に至るけど。
何しろ、精霊は僕にとってありがたい存在だ。
僕の目的はただ一つ、感情のままに復讐を実行するだけだ。
そうして、決意を固め廻斗はある高校に向かった。