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107話 闘い終わって

少し加筆しますた。

 決闘騒ぎの後、嵐の様な日々が襲って来た。

 何故だかあの直後、知らない人達に囲まれて、声をかけられ話しかけられ、お茶会のお誘いを受けたりしまくったのだ。おかげで目ん玉がグルグルになった!

 大体、何でわたしに来るのかな?

 決闘したのアーヴィンじゃん!アーヴィンに行けば良いじゃん?!


 ま、アーヴィンも囲まれてはいたけどさ!

 でも、それはビビが()()()てたんだけどさ!

 どうせなら、わたしに来てた人達もどうにかしてよっ!と言いたいんだけどさ!

 まぁ良いけどさっ!

 アンタにとっては、アーヴィンの方が大事だって分かってるからさっ!

 女の友情なんて、所詮そんなモンだよ。悲しいったらありゃしない!フンフンぐしゅんぐしゅんミーンミーンだっ!!


 『この程度、自分で処理しろ』って事なんだろけどね。そういう目でビビ、コッチ見てたし。それに、アーヴィンの方が大量の人の波に飲まれてたからね……分かってますけどね!

 でもマジ大変だったんだから!

 結局、キャリー様からのお茶会へのお誘いは断らなかったし、断れる訳無かったし!シクシクシクシク……。

 流石に今回のお誘いは前回みたいに当日って事はなかったけれど、招待状をお持ちになった、笑顔を絶やさぬ侍女の方の有無を言わさぬ雰囲気は、その後ろにキャリー様がモロに透けて見えてて、ホント凄く怖かったのよさ!


 キャリー様のお茶会は、最初のお誘いの時に恐れていた様な、お姉様方に囲まれての物だった。

 いや!ホントに囲まれたんですけど!


 そのお姉様方……、キャリー様の取り巻きの3人の先輩方。

 お一人は、赤茶の髪をミディアムボブにした、ジョシー・マッコイとおっしゃる先輩。

 溌溂としたお姉様で、姉御肌と言うのかな?3人のまとめ役と言った感じの方だ。


 もうお一人は、健康的な褐色の肌と、艶やかな黒髪がお綺麗な、ヴァレリー・ブラウンとおっしゃる先輩だ。

 多分この中で一番の良識人だ。行き過ぎるキャリー様の言動を、時々諫めておられた。キャリー様もそれを嫌がってはいない。きっと良いご関係なのだろう。


 そして最後のお姉様は、金髪碧眼のメロディ・バレンタインとおっしゃる先輩だ。

 柔らかなブロンドと愛らしいお顔立ちで、お人形さんみたいな方なんだけど……、この方なんか距離感がおかしい!会った瞬間抱き着かれて、ほっぺにブチュ~~ってキスされたよっっ!!他の先輩方の反応を伺うに、この方、天然不思議ちゃんキャラっぽい!キャリー様に次いでキケンなお姉さんだ!!


 校内の植物園で催されたティーパーティーは、園の東屋(ガゼボ)内に設えてあるベンチに座りながら行われるモノだったのだが、そこではお姉様方に、ガッチリホールドされる様に囲まれ挟まれ、『今度は此方よ』『次は此方へ!』『早く戻っていらっしゃい!』ってな感じでお姉様方の間をグルグルと回され、わたしの目玉もグルグルになって、それはもう大変な目にあったのよさっ!!


 更にキャリー様ってば、お茶を頂きながら、お姉様方にガッチリホールドされたわたしを正面から見据え、実に楽しそうに恐ろしい事を仰られる。


「貴女の騎士の戦いぶり、実に素晴らしかったわ。アーヴィン・ハッガードの実力は、一昨日の決闘において学園内に余す事無く広まった事でしょう」

「……は、はぁ、あ、ありがとう、ございま、す?」

「もう一人、確かブロウク家の……」

「ロンバート・ブロウク君です、キャリー様」

「ありがとうヴァレリー。その彼、ロンバート・ブロウクもアーヴィン・ハッガードと等しい実力を持っているのかしらね?スー」

「そ、そうですね、立ち合いではいつも、良い勝負をしていま、す」

「ふふ、流石ね。ダーナやコリンが言っていた通り……いえ、それ以上だわ」

「は?はぁ……」

「そして高い魔力と、五つの属性全ての適性を持ち、この十数年の入学試験の中でトップの成績を収め、『20年に一人の才女』と呼ばれるベアトリス・クロキ」

「四つの属性への高い適性と、学園史上最高の魔力を示したミア・マティスン」

「それらを纏め従える、アムカムの次期頭首たるスージィ・クラウド。うふふ、お見事ねスー?入学後わずか半月にも関わらず、既に学園内での貴女の立ち処(たちど)は、最早揺るぎのない物になってしまったわ」

