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【コミックス第1巻発売中!】女キャラで異世界転移してチートっぽいけど雑魚キャラなので目立たず平和な庶民を目指します!  作者: TA☆KA
第一章:アムカムの村

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24話 スージィ・クラウドと村の子供たち

 その日は、昨日来ていなかった最上級生たちも少し遅れて登校して来た。


 カーラ・エドガーラは比較的小柄で、わたしとダーナの中間ぐらいの身長の子だった。

 ショートボブの黒髪と黒い瞳が日本人ぽくて、親近感が湧いた。


 アリシアとジェシカは背も高く、ミアと同じ位か少し高いのかな?年相応って事かしらん?


 アリシア・ルゴシは少し癖のある柔らかそうなアッシュブラウンの髪を、白いリボンでポニーテールにしていた。


 ジェシカ・カーロフはストロベリーブロンドの髪を三つ編みにして両肩から垂らしていて、スラリと伸びた手足は、モデルを思わせるスタイルの良さだ。



 結局、この三人にも捏ね繰り回された。


 どうやらわたしは、ココでは愛玩動物のポジションを確保しているらしい。


 また今日も、波に翻弄される小舟の様になってグルグル目玉になっていると、最上級生の1人ヴィクター・フランクと云う男子が音も無く傍に寄って来た。

 そしてわたしの肩に手を置き何かを囁いて来たのだが……。

 すかさずアリシアが、ヴィクターの顔の真ん中へグーパンチを減り込ませた!


 ヴィクターは綺麗なブロンドをなびかせて、後ろの方へと飛んで行く。


 突然の展開に え?なに?ナニ? と驚いていると、いつの間にかヴィクターがミアの傍で、その腰に手をまわしていた!

 次の瞬間、目を伏せたカーラの華麗なパンチがヴィクターへ炸裂し、ギャラ〇ティカ・〇グナム宜しく、遥か彼方へすっ飛んで行った!!


「良いかいスー。アレと目を合わせちゃいけないよ?近寄ってもイケナイ!傍に寄って来られたらちゃんと大きな声を出す事!いいね?!」


 と、カーラに両肩をシッカリと持たれ、真剣な眼差しで注意を受けた。

 女子たちは全員力強く頷いた後、大きな溜息を吐いた。


 あぁナルホド、彼はそう云う男なんだ……。

 カーラには笑顔を引き攣らせながら わ、わかりました と小さく頷いた。



 一つ下のメアリーが ウチの兄さんがごめんなさい と謝って来た。

 いつもご迷惑おかけして申し訳ありません とはその下のシェリー。


 6段位のメアリーと4段位のシェリーは二人ともヴィクターの妹なのだそうだ。


 あんた達は悪くないのよ あやまる事じゃ無いわ とカーラとアリシアが二人を慰めている。


 こんな調子じゃ街へ行ったらどうなるのか…、今から心配で心配で……。 と二人が不安を吐露している。

 大丈夫よ!私達がちゃんと首に縄括(なわくく)って置くから安心なさい! とジェシカが胸を叩いていたら……。


「はっはっはっ 大丈夫だよ妹達!ボク達はこんなに愛し合っているんだ。一体何を心配すると言うんだい?」


 と、ジェシカの後ろから彼女を抱き、その首元で微笑み囁く様に語るヴィクター!

 一体いつの間に!?口元の白い歯が今キラリッと輝いたよ??


「アナタの事よ!ア・ナ・タ・の・こ・と!!」


 そう言って、ヴィクターの顔面にアイアンクローを噛ますジェシカ。

 メキメキッという音が聞こえて来た。


 ヴィクターはしきりにジェシカの腕をタップしているが、クローを噛ました手はどんどん上に持ち上げられ、最後に一際大きくメキャッ!と何か潰れたような音が響いた後、ヴィクターの身体はブラリと力なく垂れ下がった。


 ジェシカはそれをポイッと窓の外に投げ捨て、改めてメアリーとシェリーに向かい 大丈夫だからね と微笑みかけた。


 な、なんなのコレ!?何が起きたの?!彼はどうなったの?生きてるの!?

 余りの出来事に、一人ワキワキと動揺しているとコリンが傍に来て…。


「大丈夫よ。何時もの事だから心配いらないわよ?」

「い!?いつもの・・・こと・・・なの?」

「そう。彼は心配する必要は無いの!そういう『モノ』だと思って置けば良いのよ?」


 とメガネをクイッと持ち上げながら、優しくコリンが言ってくれた。


「それよりも…ね?ステファンにはあんなモノになって欲しくないでしょ?ちゃんとやってはイケナイ事を教えて行ってあげないとね?」


 そうだ、あの純情悪戯少年には真っ直ぐに成長して欲しい。

 こんな変なモノにはなって欲しくない!


 わたしは力強くコリンに何度も頷いた。


 最上級生のもう一人の男子アローズ・ビーアスは 騒がしくしてゴメンね と謝って来てくれた。


 ああ、良かった普通の人だ。しかも紳士!何か安心する。普通って良いよね?普通が一番!



