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リディラ~3ターンキルするエネミーになりました~  作者: 鈴乃
第一章 ストーリー開始前に暴れる模様
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第二話 街に降りて遊ぶ2


 結論から言うと、レベルアップを実感することはできた。

 しかし、勝手に基準を作ってであるので何とも言えないが、かなりの時間を要して一つと言ったところだ。

 検証としては、敵をハンドガンで倒すにあたり、何発で倒すことが出来るのかという事をやってみた。

 もし成長が微々たるものであれば、一つではなくいくつかレベルが上がっている可能性もあるが、弾丸の必要段数が一つ減るごとに一レベル上がったと考えるのであれば、中々に大変である。


 実際何日経ったのかというのは分からない。

 此処には太陽が無いから、本当の意味で感覚に頼るしか方法はない。

 更に言うのであれば、私は延々レベリングができる人種ではない。

 勿論、一日や二日ならば問題ないが、一週間と同じ作業をしていると精神的に参ってしまう系の人種だ。

 

 そんな私が、楽しんでいるとはいえ単純作業をこうまで繰り返して体感が狂わない方がおかしいという物。

 つまり、日に日に時間がたつのが遅く感じている事になるが、そうなってくると外ではどうなっているのか全く見当がつかない。


 因みに、今私がやっているのはゲームの時でも使用できたレベリング方法である。

 同じ種類の敵を一定数倒すと、その種類の強モブが出てくる、そいつはかなりおいしい。

 種類によってもその強モブが出てくるまでの時間差というのは存在する。

 そのため、一番効率のよい敵をサーチアンドデストロイしているわけだ。


「―――」

 

 薄暗い洞窟の迷路の中、音を立てて崩れ落ちる鎧。

 一般的にリビングアーマーと呼ばれている種類のもので、彼らが該当する死霊系モンスターは強モブが出やすい。

 

 強モブでレベルアップ検証をするつもりもないので、私が浮かせられる限界である例のライフル四丁で滅殺である。

 気分爽快!


 本来であれば魔導銃という武器であるが、私はそれを作れるという固有魔法を持っている。

 資料の名の通り、特に整備がいらないのはうれしい誤算である。


 だが問題はある。


「がきぃぃぃん」


 ダンジョン内に響く、敵の持っていた剣が落ちる音。

 所謂ドロップ品である。

 ダンジョン内ではモンスターは倒されると一部のドロップ品を残して黒い靄と共に消え去る事が分かった。

 ゲームだとその描写はない、まぁ当たり前か。

 そしてそのドロップ品を、私が目覚めたあの場所に持っていくのだが、すでに山になっていて、どうするか悩んでいるのである。


 一応今のところの予定では、此処から一番近い大きな都市に行って、アイテムバックのかなりいいやつを購入してそれに詰め込む予定ではある。

 所謂空間魔法の掛けられた魔法のカバンで、一定量の重さであれば拡張された空間に物を入れても軽いという物だ。

まぁ、アイテムボックスですね、はい。


 


 それから体感で十レベルを上げて、そろそろ我慢できなくなったので裏ボスに挑もうと思う。


 私は私の最大火力である例のライフルを四丁浮かせて、手にはドロップ品である魔導銃を持つ。

 勿論最奥のダンジョン、かなりいいものが落ちる。

 かなりゴツメのハンドガンであり、黒に金の意匠がしてあるものと銀の意匠が施されている物、双魔導銃である。

 両方ともベースの黒に絡みつく蔦のような意匠だ。

 

 奥に進み階段を下りていく。

 レンガ造りの階段に、松明の火が階段を降りていくと自然と灯って行くというありきたりだがワクワクするシチュエーション。


 奥には変哲のない木の扉。


 それをくぐると、まるで宇宙空間に投げ出されたような感覚。

 勿論地に足はついているが、あたりは夜空の星が輝き、上下感覚が狂いそうである。

 ガラスなのかわからない材質の円形の足場を進む。


 その真ん中に黒い靄がゆっくりと人の形をとる。

 しかしそれは途中で終わり、黒い靄の中で赤い瞳が怪しく光る人型が形成される。


 それが裏ボスである。


「……」

「……」


 裏ボスとの会話がないゲームも珍しいのではないだろうか。


 このゲームは先ほどのように、人型を取ると即戦闘に入る。

 

 相手が両腕を突き出す、私は両目両腕両足に弾丸を飛ばす。

 靄がそこだけ晴れてまた集まる。

 しかし先ほどよりも少し縮んでいる。


 その間に更に攻撃を加える、一方的な戦闘だ。

 いや、一方的にしなければいけない戦闘なのだ。


 もし相手の攻撃を許すと面倒くさい。

 最初の方は敵一体への魔法攻撃であり、銃で相殺することは可能だろうというのが、ここ数日? モブで試した結果である。

 しかし、最終局面になると、あの星の一つをここに落とすというとんでもない事をやらかすのだ。

 それを防ぐためには、一定以上の攻撃を毎ターン行う事。

 それによって相手は自己修復にターンを使う。

 もしそれができないと、体力の少ない仲間は一撃で死ぬことがある。


「まっ、私の殺意の高さには劣るけどね!」


 気合を入れて撃ちまくる。

 足は肩幅に開いて相手を見据えながら固定砲台と化す。


 魔力がゴリゴリ減っていくのが分かる。

 例のライフルは中々に燃費が悪い……燃費の悪い魔導銃の中でもさらにである。

 

 そしてここ数日の検証で驚いたことがもう一つ。


≪フルブースト≫


 スキルを発動させて、二丁の銃を近くにそろえる。


≪魔弾≫


 私も少しスキルを使えるという事。

 いや、少しというか、初級の物であれば難なく使うことが出来た。

 まぁ、使えない属性攻撃もあったが、それは仕方ないだろう。


 その中でも一番シンプルでそして私のお気に入りになったスキルが魔弾である。


 ゲームの中の説明としては、通常の弾丸よりも魔力を多く込めた弾丸という初歩の初歩である攻撃だ。

 しかし、この世界になってからこの弾丸に込める魔力は私の任意となった。

 つまり、下手に行う属性攻撃よりも強いという事だ。


 魔力が視認できるほど魔力を込める、それは陽炎のように揺れ動く。

 フルブーストで攻撃力をさらに上げて、放つ!


