支援活動を手伝うが・・
「布団もある」
布団もあった。
「好きなの選んで持って行っていいわよ」
「いいんですか」
僕は興奮した。布団がどれほど恋しかったか。
「やったぁ」
僕は思わず声を出す。
「そんなに喜んでもらえるとこっちもうれしいわ」
奥田さんは笑いながら言った。
「またすごい荷物だね」
興奮する僕の隣りで、インテリさんは、倉庫の方を見ながら、そこに積み上がっている段ボールの群れを見上げていた。
「新しい荷物が届いたのよ。九州の方で豪雨災害があったでしょ。それに送るために新しく集めたの」
「そうなのか」
「大変だわ、あれをこれから仕分けしなきゃいけないのよ」
「仕分け?」
僕が二人を見る。
「そう、使えるものとそうじゃないものとに分けるの。これが大変」
奥田さんはため息交じりに言った。本当に大変なのだろう。
「じゃあ、少し手伝っていくか」
インテリさんが僕を見た。
「はい」
僕は快く返事した。
「しかし、こう多いとどこから手を付けていいのかすらが分からないな」
倉庫に立ったインテリさんが、積み上がる段ボール群をあらためて見上げる。倉庫には膨大な量の段ボール積み上がっている。
「あっ、こっちの方からやってくれる」
奥田さんが、倉庫の入り口わきの段ボールを指差し言った。
「明日からボランティアの子たちが来てくれるから、そんなに気張らなくてもいいわよ」
「そうなんだ」
「うん、人海戦術でやらないと終わらないわ。この量は」
奥田さんが笑いながら言った。
僕たちはさっそく、入り口わきの段ボールを開けてゆく。その中には様々な衣料品が入っていた。それを使えるものとそうでないものとに仕分けしていく。
しかし、やり始めてすぐに気付かされたのだが、全国から送られて来たその善意の荷物は、使えない物の方が圧倒的に多かった。
「あの・・、これ・・、使用済みパンツですよ・・」
一応、洗濯はしてあるが、明らかに使用済みだった。そんなものが普通に支援として送られてきた段ボールの中に入っている。
「ああ、そんなのゴミゴミ」
インテリさんが、すぐにゴミ袋の方を顎で指し言った。こういうことには慣れているのだろう。
「これ・・」
今度、僕が見つけたのは阪神タイガースの限定特別応援Tシャツだった。胸に大きく寅の絵がデカデカとプリントしてあり、しかもド派手な真っ黄色のデザイン。それが箱いっぱいに五十枚近くあり、さらにそれが三箱もある。新品ではあったが、これを普通の人が着るとは到底思えない。まして、被災者など・・。
「絶対これ在庫処理ですよね」
「絶対それ送って来たの関西人だよな」
インテリさんが笑いながら言った。
「なんか 酷いですね・・」
開ける段ボール、開ける段ボール、ほとんどそんなのばっかりだった。
「一般人の善意なんて、被災者完全に舐めてるから」
インテリさんが言った。その横で奥田さんも笑っている。
「それにしても・・」
「送られてくる支援物資なんて、本当に使えるやつは二割もないぞ」
「そうなんですか・・」
確かに、ろくな物が入っていない。さっき、奥田さんがため息交じりに言っていた意味がよく分かった。つまり、この段ボール群のほとんどはゴミだということだ。僕は支援の現実を見た。
その後、僕たちは、夕方まで仕分け作業を手伝って、倉庫を後にした。
「久々に肉体労働したな」
インテリさんが、歩きながら自分で自分の肩を揉む。
「案外重労働でしたね」
僕は、絶対明日筋肉痛だろうなと思った。
「しかし、すごい美人でしたね。奥田さん」
僕が横に並んで歩くインテリさんを見る。
「ああ、しかもどこかの資産家のお嬢さんらしいぞ」
「えっ、そうなんですか」
「ああ、しかも相当良い大学も出て、どこかの大企業の総合職にいたとかなんとか」
「何でそんな人が」
「金持ちの考えることは分らん」
インテリさんが肩をすくめて言った。
「はあ・・」
確かに分からない。奥が深い。この町はやっぱり奥が深い。僕は改めてそう思った。




