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【コミックス第1巻発売中!】女キャラで異世界転移してチートっぽいけど雑魚キャラなので目立たず平和な庶民を目指します!  作者: TA☆KA
第三章:デケンベルの寄宿校

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79話 夢見るままに待ちいたり

大変お待たせしております。


ここから3章スタートです。

     -**--*--**--*--**--*--**--*-





「…………これは、これはどういう事?!わたしに何をさせたの?!何をさせたのよ?!!答えなさいバルデモンテ!!」

「魔族の討伐です。貴女は王国に仇成す、魔族の一族を滅ぼされたのです」

「ふざけないで!!何が『魔族』よ?!この人たちは只の『人』よ!!ただ普通に暮らしていただけよ!男も女も!子供も老人も!ただ普通に生きていただけ!!」

「魔族は存在そのものが邪悪なのです、その汚れた存在は常に王国の脅威となり障害となります。どんな小さな相手であろうと、情けを賭けずに殲滅する必要があるのです」

「何が脅威よ?!殲滅よ?!相手は戦う力も持たない女や子供ばかりじゃない?!!こんな小さな村を焼く必要なんてどこにもない!!!」

「これで魔族の拠点を一つ潰せました。これは大きな戦果です」

「ふっっっざけるなぁっ!!こんなの……こんなもの!なんの抵抗も出来ない村人を殺した、只の大量殺人じゃないか!!」

「戦争とはかくも悍ましいものです。一刻も早く魔族を全て滅ぼし、我が民が奴らに蹂躙されぬ世界を作らねばなりません」

「こ!このっ!!」

「よせ!スズ!!そいつに幾ら言っても無駄だ!」

「でも、でもトール君!こんなの、こんなのって無い!!義父さん達の為になるからって……、魔王を倒せば帰れるかもって言うから……。でも!そんなの絶対ウソだ!!」

「ああ、分ってる、分かってるさ。あの元老院は信用しちゃ駄目だ」

「もうヤダ!ヤダよ!!帰りたい……帰ろうよトール君!帰りたいよ!!家に帰りたい!!」

「…………スズ」

「……お父さん、お母さん、お兄ちゃん。……会いたいよ!帰してよ……アタシをお兄ちゃんのトコに帰してよ!!」

「スズ!大丈夫だ、いつかきっと帰れる!それまでオレがずっといるから!ずっといるから!!」

「トール君……トール君!!」




    -**--*--**--*--**--*--**--*-





 久し振りに夢を見た。

 これは何時の記憶なのだろうか?


 いや、もしかしたら自分の記憶では無いのかもしれない。

 思えば、此処へ来る前の記憶は、時間ときが経つごとに朧になって来ている気がする。

 今では周りにいた人はおろか、嘗ての自分の顔すら、ろくに思い出す事が出来ないでいる。

 日常にあった事の記憶すら曖昧だ。


 そのくせ、コノ身体やスキルの事。ゲームや現代知識は綺麗に残っているのだから、おかしな話だ。

 でも、時々小さなエピソードを鮮明に思い出す事もある。


 正直、自分の記憶がどうなっているのか、全く分からない。


 普通なら、こんな風に自分が曖昧な記憶を有しているとなれば、それこそ自分の存在にすら不安を覚えるのかもしれないけれど、何故か自分はこの事に何の憂慮も感じていない。


 だから今見た夢も、自分の持っていた記憶なのか、他所から来たモノなのか良く分からないし、割とどうでもいいと客観的に感じていた。


 あの泣いていた茶髪の女の子は誰なのだろう?

 言い争っていた美丈夫は?

 女の子を優しく抱いていた男の子は?

