死者の檻
仕事でアレンの故郷である街にアレンとカレンは向かっていた。
「あの雲凄いな。」
二人の目の前に山のような雲が広がっていた。
「めっちゃ大きい雲だね。」
雲で向こう側がしっかり見えず、目的地が見通せなかった。
「なんかおかしくない?」
どれだけ進んでも雲は大きくなる一方だった。
「これ雲じゃない……」
しっかり触れることが出来た。
「山みたいな雲じゃなくて雲みたいな山だ……」
「そんなことあるわけ無いだろ!ここには街があったんだぞ?」
「こんな特徴的な山なんて無かった!道を間違えたんだ、さっさと戻るぞ!」
嫌な予感が拭えなかった。
「でも、あれ……」
指の先に立っていたのは街の入口の看板だった。
「何かの間違いだ!街には家族も友人だっているんだぞ?」
「それにこの街の防衛は完璧だ!」
「でも……」
「あれ?この街の人?」
上から女性の声が聞こえた。
「だったら何だ!」
「生き残りがいたなんてね。」
「何の話?」
「3日前にこの街の人間を全員殺したと思っていたから……」
「お前がやったのか?」
怒りで声が震えていた。
「とても天気のいい日だったわ。」
「この街の防衛は完璧なはずだ。」
「そうなの?」
「何の抵抗も感じなかったけど……?」
退屈そうに指先も眺めていた。
「これあげる。」
女が放り投げた短剣は紙のような質感と重さだった。
「人どころか果物すら切れないよ。」
「馬鹿にしてるのか?」
「落ち着いてアレン。」
「別に馬鹿になんてしてないよ。」
マッチを取り出し、串にさしたマシュマロを炙り始めた。
「あ、失敗した。」
火の勢いが強く串まで燃え始めていた。
ため息を付き串を地面に落とした。
「あーあもったいない。」
炭になっていくマシュマロを眺めていた。
「もうそれ放した方がいいよ。」
女が呟いたのと同時に持っていた剣が何の前触れもなく、ものすごく熱くなった。
「あっつ!」
地面に落ちた剣は触れた草を燃やし始めた。
「手!早く冷やさなきゃ!」
剣を掴んでいた手はひどい火傷を負っていた。
「だから言ったのに……」
やれやれと首を振りながら降りてきた。
「やる?」
「何をしたの?」
「私の力は対象と対象の状態の交換。」
「その短剣は紙と状態を交換して、さっき君の手の中で炭と状態を交換したの。」
「これは雲と鉄の状態を交換したの。」
街を覆い尽くしている雲を撫でた。
「建物も人もみんな等しく潰れたわ。」
「そもそもマシュマロをマッチの火で炙る馬鹿なんていないでしょ。」
「お前!」
手の処置もそこそこに剣を抜き構えた。
「……」
剣を抜くのと同時に女が倒れた。
「なんだ?」
警戒しながら近づこうとすると横から電撃が走り女に直撃した。
「これで動けない!トドメを刺すなら早く!」
「なんで急に倒れたんだ?」
「そんなこと気にしてる暇ないよ!」
「カレン、いつからそんなに躊躇なく人に魔法を撃てる様になったんだ?」
「え?街を潰した奴に加減なんていらないでしょ?」
「お前誰だ?」
「はぁ~気づくの早すぎ。」
気だるそうに指を弄り始めた。
「入れ替えられるのは中身もって事。」
「後早く助けないと死ぬよ?地面と水を交換したから。」
倒れていた身体が少しずつ沈み始めていた。
「じゃね。」
手を振って走り始めた。
「くっそ……!」
沈み始めた身体を陸に引っ張り上げた。
「あいつ……!」
女の身体にはナイフが突き刺さっていた。
「息もしてない……!」
バッグを探り一つだけ手に入れた蘇生薬を飲ませた。
「あいつ絶対に許さねぇ……」
「ここは……?」
しばらくして目を覚ました。
「大丈夫か?」
「あなたは?私は悪人を追い詰めていたはず……」
「いや、違う。力を奪われ身体を交換すると言われた後どうなったんだ?」
「何の話だよ?」