 因みにねぇ~、他の男子たち…。

 今朝、わたしちゃんと気付いてますからね?


 一個上のウィリー・ホジスン。

 同い年のロンバート・ブロウク、勿論アーヴィンも。

 一個下のロング家のベルナップとカーラの弟アラン。

 その下のスミス家のクラークとアシュトンの双子達。


 ステファンが私に近づくのに気が付いてゾロゾロと後ろに回り込みましたよね?

 あまつさえ、わたしのお尻を見て おおぅ! って歓声上げてたでしょ?


 わたし気が付いてますからね?


 ……とは言っても、みんなまだ子供だしねぇ、子供にパンツ見られたからって、どうってことは無いのだけれど…それに気持ちも判るし。

 スカートが捲れ上がると分っていれば、ワタシなら間違い無く行くもん。

 ウン、間違い無く行く!男の子なら当然だよね!それが男のサガってもんだ!!


 だがしかし!だ。

 わたしの中で育ちつつある娘心的な何かは、『この事案忘れまじ!』と思っているのも事実!


 やっぱりステファンにこんな事やらせてちゃダメだ。


 でも、ホントさっきは血の気が引いた。

 一瞬頭ザクロったかと思ったし…割れて無かったけど…。

 それでも、中身が落とした豆腐になってたらどうしよう!?って、マジで泣きそうになりますた。


 間違いなく脳震盪は起こしてた。

 とっさに額に手を当てて『氣』を送ったけど、所謂いわゆる『手当て』というヤツだ。

 ヒールを使わずに済んだのは、この『手当て』の効果が高かったからだと思う。


 今思えば、あの時ハワードさんの傷を治したのも、この『手当て』だったんだな、と思い当たる。


 解毒の魔法『キュア』との併用だったけど、今の私なら小さい傷位なら『手当て』で治せるって事だね。


 どっちにしても、ステファンが無事に目を覚ましてくれてホント良かったよ。


 次からは『氣』を纏う事で『手加減』する方法を試してみよう。

 そう『氣』を緩衝材にするつもりで纏う。

 どうせあの手の子は諦めず、しつこい位に狙って来るだろうから、あの子には申し訳ないけど少し練習台になって貰おう。


 そのかわりと云っては何だけど!コッチを狙ってくる限りは鍛えてあげようと思う。


 隙の緩急つけたり、立ち位置変えたりしてちょっとずつ…。

 フッフッフ、何時でもおいでステファン!わたしがキッチリ仕込んであげるからね!!





 その日のお昼はとても賑やかになった。


 昨日の6人に加え最上級生の3人、それとジェシカの妹の3段位のジャニス。

 わたしを含め合計11人、学校の女子の半分以上が集まってしまった。


 まぁそんな事は関係無くソニアママのお弁当が美味しいのは正義なんですけどね!

 今日のランチは、厚切りベーコンとフワフワ卵のバゲットサンド。


 コノ塩味の効いたバゲットとベーコンの旨味、卵の優しい甘みが絶妙に其々(それぞれ)を引き立てる!

あぁン!ソニアママってばっ!どうして貴女はこんなにもわたしの好みを的確に突いてくるのかしらん!?


 わたしが幸せそうにバゲットを咀嚼していると。


「スーちゃん幸せそうねぇ~。おいし?」


 とミアがニコニコしながら聞いて来た。


「ん!・・・おいしいの!・・・おいしいは・・・しあわせ・・・なの・・・です!」

「良かったらコレ食べてみる?」


 と腸詰肉をお裾分けしてくれた。

 これはマティスン家特製羊のウインナーで、おばあちゃまが作ってくれたものらしい。

 肉に加えるハーブや塩、スパイスの配合が秘伝らしい。


 ハイあ~ん、とミアが差し出す腸詰を一口パクリと頂く。


 口の中で羊の腸を噛み切ると、溢れ出る肉の旨味とハーブの香り!

 ぁふにゅン!!あぁ!あああ!旨味の刺激で顎の付け根が!耳のちょと前の辺りがきゅきゅぅぅ~~~ってなりゅぅぅ!!

 コ、コレはっ!ホッペ落ちるってヤツだぁぁ~~~!!


 思わず頬を両手で抑え、フニュフニュしてしまう!それを見ているミアが嬉しそうに…。


「スーちゃん、おいしい?」


 と当たり前の事を聞いて来る。

 何を言っているの!当たり前じゃない!!なのでちゃんと答えてあげた。


「おいっしぃ・・・のぉ!」


 ミアの顔がそれを聞いて嬉しそうに蕩けた。

 更にそれを驚いたような顔で見ていたカーラが。


「ス、スー!私のこれも上げるよ!食べてみて?ホラ!あ~~ん」


 と分厚く切ったボローニャソーセージを差し出してきた。


 有難くパクリと頂くと、これもとっても美味しくてフニュフニュしてしまう。


 それを皮切りに皆が我も我もと、わたしに食糧を与えてくる。

 まぁどれも美味しくて、とても幸せだったんだけど……。

 でも、ちょっと待って!これってアレじゃない?子供が小動物にエサを与える的なヤツ!?

