それよりアンタ、いかがわしい部活に入ったそうね
とりあえずはさっきの小鬼たちも振り切れたようだ。
私はひとます安堵の息をつく。
「ふぅ……しかし罰その2が『地獄めぐり』とは、三門様も人が悪いな」
サタケさんが言った。呼吸もかなり落ち着いてきたようだ。
もう遠慮する必要もなかろう。私は厳しい眼差しで彼を問い質す。
「そう、それですよ! これってサタケさんへの罰なんですよね? これだけの厳しい罰を与えられるって、一体どんな悪いことをしでかしたんですか?」
生半可な悪事では、これほど厳しい罰は与えられないだろう。あまり考えたくないが、それこそ誰かの命に関わるような悪事に手を染めない限り――
サタケさんは変態だし、いじわるだし、えっちだし、むかつくけど、それでもそんなに悪い人ではない気がするのだ。本当に取り返しのつかないようなことをするような、そんな人だとは思えないのだ。
「あ、えっと、それはだな……」
サタケさんはまた慌てる。
しかしそれは本当に追い込まれている――というほどのものではないように思えた。
例えるなら、男の子の隠していたちょい過激なえっち本が親バレして、「違うんだよ、友達が勝手に置いてったんだよ! 俺SMになんか全然興味ねぇし!」と必死で言い逃れようとしているようなレベルだ。「それよりアンタ、いかがわしい部活に入ったそうね。『美丘部(※女子禁制)』だっけ?」「いやちが……別にいかがわしくなんかねぇよ! 単にきれいな丘を求める部だよ!」「じゃあ女子禁制ってどういう意味よ?」「あ、えっと、それはだから……ええと……」
――やっぱり『美丘部(略)』は真っ先に廃部にすべきよね。
あれ、何の話だっけ?
「これはあまり言いたくなかったが――そうだな。沙良ちゃんにはそれを知る権利がある。か……」
サタケさんは観念したようにぽしょりと言い、そっと息をつく。
「はい」
「まあ休憩のための時間潰しだ。少し時間はかかってしまうが、聞いてくれ。その結果それでも僕を許せなかったら、君は僕を殴ってもいい」
「はい。もうそのときはマジで遠慮しないんで」
「あ、ああ……」
少し怯えつつも、サタケさんは頷いた。
そして語り始める。彼は何かに思いを馳せるようにどこか遠くを見つめている。