カタリナの過去①
「近寄ってくるな化物!」
数人の男の子が石を投げつけてくる。
その顔は私を気味悪がっていると同時にどこか楽しそうだ。
「や、やめてください」
私は言葉で抵抗をするのだが、その声は小さく相手には届かなかった。
「化物が何か言ってるぞ!」
「声が小さくて何言ってるかわかんねえよ!」
「きっと化物だから言葉が通じないんだろ!」
「………………うぅ」
次から次に飛んでくるナイフのような言葉に私は座りこんで泣き出した。
「ちぇっ! つまんねーの! もう行こうぜ!」
私がうずくまって泣いていると男の子たちは飽きたのか居なくなった。
「うぅ……痛いよう」
石が幾つか身体に当たり痣になっている。だが……。
傷の確認をしようと水面を見る。するとそこには醜い痣がついた顔が映った。
顔だけではない、首から下の腹部にまで広がる痣はある日突然浮かび上がったものだ。
両親と共に教会に行って見てもらったところ、この痣は呪いだという。
私の祖先の一人が強く人から恨まれるような商売を行っていたらしく、子孫の誰かに発動するように呪いを掛けたらしい。
呪いの因子はこれまで発動することなく、私が10歳の誕生日に発動した。
それから3年が経ち、私はそれまで仲の良かった友達や普通に話をしていた近所の人たちから避けられるようになった。
両親も呪いのことについては町の人たちに説明をしてくれなかった。祖先に呪いを受けた人物がいると知れると近所から白い目で見られるからだ。
この呪いのせいで、私は両親からも疎まれるようになったのだ。
「どうして……私ばかりこんな目にあうの?」
悔しくてただ涙が出る。自分は何も悪いことなどしていない。先祖のとばっちりをうけて呪われているのだ。
「いけない、早く帰らなきゃ」
せっかくいじめっ子がいなくなったのにこうしていたらまた他の子にいじめられてしまう。
私ははっとすると急ぎその場をあとにした。
「どうか今日は会いませんように……」
私はびくびくしながら道を歩いている。それというのも週に一度のおつかいに出ているからだ。
男の子たちに会うと虐められるので慎重に移動をしている。だが…………。
「おーい! こっちにいるぞー!」
「ひぅっ!」
おつかいの帰り道。先週とは違う道を選び歩いていた私だが、男の子の一人と会ってしまった。
「へへーん、逃げ切れると思ったか? お前がこっちの道に来ると思ってたぜ」
「やましいことがあるから逃げるんだろ! 化物め!」
「今日こそ退治してやるからなっ!」
「やっ、やめてよぉ~」
私は身体を丸めると買ったものを身体に抱いた。
もし壊してしまうと家族からも溜息を吐かれて怒られてしまうからだ。
「ほらっ! くらえっ!」
「俺だって負けないぞっ!」
「少しは抵抗してみろよっ!」
その日は普段よりもしつこく男の子たちは攻撃をしてきた。
「ううぅ。痛いよ、痛いよぉ」
普段は泣き声を出さないようにしている。私が痛がると彼らはますます喜んで虐めてくるからだ。だけど、今回は執拗に攻撃をしてくるので私の口から自然と言葉が漏れてしまった。
「もう許してよぉ」
「おっ! 謝るってことは化物って認めるんだな?」
「やりーっ! やっちまえー!」
「ひっ!」
棒を片手に近寄ってくる男の子に私は口をパクパクさせる。これまで以上にひどい目にあわされることがわかったからだ。
「どうして私ばかりこんな目に。そっか……私が生まれてきたのが悪かったんだね」
私がいなければ両親も近所に後ろ指をさされることを気にせずに済んだ。私がいなければ男の子たちも正義を振りかざすことはなかった。私がいなければ…………。
虚ろな目で目の前の男の子たちをみる。受け入れてしまえば簡単だ。私が悪いんだから彼らの攻撃を受けるのは当然なんだ。
「なんだよ抵抗しないのかよ! つっまんねー! もういいや、化物退治といこうか」
私が反応しなくなったのがつまらないのか男の子が棒を振り上げる。
私はその棒を見上げる。それなりに太いので当たったら痛そうだ。
次の瞬間、棒が振り下ろされる。私は避けるつもりがなく目の前に迫る棒を見ているのだが……。
――ガッ――
鈍い音が響いた。目の前で血が流れる。
「えっ?」
だが、流れ落ちたのは私の血ではなかった。
「お前たち! 女の子相手によってたかっていい加減にしろよ!」
目の前には頭から血を流した同い年ぐらいの少年が立っていた。
「なんだよおまえっ! 化物の味方をすんのかっ!」
「関係ない奴は引っ込んでろよなっ!」
「こいつからやっちまおうぜ!」
男の子たちは棒を振るうと突如現れた少年に攻撃を加えようとした。
「に、逃げて下さいっ!」
関係ない人まで巻き込みたくない。私は必死に男の子を助けようとするのだが……。
「【シールドリング】」
「なんだこれっ!」
「見えない壁があるぞ!」
「くそっ! 卑怯だぞっ!」
男の子たちは棒を振り回すと少年を攻撃するのだが、その攻撃は少年に当たる前に跳ね返されてしまう。やがて棒が折れると……。
「はぁはぁ。くそっ! 覚えてろよなっ!」
このまま攻撃しても無駄だと悟ったのかその場をあとにするのだった。
午後のランキング更新で日間ハイファンタジー3位まで上がることができました!
表紙入りできたのは皆さんのお蔭です!
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