「私の状態交換の能力を奪われ身体も奪われた……」
「そうか記憶も奪われたのか……!」
「いい加減にしろ!お前は誰だ!カレンじゃないのか?」
「私はあいつに閉じ込められていたのだがどうやら新しい体に入るのに邪魔な私の記憶を置いていったらしい……」
「だが私はもう死んでいる。」
「記憶のせいで思い込んでいるだけなのだろう。」
「あいつにこの身体に記憶を戻させないと二度と完全には戻らないだろう……」
「そして私もあいつを殺さなければならない!」
「手を組もう、あの悪魔を殺すんだ。」
「これが始まりだったな……」
アレンは地下牢に入れられていた。
「随分と滑稽ね。」
扉が開き、カレンが入ってきた。
「知らない女を連れてきたあなたと一人で戻った私。」
「どっちを信じるかなんて簡単なことでしょ?」
「あなたが処刑されてからゆっくりとこの国を乗っ取らせて貰うわ。」
「ふざけるな!」
「絶対に後悔させてやる……!」
「何でそんな怖いこと言うの?アレン。」
「カレンの声で喋るな!」
「だってー声帯は一つだし。」
「諦めたら?君の協力者は始末したし。」
「は?」
何を言われたのか分からなかった。
「いやー脱獄できるようにしたらまんまと脱獄してくれてね。」
「逃げ出したところを始末させてもらったよ。」
「自分の服に殺されるなんて思わなかっただろうね。」
水の中に逃げたのを見て金属と服の状態を入れ替えていた。
「じゃあ私はみんなのところに戻るから。じゃあねアレン。」
「くそっ!」
鉄格子を掴んだ手が火傷で痛んだ。
「みんなお待たせ。」
カレンはみんなのもとに戻っていた。
「アレンはどうだった?」
「ノア、やっぱりアレンはおかしかった。」
「手がかりには脱獄されたしもうどうにもならなそう……」
「そんなに悲しい顔をしないで下さい。」
「フィオナ王女様……」
(次はこいつだな。)
「アレンはおかしくなってしまいましたが国に貢献してくれてました。」
「せめて私達だけでも彼のことを覚えておきましょう。」
「……そうですね。」
「たとえ辛くてもアレンの処刑から逃げることは許されない……せめて仲の良かった私達で見送りましょう。」
「エステルの言う通りだ。」
「死者の檻に送られるだけだから苦しみはないのは救いだよ。」
「アレンが私をカレンじゃないなんて言うなんて今でも信じられない……」
「もし私がほんとに偽物だったらどうする?」
「そんなことあるわけ無いでしょ。」
カレンは全員から疑いを奪っていた。
(あーチョロい。奪った疑いはアレンの信じる心と交換したしだれも私を疑えない。)
「明日は処刑もある今日は早く寝よう。」
「そうだね、エステル。」
「信じてくれよ!」
「静かにしろ。」
アレンは処刑場に連行されていた。
「お前いい加減にしろ!」
処刑場にカレンの姿を見つけた。
「最後まで私のことを偽物扱いするんだね。」
「偽物だろ……!」
「時間です。」
フィオナが前に進み出た。
「今までの貢献に感謝しますアレン。」
アレンは青と水色の渦巻く池の前に立たされていた。
「さようなら、アレン。」
落ちていくアレンと目が合っていた。
「始めるか。」
隣にいたエステルに触れ能力を奪った。
「カレン?!」
「残念、私はカレンじゃないでーす。」
エステルを転ばせ、フィオナに襲いかかった。
「くっ!」
わざとフィオナの攻撃を喰らい、空中でフィオナと入れ替わった。
「貴様!」
カレンは衛兵に押さえつけられた。
「なぜアレンをはめたのですか?」
フィオナを乗っ取り、押さえつけられているカレンを見下ろした。
「な、なんの話ですか?フィオナ様……」
「カレンを死者の檻に入れなさい。」
「え?フィオナ様?」
衛兵に立たされながらカレンは混乱していた。
