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第一話:烏丸響也とサトリ

 サトリは書いていて非常に楽しいキャラです。アリスの次くらいに楽しいですね。

『「ジリリリリリリリ!」』


 そんな目覚まし音で俺は目が覚めた。そして、見慣れぬ天井に一瞬ビクッとなるが、自分が一週間前から住み込みで働き始めたことを思い出してすぐにここが自分にあてがわれた部屋であることを思い出した。俺は眠い目を擦りながら窓の元へと歩き、カーテンを一気に開ける。すると、その瞬間太陽の暖かい光が部屋中に広がり、俺はその光を全身で受け止めた。

 おはよう太陽!いや~、今日も気持ちいい朝だな。こんな朝の日は良い一日になりそうだ!


『「おはよう響也。ご飯にする?お風呂にする?それとも・・子作りする?」サトリは照れながらそう言った。』


「うわあ!ビックリした!?サトリちゃん、いつからそこに居たの!?」


 さっきまで居なかったはずの、俺と同じくこの店、BAR『百鬼夜行』の地下に住んでいるサトリに声をかけられ、俺は慌てて振り向く。するとそこには、なぜかバスローブだけを羽織ったサトリの姿が・・

 いい一日になりそうだと思った途端これだよ!

 とりあえず、俺はなるべくサトリの方を見ないようにしながらクローゼットからシャツを取り出し、サトリに手渡した。


『「これは・・響也のシャツ。クンカクンカ。」サトリは響也成分の補給に専念した。』


 ・・なんか変な台詞が聞えた気がしたけれど気のせいかな。うん、あのサトリちゃんがそんな変態みたいなことするはずないしね!


「ね、ねえサトリちゃん、もうそっち見ても問題ないかな?」


 俺がそう聞くよりも早く、サトリの手が俺の頬を挟んで強引に振り向かせた。その小さな白い手はひんやりと冷たく、心地よいのだが・・いかんせん、顔の距離が近くないですか?


『「大丈夫だ。問題ない。顔の距離はこれがベスト。」サトリはドヤ顔でそう言った。』

 

 あ、心読まれたのか。それにしてもその台詞、なんとなく大丈夫じゃない気がします。むむむ、いい加減サトリに振り回されっぱなしじゃ駄目だな。もう一回ちゃんと問いただしておかなければ。


「ええっと・・しつこいかもしれないけれど、サトリちゃん、いつからここに居たのかな・・?」


『「いつって・・響也が起きた時から居たし、そもそもあの目覚ましの音は私の声だ。」サトリたんは極上の目覚ましボイスを持っているのだ!キラ☆』


 なん・・だと?確かに、俺の部屋には目覚まし時計は置いていなかった・・。てか、サトリちゃんなんかキャラ変わっていない?


『「それは、好きな男の前ではいろんな自分を見せたいからな。」サトリは頬を赤く染めながらそう言った。』


 サトリちゃんのその答えに、俺は思わずため息をついてしまう。そう、このサトリという妖怪は、何故か俺のことを好きだと言ってくる変わった子なのだ。そんなサトリに対する俺の答えは毎回同じだ。


「いつも言っているけれど・・俺は、当分は誰とも付き合うつもりはないんだ。サトリちゃんからの好意は素直に嬉しいけれど・・俺は、まだキョウのことを忘れられない。」


 そう、こんな平凡な俺にも、少し前までは彼女が居た。しかし、彼女はとある事件がきっかけで死んでしまった。さらに、彼女と同じ鏡夜キョウという名を持つ双子の弟・・最近までこの店で働いていた彼、いや、彼女もまた死んでしまった。

 彼女は、俺のことを最期に会った時許してくれたが、俺はまだそんな二人を死なせてしまった原因を作ってしまった自分を許せずにいた。


『「・・響也は、どこまでも優しい心の持ち主だな。それに、自分の気持ちを隠すことをしない真っ直ぐさもある。まあ、そんな響也だからこそ、私はその心の美しさに惹かれたんだが。」』


 そう言えば、サトリは初めてこの店で会った時もそんなことを言ってくれたな。でも、俺はそんな優しい男じゃないぞ?それに全然真っ直ぐな心の持ち主なんかじゃない。だって、(キョウ)が最期に言い残した言葉から未だに目を背けているのだから。


『「・・幸せになってね。」』


 サトリの口から出てきたその言葉にギョッと目を見開く。その言葉こそ、まさしく俺が最期にキョウに言われた言葉そのものだったからだ。そんな俺を見て、サトリはいつもの無表情のまま言葉を重ねる。


『「恐らく響也、君はカナウがこう言ったにも関わらず自分が過去を拭いきれずこうしてヒビキの代わりのようにこの店で働いていることを指し目を背けているなどと思っているのだろうが・・だからお前は真っ直ぐな心を持っているというのだ。普通の人間なら、もう少し自分に言い訳して器用に生きるものだ。だが・・私は、そんなお前が好きだ。いじらしくて・・愛らしくてたまらない。」サトリは、響也に優しく微笑みかけながらそう言った。』


 おお・・俺、なんか思っていた以上に好かれている感じがするな。サトリはこうやって間近で見るとかなりの美少女だから結構恥ずかしいものがあるな。

 まあ、俺からしたら妹みたいな見た目だし、恋愛対象としては見れないんだけれどね。


『「そうやって余裕こいていられるのも今のうちだぞ、響也。・・実年齢はお前よりも上なんだ。すぐにお前を私の虜にしてやる。」サトリは舌なめずりしながら妖艶な笑みを浮かべた。』


 そう言うサトリは相変わらず無表情だが、何となく妖艶なオーラが出ているようだから不思議である。サトリのその不穏な宣戦布告に、若干身震いしながらも、俺は朝食をとるためリビングへと向かうのであった。


 

 次回は、サクッといけば響也の初依頼の予定。長引く可能性もあります。

 余談ですが、がっこうぐらし!の最新刊買いました。私の一番好きなキャラはくるみちゃんです。(絶望)

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