 よく知っているような気もするし、初めて見た気もする。


 寝起きのまどろみの中、ボーっとそんな事を思っていたが、頭が覚醒するにつれ、寄せる波が砂で作った城を崩すように、夢の記憶は融けて流れ行く。



 寝起きの頭を起こそうとベッドから降り、水差しの水を洗面器に注ぎ、それで顔を洗う。そして用意されている清潔なタオルで、顔の水を拭き取れば、もうすっかり目は覚める。

 カーテンを開き、窓を開け放てば、朝の陽射しと共に、暖かな夏の風が部屋の中に吹きこぼれる。



 今日は3の紅月28日。

 昨日、わたし達は村の学校を卒業した。

 卒業までの間、必要な単位が取れていればそれ以上は学校へ行く必要も無く、自由に進学の為の準備に費やしても良いし、下級生の面倒を見る為に登校しても構わないと、最後はかなり自由な物だった。

 長期休暇に入る前日でもあった昨日は、卒業生はみんな登校して、デイジー先生から『デケンベルでも頑張って下さい』と激励のお言葉を頂いて、普通に下校をして終わりだった。

 そんな感じで、わたしは昨日、無事基礎教育を終えて、村での最後の夏を迎える事になったのだ。


 再来月には、デケンベルへの寄宿学校へと進学する事も決まっている。

 その出発準備も始めなくてはいけないと考えると、少し気が重い。

 アムカムから離れる事を考えると、気分がドンドン落ち込みそうになる……。

 でも……、だからこそ!今日からの夏季の長期のお休みを……、この最後の夏を、ビビやミアとは勿論、ヘレナやメアリーとも思いっきり楽しむのだ!


 わたしはドレッサーに座り、髪に丁寧にブラシをかけてから、お気に入りの空色のワンピースに袖を通して、姿見の前で一度クルリと回ってみる。

 フワリと舞うスカートの裾が、綺麗な弧を描いて舞う様に降りて行く。

 髪も、光を播きながら揺れて流れる。


 今では髪は、背中の肩甲骨の上にかかる位まで伸びていた。

 髪型はもうピックテールには出来ないけど、色んな髪型が楽しめる様になった。

 でも大抵は、ソニアママが楽しそうに三つ編みにしてくれる事が多いんだけどね。


 身長もあれから5センチ伸びた。

 手脚もスラリとして来て、我ながら女性らしく成長していると思う。

 当然、肝心なトコロもちゃんと育っておりますのよっ!!


 でも最近は、アーヴィンとライダーのハッガード兄弟が発動させるラッキースケベの被害に、誰よりも会っている気がするのが、ちょっと納得行っていない。

 こーいうお色気担当は、ミアの仕事だと思っていたのだけれど!違うのかしら?!なのかしら?!!


 その上、たまにそのご相伴(?)に預かり、目ん玉剥いて嬉しそうにコッチをガン見してくるカールとかが、ちょっとだけムカつく事案の一つだったりもしる。

 ……まあ、でもね、分かるんだけどね、思春期男子的にはそーなるのはねっ!

 だけどさ!ロンバートみたいにちょっと頬染めて視線を逸らす位が、多少は好感度が上がると思うのよ?!

 カールのガン見と、直後におかわりを求めるその魂の叫びは、いい加減度が過ぎてると思うのよ?!

 今度カーラに纏めてタップリと叱って貰おう!


 しかし、そんな風に、男子なんてこんなモンだよな、とか分かってしまったりする自分も居たりする。

 男だった記憶を持つ身としては、こういう気持ちが分かっちゃうんだよねぇ……。

 でも、こうやって意識を向けなければ、かつて自分がそうだった事も思い出さない程、今ではこの身にすっかり馴染んでいるのだなぁ、とも改めて思ったりもする。


 まあ?そんな男子の気持ちが分かるからと言って、彼らを許すかどうかはまた別の問題なのだけどねっっ!!



 さて、これから最後の夏休み最初の一日の始まりだ。

 今日はハワードパパのお客様が、おいでになると仰っていた。

 早く支度を済ませ、お客様のお出迎えの準備をしなくては。

 また暑い一日になりそうだ。

お読みいただきありがとうございます!


連休前には3章をスタートさせたかったのですが中々思うように進まず、更新が遅れております(>_<)

とりあえず3話だけ連日投下いたします。



世の中大変な事になっておりますが、こんな乱文ででも、少しは楽しんでいただければ幸いにございます<(_ _)>


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第1巻発売予告
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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様も身体には気を付けて下さいね。
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