幸せになってみた【 END 】
本日、結婚式です。
本当は皇都での結婚式の後に子爵領で結婚式(結婚披露)を行う予定だったのだが、アレから4か月後の今日、子爵領での結婚式の運びとなりました。
「「だって早く結婚したいの我慢できなかったんだよ。付き合えるだけでも満足、とか思ってたのに本当に恋人になれてクロエが俺1人だけがいい、とか言ってくれて。婚約したら堂々と傍にいることができるから、いろんな欲望が出てきちゃって抑えるの大変だったんだから。クロエが可愛すぎるのがいけないんだ。可愛いのに可愛いことばっかりするし、可愛いことばっかり言うし。俺、よく頑張ったと思うよ。父上と兄上も俺を褒め称えてもいいと思う」
と言ってたよ、アレクシスが」
とお義父様から聞かされたときには、何故わたしが、と思いながらも頭を下げた。
皇都での結婚式は貴族のしがらみもあって早められなかったけれど子爵領なら、お義父様の許可さえ取れば、どうとでもなる。
もちろん、アレクが一番頑張ったけれどお義父様とニコラ様にも、使用人のみんなも子爵領の方たちにも負担を強いた。
わたしだけ決定するまで蚊帳の外でした。
忙しいのは元々だし大変だなー、なんて、のんびりしててごめんなさい。
わたし、当事者なのに。
「女性に負担を強いるわけにはいかないからいいんだよ。本当にクロエさんは変わっている。もちろん好ましい方に」
お義父様は、そう言ってくれたけれど、わたしにできることはないのかな?
わたしには、せめて我儘は言わない、くらいしかできない。
派手にしないでほしい、とは希望したけど基本、アレクに任せた。
でも、おっかしいなー。
これって十分派手だよね?
今日は子爵領をあげてのお祝いになるらしく子爵であるお義父様から振舞酒も出すそうだ。
料理も出るようで子爵邸の周辺はお店も出て大変な賑わいだ。
一昨日までは、こんな感じではなく静かで、のどかな所だった。
子爵邸敷地内にある教会で結婚の誓いをして子爵邸のホールで招待客を招いての結婚披露を行う。
お義父様は伯爵でもあるので子爵家にしては大きめの宴にはなったようだが、まぁ仕方ないよね。
...ちなみに、アレクのお母様は欠席。
「皇都での結婚式に参加するんだから、そっちはいいでしょ」だってさ。
ニコラ様が教えてくれたがお義母様はアレクをお気に召さないらしい。
ブサイクだから。
アレクを見ると、こんなのを自分が産んだ、と思うと気持ち悪い、とか。
あー、アレクのお母様だけど殴っていいかな。ダメなら蹴り入れていいかな。
わたしのパパはお店を長期休暇と言って閉めちゃったよ。
ママと伯爵様も来てくれている。
「どうしよう、凄い緊張してきた」
「クロエは大丈夫。何してもOKだから」
「うん、意味わかんない」
「クロエが何しても俺が何とかする。俺を信用できない?」
「...できる」
「じゃぁ大丈夫だ」
「...ふふ。何それ。 .....ありがとう」
「では、開けます。ゆっくりお進みください」
子爵邸の執事をしている人がドアを開ける。
中央をアレクと一緒に進んでいく。
この世界では妻と夫となる2人が教会で誓いを述べサインをするだけで終了。
出席者からお祝いの歌を歌ってもらって教会を出る。
アレクが、わたしの両手を取る。
「クロエ。俺にはクロエしかいない。クロエしか見えない。愛し愛される幸せなど諦めていた俺の世界に色をつけてくれたあなたを一生守る権利を与えて欲しい。一生、傍にいる権利を与えて欲しい。あなたの愛があれば、俺は何だってできる。生涯あなたを愛すると誓います」
アレクが微笑んでいる。
こんな美麗なアレク、しっかり見ておきたいのに涙で滲んでよく見えない。
「アレクシス。わたしもあなたが大好きです。わたしにはアレクだけだから、ずっと守ってね。わたしより先に死んではダメよ?アレクのいない世界で生きたくないの。だから、わたしもアレクを守る。アレクが幸せになれるように頑張る。...生涯、妻として愛するのはアレク、あなただけと誓います」
参列している人たちの中から息をのむ音が聞こえてくる中、わたしたちはキスを交わした。
お祝いの歌が流れる中、わたしとアレクは教会を出て宴が行われるホールへ向かう。
宴も半ば、というところで門のところへ行く。
用意されている簡易なステージに乗って集まってきていた領民に挨拶をした。
話すのはアレクだけなんだけどね。
「アレクシス様、クロエ様、おめでとうございます!」
「次期領主様、やっぱりブッサイクだなー」
「でも妻のクロエ様は随分可愛らしい方だ」
「全っ然、釣り合ってないけどお二人とも幸せそうだな」
領民、声でかいって。
でもアレクは何度か子爵領に来ていて仲良くなった人もいるのか何とも思ってないふうだ。
「どうだ。言った通り俺の妻は可愛いだろう。羨ましがれ」
...などと大きな声で言っている。
酔ってるの?
「クロエ様―!俺とも結婚してくれー!」
...は?領主の妻だよ?しかも結婚したその日に言う?
周囲に止められているが、こっちも既に酔っぱらっているのか、まだ何か叫ぼうとしている。
「ダメだ!クロエは俺以外とは結婚しないから諦めろ」
アレクは、わたしの頭を支えて自分の方を向かせると、そのまま口づけてきた。
人前―っ!
めっちゃ人前―っ!
唇、舐めるなーっ!
「んー」
わたしはアレクの胸を叩くが抱き込まれているせいでポンポンと軽くしか叩けない。
頼むから正気に戻れ!
絶対、口を開けるもんか。
こんなところで嫌だ。
やっと離してくれたが恥ずかしすぎて、もう戻りたい。
アレクの陰に隠れるようにしてみる。
「こんなことできるのも俺だけだ」
ドヤ顔しているアレクも可愛いけど、威張るな。
「クロエ様、大丈夫かよ」
「クロエ様―、大丈夫ですかー」
「俺たちが替わりに殴っとこうか!」
いや、普通にダメだろ。
わたしはアレクの後ろから、ちょっとだけ顔を出して手をひらひら振ってみた。
「何だアレ、可愛い」
ざわざわしてきたのでアレクを引っ張って邸内に戻った。
「馬鹿アレク!あんなにいっぱい人がいるところで何してくれてんのっ」
「うん、ごめんね?」
「...全然悪いと思ってないよね?」
「思ってないわけじゃないけど...。うん、アレは仕方なかった」
「なるほど。悪いとは思うけど反省はしない、ということね」
「そう、それ!」
「.....」
わたしはアレクを置いてホールへ向かう。
が、アレクに後ろから捕まえられた。
「幸せで調子に乗っちゃってた。クロエの恥ずかしいって顔、ヤツらに見せるべきじゃなかった。ごめん」
謝るとこ、そこかよ。と思うが、やっぱりアレクには甘くなってしまう。
「あんな人前で、もうしない?」
「しない」
「じゃぁいいよ」
こうして夜になり、朝を迎え、わたしは、またアレクに怒るわけだが、そこは詳しく語るまい...。
主に下半身が痛んだためソファに座りながら説教をした(アレクは正座させた)が、あまり効果はなく、時々、こんな風景が繰り返されたことだけ言っておこう。
こんな世界なのでクロエに夫を持たせようとする人たちが出てきますが最後までお互いを守り抜きます。
わたしが、こんな世界に生まれたら、いやっほぅ♪てな感じになりそうですが、こんな2人もいてもいいですよね。




