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23話-咎人-

皿の上には、甘酸っぱい木の実から作られた薄桃色の小さなカップケーキ。

バスケットの中には、ふわふわ食感が人気のバサリア産ブレッド。

そして、花の香りが漂う淹れたてのアフタヌーンティーを啜り、しっかりめにくつろぐイル。


「ごきげんよう、ラース。遅い目覚めね。」

情報量が多すぎる。

どこから突っ込むべきか…。

そんな事が頭を過り硬直するラースの体調はまだ万全とは言えず、香りに誘われてようやく寝室を出たが、ランチ時間は優に過ぎていたようだ。

宿から貸し出された柔らかく肌触りの良いローブを羽織り、胸元からは包帯が垣間見えている。

一方、彼女の外観からは傷1つ見受けられない。

問い詰めたところで答えはしないだろうとラースはため息を着くと、ひとまず安堵した表情を見せて椅子に腰かけた。

傷に触れぬよう、静かにブレッドを摘む。


「無事で何よりだよ、イル。ところで、何故ここに?」

「あなた達のお望み通り、天使狩り廃止を知らせに。それと、あなたに頼みが。」

「ん?なんだ?」


ラースが起床する少し前。

イルにより釈放されたルゥーと共に、2人は宿を訪れた。

初めて対面するランとイル。瓜二つのその姿に、2人は驚いた。

手土産のケーキを囲い、茶会で親睦を深める。

そこには総長としての威圧感は既に無く、甘い菓子に舌鼓するランを横目に、優しく微笑む。

しかし、キアラはイルを警戒。

彼女は天使狩りによる被害者の代表として政府との交渉を進める意志を伝えると、立ち去ってしまった。

「ちょ…!キアラちゃん…!」

「仕方ないわ。私は咎人だもの。ところで、あなた達に頼みが。」

「ん?なんや?」


「あなた達の旅に、私を同行させて貰えないかしら?」

「えええええ…!?」

時間は違えど、ラースとルゥーは同じような声をあげた。


「この辺りの地理は詳しいし、戦闘の知識と技術ならある。足でまといにはならないわ…っ…ぐっ…。」

一瞬、イルは眉間に皺を寄せ、胸元をギュッと抑えた。

「大丈夫か!?」

「…時間が無いの。っ…お願い…。」

とっさに体を支えるラースの袖にしがみつき、声を絞り出す。

何か深刻な事情があるのだろう。

ラースは黙って頷いた。

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