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広場

「あっ」

 迷路のような薄暗い路地をくねくねと歩き、何軒もの朽ちたようなビルや家々を通り過ぎると、突然目の前が開けた。

「なんだここ」

 そこは広場だった。そこは今まで通って来たところとは全く別世界のように明るく開け、しかも、広大な公園のように木が生え森があり、その周囲や森の中には手作り感満載の様々な形のテントが無数に張られ、なによりそこには何か人の生活や人々の営みがあった。

 普通のそれではないが、今まで見てきた混沌とした世界ではなく、ここには何か違った秩序が確かにあった。

「この街にこんな場所があったのか・・・」

 広場の中央に一際人が集まっている場所があった。そこには大きなキャンプファイヤーのような焚火がなぜかごうごうと燃えていた。

「ここはいったい・・・」

 想像もしていなかった光景に、僕はしばし茫然とその目の前の光景を見つめ続けた。

「おいっ」

「えっ」

 突然声を掛けられ驚いて振り返ると、僕の後ろに青い小汚いトレーナーを着た小柄なおっさんが立っていた。

「えっ!」

 そのおっさんの眉毛は海苔のような黒い何かが張り付けてあるのかなんなのか、そんなように奇妙に極太になっていた。僕はそのおっさんに突然声を掛けられたことにも驚いたが、それ以上にその特殊な眉毛にくぎ付けになっていた。

「お前新入りだろ」

「えっ」

「お前新入りだろ」

 男は威張り口調で同じことを二回言った。

「お前、ここに住みたいんだろ」

「えっ?」

 おっさんは体は小さいが妙に威張っている。

「お前、ここに住みたいんだろ?」

 おっさんはやはり同じことを二回言った。男の特殊な眉毛は、男が何かを発する度にぐわんぐわんとよく動いた。

「いや、あの」

 僕は突然の事に、いやそれよりもやはり男の眉毛が気になり頭が混乱して返事に窮した。

「よしっ、俺について来い」

「えっ、いや・・」

「よし、俺について来い」

 やはりおっさんは同じことを二度言うと、僕が何も返事をしていないにも拘らず、僕に背を向けすたすたとどこかへもう歩き始めていた。大丈夫なのか。そう思ったものの他に当てもない僕は、仕方なくそのおっさんの後について行った。

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