第60話 それにしても、アース様。想像よりずっと格好よくなっていましたね
「それでは、本日はこれで失礼させていただきます」
あれから、アースの胸に顔を埋め泣いたカタリナだったが、しばらくすると皆の目があることに気付き、我を取り戻した。
「またいつでも来てね、カタリナ様」
「暇なら顔出しなさい」
アパートの門までカタリナを送ると、リーンとラケシスはカタリナに声を掛ける。
「はい、今日はもう帰らなければなりませんけど、是非また伺わせていただきます」
-
「うん、前もって教えてもらえればもてなす準備をしておくよ」
カタリナから視線を向けられたアースは笑顔で返事をするのだった。
「うふふふふ、今日は最高の一日でしたね」
宿に戻ったカタリナはベッドに身体を投げ出すと枕に顔を埋めた。
普段のカタリナであればはしたない行動を避けるところだが、アースと再会したことで過去を思い出し、結果として子供の頃の感情がよみがえった。
「それにしても、アース様。想像よりずっと格好よくなっていましたね」
涙を流して飛び込んだ自分を温かい眼差しで見守り、頭を撫でてくれた。
その時の状況を思い出したカタリナは枕を抱くと顔を赤くした。
カタリナは幼い頃から本が好きで、たくさんの物語を読んできた。
不幸な境遇にあうが、王子様に助けられ幸せになるヒロインにいつかなりたいと思っていた。
「今の私は聖女だし……。アース様との釣り合いはとれていますよね?」
カタリナはアースの素性を知っている。
アースがカタリナの痣を治療し姿を消した数日後、とある王国の兵士が村を訪ねてきたからだ。
その特徴が完全にアースと一致していたため、素性を知るきっかけとなった。
「だけど……リーンさんとラケシスさんはどうなんでしょうか?」
一見するとアースはアパートに馴染んでいるようだ。
リーンやラケシスとの距離が近く、ケイやベーアとも仲良くしている。
手料理や、数々の便利な魔導具を扱っていることから、アースの素性を知っている可能性は高かった。
「ま、まさか……あの二人のどちらかと付き合ってるなんてことないですよね?」
アースとの再会に心を躍らせていた為、肝心なことを確認するのを忘れていたカタリナは顔を青くする。
――コンコンコン――
「失礼します」
ノックして少し経つとドアが開き御つきの神官が入ってくる。
「カタリナ様に神殿より新しい命令書が届きました」
「……アース様意外と天然だから平気かも、でもあの二人の様子を見る限り安心できないきもするし……」
「カタリナ様?」
神官が入ってきたこと気付くことなく思案するカタリナ。まるで難病人を目の前にした時のように険しい表情を浮かべている。
神官は、カタリナが病に蝕まれた人を憂いているのだと見当をつける。
「それでは、こちらに命令書を置いておきますので、後ほどご覧ください」
黙って部屋を出て行った。
後ほど、カタリナはその命令書を見ると激怒することになる。
その命令書にはこう書かれていた……。
『聖女カタリナの婚姻相手決定』
と。
※『生産スキルがカンストしてS級レアアイテムも作れるけど冒険者アパートの管理人をしています』
いよいよ明日発売になります。原作にはないエピソードを追加し、素晴らしいイラストも描いて頂いています。
是非読んで頂きたいです!!BOOK WALKERなどの電子書籍では特典SSがつきます。お楽しみください!




