第五話 適正検査
そうして話をしている間に目的地に到着したようだ。
「ここが学院です」
こ↑こ↓?
いいや、違う違う。
ここが学院か。
一言で言うなら真っ白い建物である。
三階くらいでてっきり学院というから大学施設のような結構広大な場所を想像していたが
パッとみで、精々中学校ぐらいの大きさである。
「この建物の奥に練習場があります」
「そこで技能の練習をやったり自分にあった戦い方を修練したりします」
「なぁ、昨日のときから疑問に思っていたんだけど」
「その技能ってなに?」
俺の質問に対してリンちゃんが答えた。
「たぶん講習で説明があると思うんですけど」
「私や昨日の人が使っていた水や風のことです」
「でも技能は適正が無いと基本使用することができないので」
「普通の人が使おうとしても使えることは無いですね」
ほむほむ。
MPがないと魔法は唱えることができないのが鉄板だよな。
「技能が使えなくても極まれに才能を持っている人や異人の特性を生かして依頼を達成する人もいますから別に技能が使えることが全てではないんです」
「ゆにーく?」
「例えば反応がありえないぐらい早い人や俗にいう天才とかですね」
「じゃあ、異人の場合は?」
「狼系は嗅覚が優れていたり、鳥類はその翼を使ったりしてますね」
「じゃあリンちゃんは?」
「私はカエルなので水の中で早く泳げたり、雨が降ってると技能が強くなったりしますね」
流石カエルのリンちゃんである。
某教育番組の歌でリンちゃんが泣くと雨が降ると言われることはあるな。
「じゃあ中に入りましょう」
おし。オラわくわくしてきたぞ。
ワクワクがとまらねぇ。
※※
「ここがロビーです」
結構中は広いようだ。
コンクリートの床で、壁の内装も白色だ。
壁にはいくつもの掲示板みたいなものがあって、それぞれ危険度によってから分けられているようだ。
掲示板の前で相談している人や壁の方によって情報を交換している人もいたりする。
少し話しを聞き耳してみよう。
今一番近い位置にいる掲示板で話してる三人の会話を聞いてみよう。
そっと、そっと。
「この害獣駆除をお前受けてみろよ」
「おまwちょwマジ爆死確実wwうぇw」
「だよなー、害獣駆除なんて上級かせめて中級じゃなきゃただの神風特攻だよな~」
「まぁ、初級のしかも応用もできない俺らじゃそもそも受け付け受理自体されないって」
はぁ、どこでも適材適所っていうのはやっぱりあるのね。
あと他には奥の方に病院の窓口みたいなところがあるな。
やっぱりあそこが受付?
「はい、あそこが受付です」
「あそこで登録ですよ」
それじゃ、行ってみますか。
※※
まず受付のお姉さんに話しかけてみよう。
「すいません」
「はい、こちらは《学園》の受付です」
「今日はどのような用件でございますか?」
「いや、依頼じゃなくてですね」
「依頼を受けるために登録をしようと思いまして」
「はい、依頼者ではなく登録の方ですね」
「ではコチラの紙に必要事項を書いてからまた窓口まで持ってきてください」
「はい」
えと、何を書かなきゃいけないんだ?
まず
1.今就いている職業はありますか。(y/n)
…nで
2.犯罪を犯したことはありませんか。(y/n)
N
3.綺麗なお姉さんと薄汚い老人どちらを助けますか。(y/n)
おい、y/nで答えられる質問じゃないぞ、コレ。
4.実はさっきの汚い老人は実は凄いお金持ちのおじ様で助けたらとてつもない報酬をお礼として貰えたのでした。(y/n)
そんなの知らんよ。
とまぁ、進めば進むほど書こうとする意欲を持っていくような内容で最終的にはどんな質問があっても冷静に対処てきるような精神を保てるようになった。
「はい、書き終わりました」
「はい、それでは右の通路の奥の部屋の前でお待ちください」
窓口がロビーの突き当たりでその左右に奥に繋がる廊下があり右の廊下の奥にある部屋の前で待機しろとのことだった。
※※
今部屋の前の椅子に座って順番が呼ばれるまで待っている。
「次でお待ちの方どうぞお入りください」
「はい」
中に入っていくと普通の診察室のように見える。
ここでなにをする部屋なのだろう。
「今からあなたの適正を見ます」
「この結果で適正があろうがなかろうが登録には何も支障は無いので安心してください」
なるほど。今から技能の適正を見るわけだ。
「」
「腕を出して、これを付けてください」
「それでは付けて頂いた腕輪に今から何種類か変化をおこすので」
「終わったあとはどんな変化があったか教えてください」
腕にエコーの検査をするときに付けるパカパカ開く輪っか?腕輪を付けられた。
…なんか腕輪から軽い熱を感じる
これが変化らしい
ん、一分経たないうちに次は腕輪を付けているところだけしっとり濡れている気がする
気持ち悪い。
次はビリッときた。
その次は振動している。
さらに次は腕輪のところだけが涼しい。
なんか腕輪が重くなった!
と思ったら、腕輪から僅かな衝撃を感じた。
腕輪が黒くなったり、白くなったり。
突然腕輪が冷たくなった。
最後に腕輪の色が薄く朱色に変わった。
なんなんだろう。
※※
「それでは部屋の前でお待ちください」
検査が終わって俺は部屋を出た。
腕輪を付けていた腕には何もなかったからあれは特殊な道具かなんかなのだろう。
さぁ、どんな結果が出るか楽しみだ。
※※
待っていると十分も経つかどうかという頃部屋に呼ばれた。
「失礼します」
「はい、ザンテイさん」
「あなたの結果なんですけど」
「一応全ての属性の資質はあるようです」
おお!
マジで!
これは俺tueeeeee!!な展開ではなかろうか!
キタコレ!
やhh――
「ですがあまりにもランクが低すぎて」
「初級もない状態ですね」
「えっと、どういうことですか?」
「はい」
「つまり、水ならホースから出るくらいの勢いでしか水は出せないということです」
「ええと、のーびす?は基本どのくらいですか?」
「水を出して前に飛ばすくらいなら」
「個人差はあると思いますが」
「最低でも鉄を軽く変形できるくらいの圧力はありますね」
…別に期待なんかしてないもん!
ホントだもん!
※※
俺はそれからロビーに戻ってきた。
「あ、検査の結果はどうでした?」
俺は検査の内容をリンちゃんに伝えた。
「そ、そうでしたか」
「で、でもすごいじゃないですか」
「全ての資質があるって今まで聞いたことがないですよ!」
「…でもこんなに弱いのも滅多にないって聞いた」
「だ、大丈夫ですよ!」
「訓練をすれば少しずつ強くなっていくと思いますよ!」
はぁ、リンちゃんが腕をパタパタさせながら俺を元気付けようとしている。
ここまで心配かけたら悪いよな。
立ち直ろう。
「……わかったよ。もう大丈夫だと思う」
「本当にですか?今日の朝みたいにご飯くらいなら上げますので気を取り直してくださいね」
…この子は女神かなんかだろうか。
「本当に!ありがとう!」
「きゃあ!」
つい感極まって手を掴んでしまったが、ご飯も恵んでくれるようだ。
リンちゃんさま様だな。
※※
「もうそろそろ講習が始まる時間じゃないですか」
「ん、そうだな」
「場所はさっきの右の廊下の手前側の部屋みたいだな」
「それじゃ、行ってくる」
「はい」
リンちゃんがいってらっしゃいっと言ってくれた。
さて。
どんな人が説明してくれるのだろうか。