4-0.童話『トムとサム』
0話だけトーンが変わりますが、1話からいつもの感じに戻ります。
第4章『新米農家 帰郷、そして……』 はじまります。本章は農業成分が多め、ほのぼの日常回になります。
あと、余談ですが更新の予定を報告するため活動報告を書くことにしました。
拙作ながら、読んで下さる方がいること、とても嬉しく思っております。もしも、更新をお待ち下さる方がいたら、ご参照頂ければ幸いです。
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これは、二界でも有名な童話。二界に長く住んでいる人なら誰もが知っているおはなし。
<トムとサム>
むかし、むかし。
シカのトムはみんなにあいされてしあわせにくらしていました。
かれはこのしゅうらくのリーダーでした。にんきもののトムはしぜんにりーだーになっていたのです。
でも、トムだけではきっとしあわせなしゅうらくはつくれませんでした。
そう、トムにはゆうしゅうななかまがたくさんいました。トムはなかまたちをこころからしんらいしていました。
でも、なかまのなかにたったひとり、トムのことをねたましくおもうひとがいました。サムです。
「なんでぼくたちががんばっているのに、トムばっかりがにんきものなのだろう」
サムはトムにこういいました
「いつもがんばっているから、にかげつくらいうみべのまちでやすんでおいでよ」
「ぼくがみんなにやすんでいるってつたえておくからさ」
トムはとてもよろこんで、まちをでていきました。なんていいなかまをもったんだろうとおもいました。
さて、トムがいなくなってからすこしたったころサムはこういいました。
「みんな、トムがいなくなってしまったよ。かえってこないって。でも、あんしんして。ぼくがみんなをまもるから」
みんなはおどろいたようすでしたが、サムがいるならだいじょうぶだとあんしんしたようです。
それからというものサムはりーだーとなりしゅうらくをまもりました。
でも、サムはこころにすっぽりとあながあいたきもちになりました。そして、きづいたのです。
みんながトムをしんじていて、そのトムがぼくのことをこころからしんじてくれていたということに。だからみんながしんじてくれた。
それだけみんなにしんらいされているトムに、ぼくはしんらいされていたんだ。そんなほこらしいことはない。やっぱりトムがいないとだめだ、と。
サムはいそいでトムのことをむかえにいきました。
「ごめん。ぼくはりーだーになりたくて、トムがいなくなってしまったといってしまった」
「なんだ。そんなことか。おれはりーだーじゃなくたっていいんだよ。でもわかった、みんなにはこころがわりしてかえってきたとつたえよう。サムのおかげだ、ということにしよう。いいなつやすみだったしね」
サムはトムのこころのひろさにかんどうしました。
そして、にどとそんなわるだくみはせずに、トムをいっしょうけんめいたすけたのです。
しゅうらくのみんなはそんなことがおきたとはしらず、トムのしゅうらくはしあわせにあふれたすてきなしゅうらくでありつづけました。
めでたし、めでたし
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