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リディラ~3ターンキルするエネミーになりました~  作者: 鈴乃
第一章 ストーリー開始前に暴れる模様
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第十九話 閑話:ごろつきの運の尽き

本日は複数投稿です、ご注意ください。




 報告を聞いたとき、こいつは何を言っているんだと思った。


 小娘一人に逃げ帰ってきて、一人が負傷した? こいつらはこんなに弱かっただろうか。


 まぁいい、小娘一人この俺が一捻りにして、大金を奪ってその娘もどこかに売り払ってやる!


 そんなことを思っていた俺だが、今事態が思わぬ方向に向かっている。

 頭上を見るとぽっかりと空いた穴。

 その穴と小娘を交互に見る。


「ごろつきが十五人死んだところで騎士たちはどう思うのかしら……そもそもあなたたちだと分からなくなるまで木っ端微塵にして最後はちゃんと火をつけてあげるわよ」

 

 舌を舐めて愉しそうに笑う小娘は、化け物だった。

 それから小娘の要望通り俺が雇われている店主の元へと案内した。

 そうじゃなきゃこいつは本気で俺達を殺しかねない、そう思える何かがあった。


 こんなごろつきって言われている家業をやっていると、たまに危険な奴かそうでないかはわかる事がある。

 最後の引き際だけは間違えちゃいけねぇんだ、この化け物には絶対に逆らっちゃいけねぇ。


 俺が駆け込むと受付の野郎が嫌な顔をしつつも、いつもの客室へと向かわせてくれた。

 俺と話す時はいつもこの部屋だ、一度裏切ったらこいつの餌にすると脅すためだけに魔物を見たことがあった。

 だが何故だか今はその魔物よりも、前を歩くこの化け物の方が何十倍も怖い気がした。


 受付が扉にカギをして奥へと誘った。

 化け物は怒ったのか扉を吹き飛ばして悠々と進んでいく。


 出た場所に俺はさっと顔色を失う。

 此処は裏切ったらどうなるか、丁寧に説明された場所だ。

 俺はあの魔物が此処にいるのかとあたりを見渡して、見つけてしまった。


 化け物と店主は何か話していたが、俺はそれどころではなかった、逃げなきゃだめだ、こんなところで死にたくねぇ!


 そう思った時にあの音が聞こえて肩を揺らす。

 音のした方を見ると、化け物が魔物を倒した後だった。

 そして檻に向けて一発放ち檻をぶっ壊す。


 この檻は特注品でめちゃめちゃ固いものを用意したとか言ってたが……ありえねぇ。


 店主も俺と同じ運命だった。

 しかも、店主の店に大穴を開けて騎士まで呼び込んでいた。


 騎士もこの化け物を見て狼狽えていたところを見ると、どうやら俺は本当にとんでもない奴を相手取ってしまったらしい。

 俺の運も此処までか……。


 驚いたことに店主にも元締めがいたらしい、そこに行くとなんと貴族の屋敷だった。


 化け物は怯むことなく入っていったが、俺は恐ろしかった。

 貴族なんて人を人とも思ってない輩と言うイメージが強く、どうしても恐ろしくてしかし隣を歩く化け物を見ると平静が保てた。


 そうだ、こいつより怖い存在なんかいねぇ、こいつに従っている間だけは俺は命を保証されてる!


 現れた人物は侯爵だといった。

 そして不敬罪で騎士を呼びに行ったとき、俺はこの化け物についてきて失敗だったのかと一瞬よぎったが、化け物の顔を見てそうじゃないと悟った。


 その化け物は侯爵を脅しにかかった。

 こんなことする奴が普通の娘なわけがねぇ、やっぱり化けもんだ。


 その後、緑の液体を飲んだ後に侯爵はまるで記憶が飛んでいるような言いぐさで、騎士が入って来るのと同時に化け物はいなくなってしまった。


 そして勿論俺も捕まってしまった。


 その後、俺はアジトを素直に吐き出した。

 尋問監の強気な態度もあの化け物と比べれば優しいものだが、素直に吐かないと化け物を呼ぶぞと言われて俺は全てぺらぺら話した。


 俺はこの後終身労働を言い渡された。

 確かに今までやってきたことを思えば妥当だろう。

 人とは殺してねぇが、脅しに盗みはやって来た、だから罰が下った。


 だが終身労働でこの街を離れると知ったときほっとした、これであの化け物から少しでも離れられると。


 


閑話はこれにてお終いです。

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