第六話 技能
部屋に入るといろんな人がいた。
あきらかに二十は超えてて三十路になろうかという人。
まだ中学生くらいだろうという子。
それに女の人も普通にいた。
スキンヘッドのムキムキな人。
スーツ姿の男性。
いろいろ個性豊かな人たちが多いようだと感じた。
部屋自体はただの会議室みたいで、長テーブルがいくつも置いてありテーブル一つに付きパイプ椅子が三席おいてある。
部屋自体が広いこともあってから三~四十人はここいる感じだった。
適当に空いている前の席に座ろう。
※※
それから十分くらいしてからドアが開かれた。
――ガラッ
『その人』は部屋に入ってきた。
――体は鍛え抜かれてて隙の見えない筋肉ボディ
――頭は綺麗に整えられた短髪である。なぜか角刈り。
――身長も180は超えてそうだ。
――なぜか上半身裸でサスペンダー姿なのかわからないが
彼は室内を見渡すと一息ついて
「good morning 諸君」
そして俺の隣に座っていた中学生くらいの女の子に
「ん、んんお嬢さん」
「失礼、君のおパンツの色は何色かな?」
聞かれた少女は
――キャアアと悲鳴あげた
まがうことなく、そこにいるのは立派な変態だった。
※※
その後、彼は学院の人達に連れていかれた。
周りの人たちもざわざわしている。
時折耳を済ませると
――「あれが彼の」
――「我らが目指す先」
うん。
特にさっきしゃべった奴は一緒に引っ叩かれてこい。
「あー、すまない」
「不振な人物が入ってきてしまったようだな」
開かれたままのドアから言いながら現れたのは犬耳をピクピクさせながら部屋に入ってくるクールビューティなお姉さまだった。
「それでは今から講習を始める」
※※
「まず全員適正検査を受けたと思う」
「それで技能についての基本的な話をしよう」
まず話を簡単にするとこうだ。
・基本属性というのは『火、水、風、雷、土』である
・それより一段階上である『光、闇、氷』がある
・また使い手が少ないがさらに特殊な『重力、衝撃、熱』がある
・どれも何が優れていて、また劣っているということでもない
・上に上がるに連れて制御が難しくなる
・人によって覚えれる属性は決まってるらしい
こんな感じだ。
「さらに分けるなら」
「初級・中級・上級に分かれる」
「また、同じ級でも応用というものがある」
「ただ相手に向かって攻撃や単的なことができるのが基本だ」
「で」
「ただ当てるだけでなく」
「複数の行動をさせることによって」
「平面的な動きからより複雑な三次元的な動きにさせるのが」
「応用だ」
だがと話を続けた。
「これらにも相手に異常をかけさせる技能もある」
「混乱、麻痺、猛毒とかな」
「あとコレは例外になるが」
「これらには一切属さない特殊が存在する」
「それは検査しても判別できず」
「どんなものがあるかわからない」
「技能についてはこれで大体全部だ」
んー、なるほど。
一応俺はこの属性全ての適正はあるわけだ。
…適正だけな。
「依頼についてだ」
「まずは簡単なものは人探しやお手伝い」
「アルバイトのようなものがある」
「これらを受けて依頼に慣れるのもありだろう」
「次に護衛がある」
「誰かから護ってほしい、ストーカー被害から守ってほしいというのも護衛に入る」
「危ないものから言えば、要人の護衛も勿論存在する」
「これはある程度力をつけてから受けるといいだろう」
「最後に討伐だ」
「これは突然変異で現れる害獣を駆除する」
「もっとも危険であり」
「これに限っては依頼を受ける際」
「学院側から本人の実力を考慮して依頼を取り下げたりする」
「討伐に参加できるようなものはすでに一流と呼んでも構わないだろう」
「これで依頼についての説明は終了させて貰う」
「なにか質問はないか?」
「よし最後に裏には修練場がある」
「そこで鍛錬するなり、技能をあげるために己を磨くなり」
「自分を見つめ直すといい」
※※
それでは講習は終わりだ…っという声と同時に周りの人たちも席から動きだした。
「ふぅ、リンちゃん探そ」
中々しっかり聞いてたなぁ、我ながら。
さてと、それじゃあリンちゃんに今後どうするか話し合うか。
部屋を出たすぐのところで
「講習が終わった方は窓口にてカードを発行してくださーい」
と声をかけてたので先に窓口によることにした。
「すいません、講習を終わったんですけど」
「はい、コチラがザンテイ様のカードでございます」
「紛失や破損した際にはぜひ窓口までお申し込みください」
「はい、ありがとうございます」
これでようやく働き口と身分証明できるものを確保できた。
※※
リンちゃんを探していると掲示板の近くにいた。
「おまたせ」
「はい、どうでしたか?講習は?」
「いろいろ勉強になった」
「ところで聞くけど」
「リンちゃんって属性はなに?」
「私はカエルなので」
「適正とかあるんですけど」
「基本的に得意なのは水ですね」
「じゃあ、水の練習に付き合ってもらっていい?」
「別にいいですけど」
「先に依頼を受理しないといつ収入が入るんですか?」
今でしょ!
って違うな。
「時間ができた時に練習しますので」
「一緒に依頼を受けてみましょう」
「そうだな」
「まず稼ぐことが先決だな」
ということで早速依頼を確認してみることになった。
※※
二人で掲示板の一つの前に移動した。
「えっと」
「どんな依頼を受けましょうか?」
「安全で簡単な奴から慣れていいきたいな」
「そうですね、これなんてどうでしょう」
「ペットの面倒を代わりにみてください?」
「でもこれ払いはいいのに誰も手を出していない依頼じゃないか」
「なんか嫌な予感がするんだけど」
「大丈夫です!」
「コレでいきましょう」
「私も今後依頼を受けるとき、手伝いできる範囲ならお手伝いしようと思うので」
これいいのか?
他の人があえて受けてない時点で嫌な感じしかしないんだが。
――このとき俺は
――これが今後を決める重要な依頼になるなんて
――知る余地もなかった