 やっぱ、わたしってば愛玩動物の立ち位置だったのか!??






 午後の研究会にはジェシカが来た。


 カーラとアリシアは、修練場で下級生の指導に当たるそうだ。

 わたしは今日も次の属性と契約したいと言ったら、それは無理だとコリンに言われた。


 なんでも複数相性がある人の契約は、エーテル体が消耗するのでその回復を待たないと次の契約は出来ないのだそうだ。


 普通なら数週間から数か月、長い人では半年ほど経たないと戻ら無いと言う話だ。


「あ!でもアンタは普通じゃないし……試してみる?」


 とビビに言われた。

 なんて事を言う子でしょうかっ!失礼しちゃう!


 何の属性が良いか聞かれたので『火』をお願いした。

 すると今回は赤い光が浮かぶケースを持って来てくれた。

 早速それをまた五精盤にセットする。


 エーテル体が回復していれば反応するそうなので 手を乗せて試してみろ と言うので乗せたら…、昨日と同じ様に淡く光を帯びた。


 ホントに反応した! とビビが呆れた様に言ってきた。

 他の皆は目を見開いて固まってる。

 もうそれ止めません?なんか度々その反応されると居たたまれなくなるのですよ?


 これで契約できるかと思ったら、今日はヘンリーさんも神官も居ないので無理ね!とビビ。


 わたし神官見習いだから出来るよ? とジェシカが手を挙げた。


 ジェシカは回復魔法の使い手で、神官の勉強もしているから初期契約なら出来るのだそうだ。



 折角なので火の属性契約をお願いした。

 更にジェシカに後三つ契約できる事を伝えると目を丸くして驚いていたが、それなら私時間あるから毎日日替わりで契約やっちゃう?と何とも軽いノリで契約する事を決めてしまった。


 火の精霊との契約も終わったので、よ~~し試すぞぉ~ と昨日と同じ様に外に出ようとしたらコリン、ミア、ビビの三人に思いっきり止められた。


 水の時、あんな規格外な水玉出したのを忘れたのか?

 あんな感じで火柱なんて出されたら、どんな事になるか分らない!

 子供しか居ないのにそんな事させられない!!

 今度また神官が来た時、監督の元試せ!

 ちょっとは自分のやった事(かえり)みなさい!


 と、なぜか説教をされてしまった。

 ん~?わたしは悪い事はしてないと思うんだけどな~…解せん!!





     ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





 本日の教程が終了して、また昨日の様に井戸端っていると…やはり昨日と同じ様に、わたしに近づく気配があった。


 やっぱこの子凄いな、周りの子達誰も気が付いて無いよ。

 ま、わたしには丸判りだけどね!


 そして、彼にとってはベストポジションな位置に滑り込み、わたしのスカートに手を掛けた瞬間。

 彼の額にスッと人差し指の腹を添える、と同時に『氣』を纏わせた。


 柔らかく人差し指を真綿で包む様なイメージで……。

 よし!これなら行ける!


 わたしは軽~~く、ポンと彼の額に指の腹を当てた。

 ポォォンッと何かを叩く様な音を響かせ、そのまま頭を仰け反らせて後ろにある植え込みに頭から突っ込むステファン。


「なに!?今の音!?」

「あれ?植え込みから出てる足ステファン?」

「なんだって?!またかワルガキ!」

「あ~、でも今度こそ未遂ね」

「ンふ!・・・うまく・・・できた・・・です!!」


 わたしが自慢げに腰に手を当てると やれば出来るんじゃない! 流石ねスー と皆が褒めて来て何故かもみくちゃにされる。

 あふゅぅンん!!



「で?なんであんた達はそこで集まってんの?」


 と、アリシアがわたしの後方に集まっている男子達に問いかけた。


「けさも・・・いたです・・・よ・・・めくられた・・・とき?」


「「「「「「「……え?」」」」」」」


「カールと・・・ねんしょう・・・の・・・こたち・・・いがい・・・みんな・・・いた・・・です」


 今朝、カール・ジャコビニだけは他の男子が集まって来た時、一人溜息を付き首を振って後ろに来なかった。

 わたしの中でこの子のポイントは高いのだ。


「あんた達…もしかして…?」

「え?ウソ!ウィリーもなの?」

「ふん!アーヴィンはやっぱりなのね!」

「アラン!アンタまさか!!」

「うぇ!!」


 蜘蛛の子を散らす様に男子たちが逃げて行く。


「待ちなさい!アンタらぁ!!」


 とダーナやカーラ達が逃げる男子を追いかける。


 そんな中、ウィリーだけはミアとコリンに掴まって、二人のお説教が始まっていた。

 ウィリーって見た目は知的なメガネ男子なのに、妙に要領が悪いのよね。

 でも、ムッツリなのはバレましたからね?


 ステファンが植え込みから顔だけ出して なに?なに? とキョロキョロしてる。


 何か平和な光景だ。

 思わず楽しくなって笑ってしまう。

 ウン!わたし、この村好きだ!!

次回、物語が少しアムカムから離れます。

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