ノマド・オブ・ハンター
新年開けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
ジョセフ・フラットパインという50歳になる男がいました。彼は、早くに妻を亡くして、一人娘と共に狩猟の旅をしていました。
彼は狩猟の天才とされていた為、各地の王さまに呼ばれていました。畑を食い荒らされて困っている猪や鹿などを猟銃で仕留めていました。
「親父、あそこに鹿がいる。仕留めよう。」
「まぁ、そう焦ることはない。マリアよ。時が来たら撃つのだよ。」
ジョセフの娘、マリア・フラットパインは女の子でも男勝りな性格でした。母親を早くに亡くしたからでしょう。
妻を失ってから暫くは家で暮らしていましたが、昔からジョセフは定住することなく常に動き回る遊牧民の生活に憧れていました。ジョセフが39歳で、マリアが10歳の時の話です。
それから11年が経ち、ジョセフの腕は衰えてくる一方、マリアの狩猟の腕は格段に上がっていました。
「よし。今じゃ放て!」ジョセフは言いました。
パーン……1発の銃弾が森の中を響き渡ります。どうやら猪を仕留めたようです。
「この猪でどんな料理ができるかな?楽しみだよ。」マリアは猪に近付いて、すぐに解体作業を始めました。
「よし、肉を取り出すぞ。マリアよ。こんなに肥えた猪は、最高だぞ。」ジョセフは喜んでいました。
近くには、とても美しい川がありました。その川の水を使って、猪の洗浄を行いました。
背中側から丁字に切れ込みを入れて、内臓を取り出して、肉の部位と分けていきました。
二人は処理が終わると鉄のバケツの中に肉を入れて、村に降りていきました。
「誰か野菜を持っているものは居ますかー。美味しい鍋を作るのに手を貸して下さーい。」
季節は秋、猪などの動物が冬眠に備えてよく動き回る時期でした。
「何じゃ何じゃ。私の白菜が必要か?よし今持ってくる。」
村人は興味津々でした。鍋は村でお祭りのときに使う巨大な鍋を準備してもらい、村人総出で鍋パーティを行いました。
ジョセフとマリア親子は、狩猟の腕も然ることながら料理の腕も冴えていたので、「こんなに旨いものは生まれて初めて食べんなぁ。」と村人を喜ばせていました。
二人の噂は、冬将軍の治める領地、トマン村にも広まっていました。
「美味いものを振る舞うハンターありて、他の土地の人々を喜ばせる。……か。戦はいつの間に終わったんだろうか。」パインウェイブ邸の門番、ロザリオは新聞を見ていました。彼は、不死の病にかかっているパウロをどうにかして救ってあげたいと思っていました。初めてパウロにお目見えが許された時、彼は生気を感じなかったのでした。
次回最終話、お楽しみにしていて下さい。




