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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

よい朝だね、敬愛すべき隣人たち!!

作者: 羽納

 こんにちは、もしくはこんばんはかな?

 私の愛すべき隣人たちよ、初めまして、私の名前は羽納、私のことを多少なりとも知っている人は私のことを、恥ずかしいのだが連続殺人鬼だのシリアルキラーだのひどい罵声を投げかけてくるんだ、酷いことだと思わないかい?


 見ての通りからだは小柄でこんな華奢な女性に何てひどいことをいうのだろうね?

 

 おーっと、すまないね、私はつい自分のことを長く語ろうとしてしまう、すまない君のあいさつと自己紹介の機会を逃させてしまった、どうか私の非礼を許してほしい。


 挨拶というのは実に大事なものだ、会話のきっかけにもなるし一日のはじめや場所による自信を切り替えるいい機会になる。


 だから私は挨拶を大事にしているんだ。さあ、長くなったが君の番だよ、君のことを教えてほしいな。


 こんにちは、僕は早見、見ての通り学生です。 


 へぇ、学生さんか、何を勉強しているのかな?


 まだ僕は夢がないので基礎的なことをずっと学んでいます、そうすればいつかやりたいことが見つかった時にそこを目指せると思うからその準備をひたすら続けてるんです。


 なんでやりたいことがないの?ご飯を食べておいしいと思うでしょ、プチプチをつぶして気持ちいでしょ?

 風呂に入って気持ちいでしょ?なんでやりたいことがないなんていうの?


 笑えないんです、テレビを見て笑いたいと思っても、どこか動かないんです、笑っていても心はつまらないんです、ご飯を食べてもおいしいですけど、それだけです、でもみんなきっとそうですよね、おいしいと感じるだけです、ご飯をおいしいと思ったからおいしいものを作りたいと願う人はほとんどいないじゃないですか。


 いや、私は同じことだと思うよ、私はそれを続けたから今があるんだ。

 人を殺すこと、それが楽しいから私はそれを続けたんだ、私のことももっと知ってほしいな、私はね、部屋にずっとこもってたんだ、一人でねで私はさ暗い部屋でただ塊だったんだ生きてるだけの塊、ご飯を食べてたかな何も思い出せないしタブ運何も考えてなかったと思うんだ。きっかけは何だったかな別にいじめとかで放ったと思うんだけど、ほら学校とか、成人とか何らかの区切りを迎えたらその前のことは徐々に薄れていくじゃないあんな感じでさ。


 でね、わたしはある時ゲームをしたんだ、銃を撃つゲームだったよ、えーと名前はそう、life is Survivalだったかな?それでね、私にそう快感をやっと感じさせてくれたんだ、頭がはじけてね、転んだゾンビの頭を踏みつけて卵をつぶして撃って、楽しかったなあ。


 それで飽きたら別のゲームを始めたのゾンビじゃあ飽きたから人と対戦したりしたの、好きなのそれが、でもね飽きちゃったの、探して探して探しても何もなかったの、だから別のことをしようと思ってね

人を殺してみたの、私はかわいいからねすぐに男の人を誘い込めたの、でねゲームでも見たみたいに後ろから忍び寄って首にさそうとしたんだけど気づかれちゃったの、そのあとはもみ合いになってねでもあの時の心はとてもすごかったの本当に、ナイフを奪われそうになった時の恐怖、自分より強い人から飛んでくるこぶしと蹴りそして罵声、そして私が何とかさせたときの手に蔦をるリアルな肉の感触。


 そして相手の恐怖の声、罪悪感と後悔も感じたの、でもねあんなに心が動いたのは本当に初めてだったから追い打ちをかけて殺したの、それで死体はタンスに隠したの。


 そのあとはお部屋のお掃除をしたのとっても散らかってたから大変だったの赤い血はなかなか取れないしお隣さんが騒動を聞いて駆けつけてきたから裸でバスローブを巻いてそういうことだって納得してもらったの。危なかったわ、それから一口食べたり、赤い絵の具で部屋を塗ったりいろんなことをしたわ、でそろそろ次に行こうと思ったの、ここまででゲーム風に言うなら第一ステージはクリアってところかな。

 そのあとのことは省くけど私は今でも楽しいよずっとね。


 まったく参考にならないです、僕はゲームをやっても全然楽しくなかったですし殺し何て大っ嫌いです。


 へぇ、そういえば私のこと怖くないんだ。ほらわたしっていっぱい殺してるから戦闘力すごく高いよ。君のこと今すぐでも殺せるよほらコートの裏にこんなに刃物が入ってる。


 今のところ特に、殺される直前になれば怖くなるかもしれないですけど特に何も感じないです。


 じゃあ試してみる?殺される直前。。。おお、ちょっと顔が動いたね?怖くなった刺されるのが、感じたの怖いの?逃げる?


