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【書籍化】 生産スキルがカンストしてS級レアアイテムも作れるけど冒険者アパートの管理人をしています  作者: まるせい


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あんたみたいな馬鹿は、一人で破滅するといいわ

          ◇


「ぐぐぐ、許さぬ。許さぬぞ……」


 魔導具展示会場に到着したヘドロは中に入るとある物を探し始める。


「何をしている!」


 年明けということもあってか、展示会場は解放されていない。だが、警備の人間がおり、ヘドロに声を掛けた。


「やかましいわっ!」


 防護用の魔導具が輝き、警備員を打ち倒した。


「これさえあれば……」


 目の前には古代文明の魔導具がある。かつて、一つの都市を一晩で滅ぼしたと言われている魔道兵器が……。


「私一人では破滅せぬ、神殿も、聖女も、魔王も……」


 その目は完全に正気を失っており……。


「聖女の想い人とやらもこの街ごとまとめて滅ぼしてやるっ!」


 魔導具が起動し、怪しい輝きを放つのだった。


          ◇


 年を越すと同時に、周囲で歓声が上がり、盛り上がりを見せる。


 アースたちは、互いに笑顔を向けると新年が明けたことを祝っていた。


「まさかこんな風に新年を過ごすことになるとは思わなかったよ」


 ライラは笑顔を浮かべると、ポツリと呟いた。


「それは私もですね。アース様と再会できたこともそうですし、他にも親しい友人ができて一緒に過ごすことができるとは想像もつきませんでした」


 それこそ、偶然と奇跡が重なり合わなければこんな光景は実現しなかったに違いない。カタリナは、今の光景を眩しそうに見つめている。


 先日、アースの出自をラケシスとリーンに告げ、彼が某国から狙われているという情報を伝えた。


 身に危険が及ぶことを理解した二人だが、逆にこれまで以上にアースとの距離を詰めるようになったのだ。


 アースの周囲を取り巻く状況と言うのは、とても個人で何とかできるものではない。

 だが、ラケシスやリーン、他にケイやベーアなどの力を借りることができれば、いずれ迫りくる魔の手からアースを助けることができるかもしれない。


 カタリナがそんな風に考えていると、


「あれ? ラケちん。イヤリングは?」


 リーンは普段ラケシスが身に着けているイヤリングが外れているのを指摘した。


「ああ、さっき着替えた時に置き忘れてきたみたい。ちょっと取ってくるわね」


「大丈夫、人多いけどライラも一緒に連れて行く?」


「なんで私まで!? まあ、私もちょっと行きたいところあるからいいけどさ……」


 先程まで、女性陣は振袖という豪華な衣装に身を包んでいたので、ラケシスはイヤリングをそこに置き忘れていたのだと見当をつけた。


「それじゃあ、僕らは先に行ってますよ」


 人が大勢行き交う中、いつまでも立っていると邪魔になる。


 旅館側に手配してもらっていて、新年の祭事を近くで見られる特等席にアースたちは向かうことにした。





 ——ドッカアアアアアアアアアアアアアア――


「何事よ?」


 突如街中で怒った爆発音に、ラケシスは警戒心を呼び起こされた。


「そ、それが……、突然爆発して煙が上がっており……」


 警備兵は困惑した表情を浮かべ、ラケシスに説明をする。


「あちらにある施設は、古代魔導具の展示会場で、おそらく魔導具が暴走した可能性があります」


 自分たちで作ったわけではない古代文明の魔導具は、一部の使い方しか判明していないことが多く、予期せぬ機能の発動で、周囲に被害をまき散らす事件がたびたび起こっていた。


「とにかく、私たちは現地に向かうから、あなたたちは街の人たちを避難させてちょうだい」


「うん、治療は任せて」


 爆発の規模からして怪我人がいるだろう。

 もしかすると火災も発生しているかもしれない。


 目の前で散りゆく命が存在するのなら、救わなければならない。

 ラケシスたちはそう考えると、全力で走った。


「何よ……これ……」


 建物は崩壊しており、周囲に破片が飛び散り家屋に突き刺さっていた。


「ひとまず、火を消さなきゃ……【ミスト】」


 霧が発生し、火元を包み込む。燃え上がろうとしていた火種は、ラケシスが即座に魔法を展開したことで、これ以上広がることなく鎮火した。


「ラケシスさん、私は怪我人を見つけて治療してきます」


 ライラの言葉に、ラケシスは頷く。


「ひとまずこれでよし、後は何の魔導具が暴走したか突き止めて、それを止めなきゃ……」


 そんな風に考えていると、視界の端で何かが動いた。


「これはこれは、探す手間が省けましたな。ラケシス殿」


 見覚えがある形状の魔導具が動き、近付いてくる。


「あんたは……」


 その魔導具の中心には乗り込み口が存在しており、中にヘドロが入っているのをラケシスは発見した。


「あなたのせいでね、ワシは破滅寸前なのですよ」


「知らないわよ。そもそも、他人から恨みを買うようなことばかりしてるのがいけないんじゃない」


 これまで、大勢の人間を陥れ泣かせてきたので自業自得だろう。


「黙れええええええええ!」


 魔導アーマーから弾が放たれ、近くの家屋を直撃し破壊する。


「この世界は弱者から搾取するものと決まっている。金や地位を持つワシに従うのが当たり前なのだ!」


 ヘドロは既に狂っていた。ラケシスにより自らの罪を暴かれた時点で……。


「くっ! 迷惑なやつね……」


 ばら撒かれる弾を魔力で障壁をはることで被害をなくす。


「それ以上進ませるわけにはいかないわね」


「ほぅ、ではどうすると?」


 余裕の笑みを浮かべるヘドロ。魔導アーマーの威力に酔いしれているようだ。

 そんなヘドロに対し、ラケシスは杖を突きつけると、


「あんたみたいな馬鹿は、一人で破滅するといいわ」


 ラケシスは、はっきりと宣言するのだった。

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