「ふぇ?へ??ふへぇぇえぇぇ?!」


 何なのよ?何なのさ?!その立ち処(たちど)って?!なんなの?揺るぎない物ってぇぇっ?!そんなもの要らないのよさ!!

 キャリー様の笑顔もホント怖くって、マジ泣きそうだったのよ?!


 コリンとジェシカがお迎えに来てくれなければ、きっとそのままキャリー様に、ほんとのホントに『お持ち帰り』されていたに違いないのよさ!いや、マジで!!




 そんな怒涛の日々を乗り切って、迎えた週末は兼ねてからの約束通り、フィリップ叔父様のお屋敷へ伺う事になった。

 叔父様のお屋敷は、アムカムの領事館でもあるのだ。

 なので今回は、アムカムから出て来た全員で、総領事である叔父様へ、ご挨拶を兼ねての訪問でもあったのだ。


 なので、今日は『大きな前庭(ビックフロントヤード)』でのお仕事はお休みにしてもらった。

 セルキーさんメルルさんお二人も、今日はお休みと言っていたので、お店に行くのはカレン1人だけになってしまう。

 それがとても心配だ。



 因みにこの前、お店に行く為の近道を、メルルさんから教えて貰った。

 これは学園のある高台から駆け下りる様な感じで、馬車を使わずにショートカットして、下の街迄降りて行けるんだけど、これがまた結構ハードなルートなのだ。

 メルルさんは「他の子には内緒なんですけど……」と言っていたが、教えたからと言っても、そう簡単にこのルートが使えるとは思えない。とてもでは無いが、『深窓のご令嬢』なんかが使って良い道では無いと思う。イヤ、所々道ですら無いトコ通った気もしたが……身体能力の高い、半獣人アニマルハーフのメルルさんならではの近道なのではなかろか?

 そんなルートを、「全く、メルルときたら……」と呆れた様に言いながら、一緒に駆け下りてたセルキーさんもいい加減凄いとは思った。


 勿論、ウチのメンツも難無く付いて行ける。アムカムの森の中を走る事に比べれば、特に危ない訳でもないしね。メルルさんが、平気で付いて来るわたし達を見て、軽く眼を開いていたのを、わたしは見逃していない。

 だが、それ以上に目を見開いていたのは、やはり平気で付いて行くカレンを見た時だ。うん、これにはわたしも驚いた。

 走るのは好きだとは聞いていたが、まさかこんな楽しそうに急な下り坂や、障害物があるルートを楽し気に、皆に遅れる事無く付いて来るとは思ってもいなかった。

 メルルさんも、最初はわたし達の様子を見て、スピードを抑えていたと思うんだけど、途中から本気になっていたよねアレは。お店に着いた時には、チョイと息を切らせてたモンね。


 それにしても、カレンの身体能力の高さには驚かされたよ。ビビやミアより確実に上だよ?お店に着いた時には二人とも、結構息が上がっていたけど、カレンってば平気な顔してたし。カレンを見るメルルさんが『……バケモンか?』的な呟きを吐いたのを、スージィイヤーは捉えていたからねっ!

 でもホントにこの子、魔法職に進むつもりなのかな?二つの属性に適性があるとはいえ、逆に勿体無い気がするんだよね。

 大体にして、今やあのダーナやアーヴィンでさえ、2属性は持ってるんだからさ!

 うん、やっぱり今度、ウチの走り込みやトレーニングに誘ってみよう。


 まあ、そんな感じなので、カレンが独りでお店に行くまでの事は、そんなに心配はしていない。

 では何が心配なのかと言えば……、彼女のお仕事が終わった後の事だ。終わった後が心配なのだ!