 怖いです、刺されるのは、痛いのはやっぱり嫌です。


 だよねだよね。でも君はかわいそうだからもうちょっと待ってあげる。

 君が好きなことを見つけれるのかとっても気になる。

 ほら考えて君が好きなことは何?何かなかった?友達とのかくれんぼとかおにごっこ、自分の性欲の解消?ほら夢は君の夢は?かわいい女の子を抱きたい?未成年とか?私と一緒で殺しに興味を持っていたりしない?何かを奪って楽しいと感じたことは?人を笑わせたりして達成感に見舞われたことはない?〇〇になりたいとか、外見や行動をまねしたいとか思ったことはない?人気者になりたい?お金持ちになりたい?人を守って優越感に浸りたい?自分を削って自己犠牲に浸りたい?ねえ、どう君の心は少しも動かない?


 動かない、動かないんです。なにもなにもなにもなにも。


 つまらないね、君。

 そのままでいいわけなよね?君は私より価値がないよ。いる意味がない。自分で自分を肯定できないし自分である必要性を何も感じられていない。

 つまらないね本当に、いっそのこと死んだら?


 そうかも。でも諦められない、ねえ僕を殺してみてよ、そうすれば最後に何かわかるかもしれない。


 いやだ、私もおいしくない人間を殺さない権利がある。


 なんだよ殺人鬼の権利って。


 そんなもの自分で決めるものだよ、何に縛られて何を縛るのか。

 私にはそれは人とはちょっと違うだけで。


 殺人鬼が何を偉そうに言うんだよ。


 逆に君は何様だ、その他大勢とおんなじ考えを持っているくせにその他大勢のように生きがいも持てない癖に、いいかい?私はねえ、自分がずっと苦しい楽しくない人生を送るなら法律なんて何個でも破ってやる、私が生まれてもいない時に知らない頭いいやつぶってるやつが勝手に決めたルールでなんで私が楽しくないままそいつらのルールのもと酷使されて土に埋もれなければいけないのか?君に行ってもわかないか?じゃあね名前も忘れちゃったけど君に名前なんていらないよ、無価値君。




 それから僕は、ずっと勉強をつづけたでもやりたいことなんて見つからなかった。

 羽納は2年たった今でも捕まっていないらしい、そして僕はある日とうとう殺人を犯した、理由は自分でもよくわからないひょっとしたら彼女がうらやましかったのかもしれない。彼女のように会ってくれと自分から目を背けたかったのかもしれない。


 結局僕は後悔と罪悪感以上の何も感じなかった。


 なんどか、首をくくろうとしたり自分に火をつけようとしたけどそれはできなかった。


 苦しい人生に何の希望も持てない。


 おいしいごはんと勉強そして仕事に囲まれて日々が過ぎていく、時々持っているものが増えたりするけど何もそれは影響を及ぼさなかった。


 ある日だ。夜、誰かが部屋に勝手に入ってきた。

 鍵をかけ忘れていたらしい。あいにくそこまでやってくるような友人に心当たりはないな。誰だろう。



 久しぶりだね、何も変わらない。いやちょっと死臭がするかな?でもダメだったみたいだね。


 彼女にはすべてお見通しみたいだみたいだ。生活必需品と彩りとしておかれた統一感のない部屋で、僕は死ぬらしい。僕にはわかる。きっと彼女は僕を殺してくれる。みればわかる、彼女の顔に浮かぶ喜びとそして哀れみの優しい表情を。


 いいよ、殺してあげる、今まで苦しんだ人が苦しみの終わるときにどんな風になるのか気になるからね。


 私は結局抵抗した、でも顔には笑みが浮かんでいた。嬉しかったんだ。すごく怖かったのが、嬉しかったんだ、彼女が僕を苦しんだ人生を終わらせてくれるのが。


 ありがとう。ありがとう。

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