そして、弾丸は着弾と共に詰め込み過ぎた魔力が暴発して、その場に暴風をまき散らす。


「は、はっはっは!」


 何度やっても爽快だ。

 そして、私の計算が正しければ。


「……、……」


 相手は靄を形成し、何とか人の形をとりながら苦しそうにこちらに手を伸ばす。

 しかし、その指先から靄が消えていき、最後にはカランと何かが落ちた音がその場に響く。


 一応警戒しながらも、ホルスターなどないので、ゆるゆるのズボンに何とか二丁の銃を差し込んで、落としたものを拾う。


 それはビー玉ほどの大きさではあるが、魔王を封印したときに行使された神々の力が凝縮されているもの。

 もし魔王がこれを自分の残滓と共に外に逃がすことに成功していなければ、その封印は確かに永遠のものとなっていたらしい。

 それほど魔王にとっては強力なアイテムという事だ。

 

 私は一つ頷きあたりを見渡すと、ゲームと同じように真ん中にゆっくりと魔法陣が広がる。

 それは、外へと繋がる魔法陣である。


 流石に帰りも九十九階層上るのはつらいだろう。


 私は一つ上の階に戻り、適当に金になりそうで持てる範囲の特に貴重なエンチャントがされているネックレスや指輪などをつけて外へ出る。


 因みに防具のドロップはない。

 その代わり素材は落ちるので、それで作成することは可能である。


 さて、今一度私の格好を再確認してみよう。

 残念ながら鏡がないので、もしゲームと違う容姿だと面倒なので私の容姿は後でだ。

 まずは少々長い黒髪を本来ペンダントとして使うアイテムで縛り、ぼろきれのような上着に上質な黒のマント、またまたぼろきれのような半ズボンに、よくわからない宝石の類が付いたベルト。

 その後ろ、マントで隠すように魔導銃。

 指と首にはこれでもかとネックレスや指輪、腕輪に足輪となんとも見苦しいほどについているのである。


「よっし」


 きっと誰か人が見ていたらよしじゃねぇよと思っただろう。

 しかし、しかしだ、私には金が必要である。

 少女であることから多少ぼったくられたとしても構わない程度の金が要るのだ。

 これだけあればきっと大白金貨が何枚も舞い込むだろう。


 ……目立つのはごめんであるが、逆に私が目立たないとか不可能じゃないかという結論に至ったため、逆に目立って身の危険があったらぶっ潰すってことで。


 さて、私は魔法陣の上に立ち、魔力を流した。

 すると、あたりは一変。


 深い森の中、後ろには岩が裂けたような分かりにくいダンジョンの入り口があった。

 太陽が真ん中あたりに来ていることから、どうやら今は昼頃らしい。

 とりあえず歩くしかない。


 幸い私はどういう扱いなのかわからないが、物を食べる必要はないらしい。

 どちらかというと魔物に近い生き物だろう、元々エネミーだし。


 魔物も色々な種類が存在するが、その中でも魔力を吸収して存命している種類も多く存在しているので、たぶん私はそれらの仲間であろう。


 早歩きで森の中を下へと向かって歩く。

 勿論途中で崖のような場所や、これ絶対人が入るような場所じゃないと思うところも、取り合えず真っ直ぐ歩いて行った。

 なにせ、ゲームだとカーソルを合わせてピョンだからね。

 全く、主人公たちはどうやってこんな険しい山を登ったと……あれ?


 一定距離歩くと、登山道らしき道に出た。

 どうやら、あったみたいですね、道。


 まぁいいか、とりあえずこれに沿って行けば、人里には出られるわけだが。


 一応ここから目指す交易都市の間にも実際には何個か街だの村だの有ると思うし、そこによって服くらいは整えたい。






 ……そんなことを思ってた頃もありました。


 あれから数日歩き続けると、なんだか遠くに大きなものが見えてきて。

 更に歩くと、アレ城壁とかそういう物じゃね? っていうのが出てきまして。


 まぁ近くまで行くとそれが正解だとわかるわけで、どうやら山を背に作られているらしい。

 まさか街も村も一つもないとか、不親切な。


 因みに、南に行けば海があり、私が来た山に行きたければ東、もちろんその先にも国はある。

 他に北にも西にもしっかりと国はあったので、まさしく各国の真ん中交易都市である。


 まぁ、此処まで山と近いとはさすがに思わなかったけど。


 しかし困ったことになった、あたりは草原でたまに見かける畑で農家さんが頑張って耕している程度。

 見通しはかなり良く、馬車道なのに馬車もない。

 私はこの奇抜な格好のまま交易都市に入るしかないのだろうか?

 計画では手前の街とかでちょっとはまともな服を買って、これ等を詰めるカバンを買うつもりではいたのだけれど。


 え、ちょっとまって、これ最悪私盗人に見えるんじゃ……。


 どうしよう。

 ……いや! 悩むなんて私らしくない! 突撃あるのみ!

 だってそっちの方がトラブルとか面白そうじゃないか!

 とられそうなら反抗あるのみ!

 

 無理そうなら他国に亡命じゃー!

 いざ行かん、交易都市マートラスへ!




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