 あれは先週のお仕事が終わった後の事だ。

 この日カレンは寮には戻らず、このまま弟妹が居る施設に向かい、そこにお泊りをして今夜は三人一緒に過ごすのだと語った。

 その為に外泊許可も取ってあるのだと、凄く楽しそうに話すカレンに、何気にホッコリしていたのだが、同時にわたしはそこはかとない不安も感じていた。

 何と言うかね……、この子の醸し出す薄幸な雰囲気が、夜の街を独りで歩かせるという事に、とてもとても不安を覚えてしまう訳なんですよ。いや、過保護?と言われればその通りなんだけどね!

 カレンに、独りで行けるの?大丈夫なの?と聞いても、大丈夫問題無い。と答えて来る。

 だけど!わたしはメッッッチャ心配だったので、施設まで一緒に付いて送って行く事にした。

 メルルさんからは「過保護だ!」「お母ちゃんだ!」と指をさされたが、それがどうした!わたしは行くよ!セルキーさん、後でその猫〆といて下さい。


 んで、ビックリしましたわ!件の施設、結構凄い所に建っていた。

 そこは、繁華街の端っこにあったんだけど、2つ先の通りは、呼び込みのお兄さんお姉さんが客寄せをして、お客を飲み込む建物が所狭しと並ぶ繁華街。

 しかも風紀的に、余り子供には見せられない様なお店ばかりなのだ。

 まだ陽が陰り始めたばかりなのに、既に営業を始め、人が出入りしているお店も何軒かある。

 こんな立地の施設で大丈夫なの?とカレンに聞くと「昼間は、人が殆ど居ないくて、静かな時間が多いんだけどね」等と、なにかピントのズレた答えを返して来た。


 コレはイケませんよコレは。わたしの勘は間違っていなかったよ。こんな場所、こんな時間、カレンを独りで歩かせてはイケナイ!

 こんな薄幸体質のカレンにこんな所を歩かせていては、その内にとんでもないトラブルに巻き込まれかねないよ!!


 見張りかガードを付けるべきか……、寮に戻ったらアンナメリーに相談しよう。叔父様にも、この事は相談して何か良い案は無いか聞いておこう。

 デケンベルの街の事だし、叔父様からなら、何か良いアドバイスが頂けるかもしれない。


 取り敢えず、わたしはカレンに、認識阻害が付与されているフードを貸してあげる事にした。

 これは、アムカムで子供達と森に入る時、狩には参加させないが経験を積ませる為、低位階の子達を連れて行く時に身に付けさせていた物だ。

 強力な付与では無いけれど、森の浅層に居る脅威値2~3くらいの魔獣には、十分に効果を発揮する。

 まあ、そんな代物なので、脅威値でいえば0.2すらない街中のゴロツキ程度が相手であれば、全く何の問題無い。


 これを身に付け、怪しげな場所は通らない様に移動してね。とカレンに渡したのだ。


 カレンは最初、「付与された装備とか、そんな高価な物とんでもない!」と思い切り遠慮しようとしていたが、「身に付けて貰わないと、わたしが心配でどーしようも無い!」と半ば無理やり押しつけたのだ。


 そんなこんなで、少しばかり強引ではあったけれど、なんとかこれを身に付けてくれる事にはなったので、一安心ではある。


 でもやっぱり、いずれ見張りか何か付けるべきかな……。大体にして、あの施設がある道にも、平気で酔っ払いが寝てたりするんだから大問題だ!何でそんな所に施設を作るかな?!

 ……いや、いっその事、あの辺一帯を綺麗にしちまうか?汚物は消毒するに限るもんな!


 ンな事を、ブツブツと口に出して呟いていたらしい。

 聞き付けたビビが「マジでシャレにならない事になるから、ヤメなさい!」と、真剣な顔して詰め寄って来た。

 いや、流石に大それた事などしない。と言っても「アンタは加減というモノを知らないんだから!」と返して来る。

 そんな!わたしだって、ちゃんと成長してる!普通に加減位は出来る!と訴えれば。「アンタの普通は一般的なモノとはほど遠い!」とか言われる始末。

 ぅええ?そんなこたぁ無いでしょ?ねえ?と皆んなに聞けば「圧倒的にビビが正しい」と皆さん揃って頷いて来やがった。


 ちょっとぉ!皆んなが何かヒドイんですけどっっ!!

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

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お願いします、人物紹介にスージィになんて呼ばれてるかもつけてくれませんか?
[一言] お持ち帰りされるのも時間の問題なのでは( ˘ω˘ )
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