02話 スージィ驚きを覚える
当分、主人公以外の人間が出てきません^^;
森の一部が抉られ白煙を上げていた。
「いや、いやいや!いやいやいやいやいやいや!」
自分の作った『跡』を見て改めてビビる。
「只のダッシュ技だよ?!攻撃力無いスキルだよ?!」
ターゲットだったモノは最早欠片も無い。
「えぇ~~?なんでぇ?Mobとレベル差があり過ぎって事?だとしても、夢だからって派手すぎでしょ!?」
メキメキと音を立て、抉り砕かれた木々が崩れ落ちていった。
「でっかい熊みたいなMobだったなぁ……。タゲると名前も『判る』っぽいけど……、直ぐ爆ぜちゃったからなぁ」
ナントカ・ベアだったかな? と、自分の抉った惨状から目を背けるように、一筋汗を垂らせながら呟いた。
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響き渡る大音に驚き、多くの生物たちはその場から遠ざかるように逃げ出していた。
しかし、中には逆にそれで引き寄せられるモノ達もいる。
自らを『強者』と自覚するモノたち。
ソレは苛立っていた、突然の衝撃と大音に動揺を覚えたことがソレのプライドを傷付けたのだ。
生物としての本能に従うのなら、何らかの脅威を感じたならば、速やかにそこから離れるべきだ。
知恵なき獣ならそれで良いだろう、だがソレは『強者』である。
自らに脅威を与えたものを、そのままにしてはおく訳にはいかない。
誰に対し牙を向けたのかを、相手に知らしめる必要がある。
ソレはその憤りを隠そうともせず、音の発した方向へと足を急がせた。
ソレがその場所を確認した時、改めて驚きを覚えた。
その惨状にでは無い、そこに居た者に対してだ。
本来こんな場所には居る筈の無い者。
もっとここから遠い、この森の端まで行かなくては遭遇できない『人』だ。
しかも『若い牝』だ。
ソレは驚きや苛立ちが悦びに変わるのを感じていた。
最早、大音を轟かせた正体も原因もどうでもいい。
目の前に滅多にお目にかかれない極上の獲物がいるのだ。
『人』は簡単に抑え込める。
稀に武器を持っている者も居るが、奴らの貧相な刃物ではこちらの毛皮にはロクに傷など付けられない。
脚で抑えればそれで終わりだ。
それにこいつ等は、その身に爪を軽く立てるだけで直ぐに音を出す。
特に『牝』の出す音はとても美味い。
タップリと音を絞り出させ、啜るように味わってから肉を喰らおう。
これから楽しめる饗膳を想い、サーベルタイガーを思わせる巨大な牙を備えた口元が歪む。
5メートルに達する黒いネコ科を思わせる巨体がゆっくりと地面を這うように沈み込んだ。
肩口から延びる2本の触手が震え、金の眼がスッと細まると、その存在が薄まっていく。
【隠形】インヴィジビリティ
魔力操作で己の存在を空間に溶け込ませ、他者から認識する事を不可にする。
『人』では到底見つける事は出来ない。
魔力を持って探知をする者も居るが『人』の魔力量程度でこれは捉えられない。
このまま組み伏せ爪を食込ませながら姿を現わせてやろう。
きっと、とても美味い音を出してくれる。
と冷ややかな愉悦に浸りながら獲物へと飛びかかった。
身体を右に半身開き、そのまま上半身を捻り腕を放り投げる様に廻し、握ったブレードを叩きつける。
派手な破裂音と共に飛びかかって来たモノは破裂した。
「うわっぷ!」
破裂した水風船の如く黒い毛皮と血肉が飛び散った。
「うあああ、また爆ぜたぁ……。やっぱ盛大にオーバーキルか。……今のヤツは『クァル・ジャガー』って名前だったかな?この辺のMobは初期村クラスなんだろか?」
飛び散った血肉、脳漿や内臓の破片などを眺めながら独りごちた。
(結構グロい状景なんだが……、何気に平気だな?オレってグロ耐性高かったのか?やっぱり夢だからだな)
などと納得していた。
「でも、スキルの使い方も判ったっぽいし!」
スキルは意識の中にイメージとして有る様だ。
ゲーム画面の様にアイコンがある訳では無い。
使いたいスキルを使いたいと意識すれば発動するようだ。
ほぼパンチをストレートにするかフックにするかを選択する様な物だ。
「魔法を使うのも同じ感じかな?とりあえずエンチャはしとくか」
そう言うと剣を持ったまま両手を頭上に掲げ、揺れるように踊り始めた。
その口元から囁く様な唱が漏れ出す。
すると唱に合わせる様に楽器の音色が響き始めた。
ホーン、リュート、ハープ、ドラム、ギター、オルガン様々な楽器を演奏する小妖精が現れ演奏を奏でる。
HP、MPの増加及び回復値、攻撃、魔法、速度、物理魔法防御、回避、クリティカルの発生及びダメージ力、移動速度、各種属性の抵抗値、精神や身体の異常に対する抵抗力。
等々、身体能力が次々と大幅に増加していく。
(魔法も同じ感じで使えるな。しかもマクロ組むようにセットして使えるっぽい?スキルのコンボも試してみるか……)
やがて演奏を終えた小妖精たちが消えて行く。
「さっきのでかい音で随分散っちゃったけど、まだ近くにはMobは結構居るな」
周りを見渡しレーダーで……自らの探索能力で、Mobの位置を確認をする。
舌でペロリと上唇を舐めた。
「さて、そんじゃちょいとばかり試してみよっかなっ!」
少し強気な笑みを浮かべ、最も近い敵へと向けて飛び出した。