試してみた
ただ、いちゃこらしてるだけの回になっちゃった。
甘いのが上手に書ける人の頭の中、覗いてみたい。
帰りの馬車。
いつものように並んで座るとアレクと手を繋ぐ。
ここまでは、いつも通り。
以前、眠くてうとうとしていたら、アレクが「着いたら起こしてあげるから寝ていいよ」と肩を貸してくれた。
のだが、頭にキスをして「おやすみ」などとやってきたのでドキドキしてしまって眠気がどこかへいってしまった。
文句を言うと、「ごめんね?」と言いながら腕を回してきて顔をなでなでしてみたり、髪をくるくる指に巻き付けてみたり、腕や腰、首を触ってきたり、腿に手が伸びてきて慌てて向かいの席に逃げた。対角線上に。
アレクは、わたしの隣に来ると「ごめんね。手、繋いでいい?」と、まったく反省してない顔で言ってきた。
でも許してしまうわたし...。
惚れた弱みってヤツ?
まぁ、そこからは何事もなかったんだけどね?
ホッとしつつも、ちょっとだけ残念、なんて思ったのは内緒だ。
される前にする。
うーむ。言うは易く行うは難し。何しよう?
隣のアレクをちらっと窺うと、ぼーっと外を眺めていて少し眠そうだ。
「アレク、眠いの?」
「ん。大丈夫、そんなことないよ?」
「忙しいの?ちゃんと睡眠時間取れてる?うちに着くまで少し横になる?」
「いや、ホントに大丈...」
「膝枕しよっか?」
「...え?膝枕?」
「うん」
わたしは腕を広げてウエルカム態勢をとる。
あ、照れてる。目立って赤くはなってないけど口元に拳を当てて、わたしの膝を凝視してる。
おずおずと「...いいの?」と聞いてくるアレク。
あー、こういうアレク久しぶりー。可愛いー。
「もちろん、いいよ」
アレクがゆっくり横になる。
アレクの頭が転がりそうで膝を組んで支えるようにした。
アレクは目に腕を乗せて今度は、はっきりと赤くなっているのがわかった。
膝枕、ヒットでしたか、そうですか。
「アレク?」
眠っていないのはわかっている。
ちらちらと腕の下から目が見えたから。
「クロエ、さ。これ、癒されてるのかストレスなのかわかんねぇ...」
「え!?ストレス!?姿勢辛い?」
「いや、そうじゃなくて...クロエの顔、見ようとすると、そのライン上に...コレ」
アレクは、そう言って目の上でグーにしていた拳を開いて、ちょんちょんと、わたしの胸をつつくようにした。
「ちょっ、アレク!」
慌てて胸を抑える。
「あ、そうしてくれると、いくらかマシだ」
「マッ...」
「いやぁ、目に毒ってこういうことかぁ。触りたくなるけど触ったら怒るかなぁ、とか悶々としちゃった」
「もうおしまいっ...!」
アレクの体をよいしょ、と起こす。重い。
「クロエ...」
アレクが抱きしめてきた。
「クロエ。休ませてくれようとしたのに、俺がこんなんで怒った?」
「ううん、怒ってないよ」
恥ずかしいだけです。
アレクが少しだけ体を離す。
熱っぽいアレクにドキッとする。
アレクが近づいてきて目を閉じた。
柔らかい感触を唇に感じる。
離れたと思ったら、ぺろっと舐められた。
「...!」
また抱きしめられて頭におでこをぐりぐりして溜息をついた。
「あー、早く結婚したい」
「...うん.....わたしも。半年は勉強するのにはいいけど、ちょっと長いね」
「くっそ長ぇよ。もうちょっと短くできないかな。招待状はまだなんだし、早められないかやってみようかな」
「でも、ドレスも、やっとデザインが決まってきたところだよ。子爵領の方の式のこともあるし難しいと思う」
「子爵領、か...」
「アレク?」
「ん。クロエが早めてもいいなら早くしていい?」
「うん。でも、みんなに無理がかかるのは、なるべく控えたい」
「普通の女の子は、そんなこと考えないんだよ」
「わたしは考えるし気にする」
「そんなクロエが好きだよ。ずっと俺1人でいいって思ってもらえるように頑張らないとな」
「わたしも頑張る」
「...もう」
目元を赤くしたアレクが可愛くて、目を閉じた。
アレクはそっと口づけてくれたけど、だんだん激しくなって「やっぱ可愛くないっ」と思った。
こんな激しいのは、わたしにはムリ。
ニコラ様、翻弄させるのは無理ゲーでした...。