「ノア、エステルを運びなさい。」
能力を奪われ、エステルは気絶していた。
「私ほんとに何もしらな」
カレンは言い終わる前に衛兵に落とされた。
「私は少し休みます。」
フィオナに蹴られた時にフィオナの記憶とカレンの記憶を入れ替え、入れ替わる時に自分とカレンの記憶を交換し、カレンの記憶を戻してカレンごと始末していた。
(だれも私を止められない。)
元々持っていた触れたものから一つ奪う能力で暴れていたところを追い詰められていらい、一度も危ない目にあったことが無かった。
(これで手持ちは権力者の体と記憶、奪う能力、交換能力、そして今奪った身体強化……)
「戦争仕掛けて負けて最後の交渉で相手を乗っ取るか。」
「そうやって私は強くなっていった。」
「何年生きてるんだ?」
「大陸を統一したのが250年前だ。」
「お前何歳なんだ?」
「321歳、奪った者の時間も合わせると1500年程だ。」
「殺そうと思えば動かずとも殺せる。」
「何言って……」
腰に携えていた剣が溶けた。
「確かに殺せそうだ。」
「お前を殺す方法は?」
「存在を感知できない位置から一撃で殺すこと。」
「それか私を自殺させる。」
「成る程ほぼ不可能か。」
「じゃあ帰るわ。」
「そうか。」
「殺さなくていいのか?」
「殺してほしいのか?」
「この位置からだってお前を殺せるし半径3キロ圏内に居る人間全員を把握でき、殺せる。」
「それに視覚強化もあるからな。」
「高いところから視認さえすれば殺せる。」
「懐かしいな。視覚強化は製図家の能力だった。」
「最初に奪ったのは交換だったな。」
「身体もそうだった。」
「その後国のそこそこな地位の人物になり正体を知るものを始末し、権力者を乗っ取ったな。」
「確か名前はフィオナだったはずだ。」
「思い入れが強いからな、今は鳥の中に閉じ込めている。」
「私の名前は何だったかな……」
「出身地はもう存在していないしな……確かフローラだったはずだ。」
「もう304年前の話だ。」
「フィオナを乗っ取った時は17だったはずだ。」
「その少し前に17歳の凶悪犯として指名手配されていたからな。」
「私を追い詰めた者が生ぬるい奴ではなかったら私は存在していない。」
「私に近づいてきたから能力を奪えた。」
「そのまま自分の身体を捨てて失踪した。」
「お前壮絶な人生送ってるな。」
「何度も刃物で刺され魔法を喰らった。」
「だがもう私の身体にナイフは通らなくなった。」
「まあ今日は帰るといい、結局お前の名前は何だ?」
「俺か?俺はスピリト。」
「俺の昔話もした方がいいのか?」
「俺はアレンでもありカレンでもある。」
「なぜなら俺の中にはお前が304年間で死者の檻で処刑した全員が入ってるぜ。」
「……」
殺そうとするより早く目の前からスピリトが消えた。
「拠点に飛んだか……」
「政権交代の時間だな。」
次の王はすでに指名してあった。
「会食を手配しろ。」
次の日に国に流れたのは国王が死に、新王になったというニュースだった。
「なんで王を変える必要があったんだ?」
スピリトはニュースを聞き考えていた。
「まあいい手配は終わった。殺しに行くか。」
王城に歩みを向けた。
「恐らくあいつは新王になっている。」
拠点に居る仲間に連絡していた。
『りょーかい。』
「今から突入する。」
王の間にたどり着き新王のもとにたどり着いていた。
扉を開けると新王が玉座に座っており、衛兵が警護していた。
「やれ。」
スピリトが言い終わると同時に丸い輪のついたピアスの輪の部分から指が出てきた。
『じゃ、撃ちます。』
指先が光り新王の首を貫いたと同時に隣の衛兵がふらついた。
近くに居た前王の娘が悲鳴を上げ、蹲った。
「あの衛兵だ。」
スピリトはふらついた衛兵を見逃していなかった。
