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【書籍化】 生産スキルがカンストしてS級レアアイテムも作れるけど冒険者アパートの管理人をしています  作者: まるせい


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ラケシスさん、ちょっと胸を見せてもらえないでしょうか?

「ううう、さっきからどうしてこんな目に合うんですかぁ?」


 さらに怪我が増えたアースは、頬を氷で冷やすと涙を浮かべていた。


「あ、あんたが変なことするからじゃない!」


 胸を守るように抱くラケシス。先程のアースの手の感触を思い出して顔を赤くする。


「それにしたって、原因の半分はラケシスさんじゃないですか!」


 紛らわしい悲鳴を上げたのもラケシスなら、バランスを崩して覆いかぶさってきたのもラケシスだ。


「もしかして調子良くないんじゃないですか? ちょっと熱を測りますね?」


「ちょ、ちょっと……近寄らないでよ」


 先程のように何かが起こるのではないか、そんな不安を感じるラケシスだが……。


「駄目です。もし本当に調子が悪いなら、薬を調合する必要がありますから。じっとしていてください」


 ことがラケシスの健康問題ともなるとアースは強気になる。


 ラケシスもアースが自分の身を案じてくれていると理解しているので、大人しくなった。


「ふーむ、熱いですね。発熱と動悸も激しく、瞳孔も開いている……」


 おでこをつけ、熱を測り、至近距離から見つめ診察を行う。


「こ、これはあんたがくっついてくるから……」


 決して不調ではないことを訴えるラケシスだったが、アースの視線がふたたび胸元で止まる。


「ラケシスさん、ちょっと胸を見せてもらえないでしょうか?」


 アースはじっと観察すると、ラケシスに要求をする。


「殺すわよ?」


 真剣に診察していたかと思えばセクハラ発言をするアース。


 ラケシスは一瞬で目を鋭くすると、彼女の周りから紫電が漏れ「パリパリ」と音を立てた。


「ち、違いますっ! 胸のふくらみが気になっただけです!」


 まったく弁明にならない言葉を口走るアースだったが、ラケシスは自分の胸元に確かな違和感を覚えた。


「もしかして、これが見たかったのかしら?」


 ラケシスは胸に手を突っ込むと、そこからネックレスを取り出す。


 そこには全部で六つの宝玉がぶら下がっており、その内の二つが白く光り、残りの四つは透き通っていた。


「ちょっと、触りますよ?」


 アースは手を伸ばし、宝玉へと触れる。


「ちょ、アース?」


 身体を触れられたわけではないが、ラケシスの胸にアースの手の暖かさが伝わってきた。


 しばらく、真剣な表情を浮かべて宝玉を見ていたアースだったが……。


「ラケシスさんの不調は間違いなくこれのせいです」


 そう断言した。


「これが不調の原因って……。どう言うことよ?」


「その前に、ラケシスさん。これどこで手に入れたんですか?」


「依頼人からもらったんだけど?」


 ヘドロのにやついた顔が思い浮かんだ。


「一体、このネックレスが何だって言うの?」


 アースの反応が気になり、ラケシスは確認をする。


「このネックレスは、古代文明中期に、エロスキーと言う人間が作り上げた魔導具なんです」


「これが、魔導具?」


 古代文明の魔導具といえば結構な価値がある。


「この魔導具は身に着けた人間の運命を操作し、ある現象を発生させることができます」


「それって……どんな?」


 ラケシスは緊張すると喉を鳴らした。アースの端的な説明だけでも、おそろしい力を秘めていることが理解できたからだ。


 アースは神妙な顔をすると告げる。


「この魔導具が発生させる現象とは『エッチなハプニング』です」


「は?」


 ラケシスは「何言ってるんだこいつ?」みたいな目でアースを見た。


「ふざけてるの?」


「ふざけてなんていません、かつてこの魔導具を発明したエロスキーは勤めているメイドにこれを贈り、エッチなハプニングを利用してセクハラをしたとか……」


 結局その魔導具のせいで、妻に刺殺されたと言うエピソードが残っている。


「つまり、さっきから妙なことばかりが起きるのは、このネックレスのせいってことなのね?」


「そうですそうです」


 ラケシスの言葉をアースは肯定して見せた。


「あんたさぁ、自分のスケベを魔導具のせいにして、恥ずかしくないの?」


 ラケシスは嘲笑いをするとアースに冷たい言葉を投げかけた。


 少なくとも、最初のハプニングに関してはアースがドアを開けなければ防げたはずだからだ。


「何てこと言うんですか! 僕が自分の犯した罪を魔導具になすりつけるわけないでしょう!」


「それで、さっき私の胸を揉んでいたけど、感想は?」


「えっと、とても柔らかくて暖かかったです」


 ラケシスは顔を赤くするとアースに殴りかかった。


「やっぱりあんたも喜んでたんじゃない! 他の男と同じよ!」


「いや、本当なんですって! どうして信じてくれないんですかっ!」


 アースは憤慨する。そして少し逡巡すると切り出した。


「そこまで言うのなら結構です。証明してみせますから」


「…………どうやってよ?」


 ラケシスは両腕を組み、胸を持ち上げると疑惑の視線をアースへと送った。


「それを身に付けていれば、どうせラケシスさんがまたエッチな状態になるに決まってますから。この先もハプニングが続けば、僕の主張が正しいことになりますよね?」


 確かにその通りだ。ラケシスがアースの話に同意すると、


「上等だわ、そんな変な魔導具あるわけないし。あんたこそ嘘だったら酷いからね」


 二人はお互いを睨み合うのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ノクターンの香りがする…!!!
[一言] あ〜…こりゃ曲がり角でぶつかった弾みで奥までずっぷりハメられちゃうね
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