表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/24

13話-天使狩-

街中の繁華街を少し外れた、静かな民宿。

一階のロビーで受付を済ませ、階段を上ってすぐの個室へ移動した三人。

部屋の中は三人分のベッドが並び、一番奥の窓から街の景色が見える。

ランは靴を脱ぎ捨て、ふかふかのベッドに飛び乗った。

椅子に腰かけ、深いため息をつくルゥー。

ラースは壁に壁に寄りかかり、険しい表情で腕を組む。

街に入り真っ先に目の当たりにした残酷な光景。


天使に関する伝承は、総じて天使伝説と呼ぶ。

天使伝説の影響は絶大で、世界中がその行方を追っている。

力さえ手に入れれば、新世界を創生する事など容易い。

人間は天使専門の特殊組織を結成している。

ラースもまた国家レベルの任務として天使を探す一人。

当然、天使狩りなど言語道断。

「とにかく情報収集だ。放ってはおけない。」

「よっしゃ、ほな俺が行ってくるわ。ラース、ランちゃんを守ってや!」

ルゥーは勢いよく立ち上がり、部屋のドアノブを握る。

「ちょっと待てルゥー。これを、着けてくれ。」

荷物が入った袋の中から二つ、金属製の装置を取り出す。

親指の爪ほどの小さな装置。耳飾りのような形状をしている。

一つはラースの耳に挟め、もう一つはルゥーの耳元に装着。


宿を後にしたルゥーが一人で街中を歩く。

見慣れない軍服姿に、すれ違う擬人が時折チラ見する。

商いをするテントが無数に連なる賑やかな繁華街の中は、人混みで道が狭い。

「おっちゃん!天使狩りについて教えて欲しいねんけど!」

人混みをかき分けて進み、店先で手あたり次第に声を掛ける。

「らっしゃい!元気な狐の兄ちゃん、すまんが他所で頼む!」

「すまないねぇ、忙しくて手が開かないんだ。」

「おいおい、他の客の邪魔だ!最後尾に並んでくれ!」

しかし、どの店からも有力な情報は手に入らなかった。

諦めずに、次の作戦に乗り出す。

繁華街を逸れた小道を進むと、住宅街に出た。

先程とは打って変わって静かな街並。

芝生が生い茂る、広い公園を見つけた。

中は遊具が置かれていて、家族連れの擬人たちが平穏な時間を過ごす。

ベンチに座る親子の元に駆け寄り、尋ねる。

「すんませーん!天使狩りについて―。」

しかし、母親の擬人が天使狩りというフレーズを聞くなり血相を変えた。

「失礼します。」

子供の手を引っ張り、小走りでその場を立ち去る。

遊具で子供に話しかけようと近寄るも、大人達が子供を引き連れて離れて行く。

いつの間にか、公園から人の姿が消えた。

「上手くいかんなぁ~…。」

会話すら取り合って貰えない。

まるで、市民たちが天使狩りから目を背けているかのように感じ取れる。

腕を組み、良い方法は無いか。作戦を考えながら一人歩く。

人気の無い狭い路地裏を通り過ぎ、再び繁華街へ。

今度は中央広場を目指す。


「ん?どしたんやろ。おーい!」

ふと、道の片隅で黒いフードを被り、しゃがみ込む擬人を発見。

ルゥーは駆け寄り、同じ目線にしゃがんで話しかける。

泣いているようだ。

「大丈夫か?具合、悪いんですか?」

問い掛けながら、慰めるように背中をさする。

小刻みに震えている。特に外傷は見受けられない。

すると擬人はルゥーの肩を掴み、助けを求めた。

「…助けてください。お願い!」

フードが脱げ、顔が現れる。緩やかなウェーブがかかった茶色の長髪。

怯えるせいで後ろに向く獣耳。猫の擬人女性だ。

しかも整った美しい顔つきに、ルゥーは思わず顔を赤らめた。

「ななな…な、なにがあったんすか?」

同様しながら問いかけると、女性は再び大粒の涙を流す。

「生贄に…選ばれて…。嫌、嫌ああああ…!」

「なっ…!、詳しく教えてくれ!」

女性が落ち着くの待ち、ゆっくり話をする為、二人は路地裏へ移動した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