表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第六話:予想外の依頼

 前回寝落ちしてしまったうえに、今回投稿少し遅れてすいません。

 あと、今回若干短めです。書き始めた時刻が遅かったのでご了承ください。


「ところで河村よ。お主そもそも今日は何をしに来たのじゃ?」


 "ご隠居"がそれを尋ねたのは、カワちゃんが店を訪れてからもう大分たち、昼飯を食べ終えた頃のことだった。そう言われれば、カワちゃんが何の用でこの店に来たのかをまだ聞いていなかった。カワちゃんとの話が盛り上がりすぎて忘れていたよ。

 そして、当初の目的を忘れていたのはカワちゃんもまた同様だったらしく、"ご隠居"のその言葉に慌てて立ち上がりこう告げた。


「はわっ!?すっかり忘れていたっス!流石"ご隠居"先輩頼りになるっス!えーっと・・今さらなんスけど、百鬼夜行お願いしますっス。」


 テヘッ♡と可愛らしく舌を出したカワちゃんに対し、晴明と"ご隠居"の二人から同時に、


「遅えよ!(のじゃ!)」


 という鋭いツッコミが入れられることとなったのは、言うまでもない。ちなみに、俺の隣でサトリが小さな声で


『「いや、用件も聞かずに一緒に昼まで酒を飲んでいたお前たちにも非はあるだろ。」サトリは冷静にそうつっこんだ。』


 と言ったのが聞こえたが、そのツッコミは俺にも効くのであえてスルーした。


 さて、カワちゃんが言った『百鬼夜行』という言葉。これは、この店において幽霊や妖怪など人知を超えた事件の依頼をする際に用いられる隠語である。つまり、カワちゃんは今日店にこの依頼をするために来たというわけだ。

 カワちゃんが依頼内容を告げる。その内容・・というよりもその依頼主(・・・)の名前を聞いた一同は、揃って目を丸くした。(サトリ以外)

 俺も勿論驚いたが、晴明や"ご隠居"など俺から見ればかなりのベテランである二人もまた同様に驚いているらしい様子から伺うと、やはりこれはかなりのレアケースのようだ。

 晴明は、心を落ち着かせるためか、カワちゃんから告げられた依頼内容を繰り返した。


「おい、童児・・。依頼内容の、『赤子が謎の失踪を遂げた原因を探してほしい』っていうのは分かる。だが・・本当に、依頼主は『警察庁(・・・)』で間違いないのか?」


 晴明のその問いに、カワちゃんは笑顔で答える。


「モチのロンっス!それに、ついでに言えば警察庁長官直々の依頼っスよ!オイラはただの代役っス!」


‐拝啓、叶、響。どうやら、俺が関わる初めての依頼は、相当大変なモノになりそうです。


▼▼▼▼▼


『「なぜ私は一緒に行ってはいけないのだ!この頑固ババアめ!」サトリは憤慨した様子でそう叫んだ!』


「お主がこの店から離れるのは不味いのは自分でも分かっておるじゃろうが・・。って、誰がババアじゃ!失敬な!」


 カワちゃんの依頼を受け、翌日に警察庁へ詳しい依頼の内容を確認しに向かうことが決まったまでは良かった。

 しかし、俺も晴明たちについていくことを聞いたサトリが、自分もついていくと言い出したことで見た目幼女の妖怪二人が言い争うこの状況になってしまった。


「二人とも落ち着いてください!・・サトリちゃん、事情はよく知らないけれど、"ご隠居"さんが言うくらいだからついていくのは不味いんじゃないかな?」


『「・・確かに事情はある。でも、そんな事情より大事なことがあるんだ。私は、何があっても響也についていく。」サトリは真剣な表情でそう呟いた。』

 

 あくまでも頑ななサトリの態度に、視界の端で晴明も若干苛立ち始めていた。一方で、俺はサトリの抱えるその事情とやらを知らないので、なぜ"ご隠居"がサトリの外出を止め、晴明が苛立っているかが分からない。

 だから、俺はサトリと視線を合わせ、真剣な表情で尋ねることにした。


「サトリちゃん・・もし良かったら、サトリちゃんの抱えているその事情を俺に話してもらえないかな?俺は、まだその事情を知らないから、サトリちゃんが俺についていくって言ってもそれをはいって了承するわけにはいかないんだ。その事情によれば、サトリちゃんが傷付く可能性もあるわけだしね。俺はもう、周りで誰かが傷付いたり死んだりするのは嫌なんだ。」


 俺がサトリにそう問いかける様子を、"ご隠居"や晴明は無言でじっと見つめていた。サトリもまた、その感情を移さない瞳でこちらをじっと見つめてくる。しばらくそうした後、ようやくサトリが口を開いてくれた。


『「分かった・・。私としても、響也に隠し事はしたくないしな。だが、覚えておいてほしいが、この件に関してはたとえ私の話を聞いて響也が私がついていくのに反対したとしても、私は最後まで意志を曲げるつもりはない。それでも、私の話を聞いてくれるか?」』


 サトリのその問いに、俺は静かに頷いた。

 次回、サトリがなぜ晴明の店に居候しているのか、そして、サトリは晴明たちにどんな依頼をしているのかが分かります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