『うい。』
衛兵を撃ち抜くともう片方の衛兵がふらついた。
「次もだ。」
光が衛兵を貫いた。
『殺せた?』
「分からない。王女はずっと悲鳴を上げたりしていたりしていたから違うはずだ。」
『……』
「どうした?」
ピアスが溶けていた。
「最初から私はここだよ。」
王女が立ち上がった。
「王は本物、衛兵は昨日殺した使用人二人の記憶と入れ替えただけだ。」
「さて、どうする?」
スピリトの左腕が飛んだ。
「撤退一択だ。」
口の中に隠していた道具を使い拠点に逃げた。
「大丈夫か?」
戻ると仲間に声を掛けられた。
「お前こそ大丈夫か?」
「後少しで指がなくなるところだった。」
「やっぱりあいつ一筋縄じゃ殺せない。」
「勝つ方法はある。」
「51の魂の力を使って全速力で近づいて殺す。」
その日王国に流れたニュースは王と王女が暗殺されたというニュースだった。
「王女も捨てたか……」
「まずいぞスピリト。今日の王との死者数は16人だ。」
「そのうち二人は病死だから関係ない。一人は服毒自殺、後は不慮の事故と殺人だ。」
「能力者は?」
「5人だ。」
「そうか……」
完全に行き詰まっていた。
「何してるのサラ?」
フローラはサラという少女を乗っ取っていた。
「なんでも無いよお母さん。」
レストランで眠っていた少女と乗っ取った男の記憶を交換し、離れた席で毒を飲み入れ替わりトイレに行くといい途中で男に触れ少女の記憶を回収していた。
「じゃあ行こうか。」
母嫌が目を離した隙に少し離れたところに居た老人を殺した。
母親に手を引かれながら考えていた。
(感知以外の能力を使うのは控えるべきだな……)
「今日は早く寝よっか?」
「うん!」
(スピリトを探しながら母親と共に家に入った。)
「まずいな……」
早くフローラを見つけなければ4日後に王都で開催される祭りを目当てに国中から人が集まるのだった。
「これは終わったか……?」
「死者を全員洗ったが怪しいものは何もでてこなかった。」
王都で暮らしている仲間に調べてもらっていた。
「あいつも疑わなきゃならなくなってきたな……」
どこに潜んでいるかが分からなくなり、信用できる人間が限られていた。
「祭り当日になっちまったな。」
「どうすんだこれ……」
スピリトの前には何千人もの人が溢れかえっていた。
「人多いね?」
フローラは母親と共に街を歩いていた。
「そうだね。」
何千という人間が街に居た。
「さよなら、お母さん。」
建物の上から母親と祭りを見ていたフローラは母親押し、共に上から落ちた。
「よっと。」
記憶を奪わずに入れ替わり、現場から離れた場所に居た人物に成り代わった。
「始めるか。」
王都の上空には暗雲が立ち込めていた。
王都では大混乱が起きていた。
人と人が入れ替わり収集がつかなくなってきていた。
『どうすんだスピリト?』
「考える。」
「……そこにいたのか。」
フローラはスピリトを見つけた。
「気にする必要はない。」
スピリトの立っている建物の下をフローラが通り過ぎた。
「なんだ?」
しばらく観察していたスピリトは異変に気がついた。
「円?」
雲が円状に切り離されていた。
「やるか。」
フローラは門番に成り代わっていた。
「さよなら。」
フローラは掴んでいる槍と雲の状態を交換した。
フローラの目の前で雲が落下し始めた。
「頼んだ。」
『これやると明日がしんどいんだぜ?』
ピアスのリングが増え輪の中から大量の指が出てきた。
『この量やったら骨折不可避だっつーの。』
『まあ俺は協力者だからな。骨くらい犠牲にしてやるよ。』
全ての指先が光り雲を破壊した。
『おれは今日はもう無理だ。』
「分かった。後は任せろ。」
ピアスが消失した。
「そろそろ交代するか?」
魂を交代するとその魂の記憶が消えるまで行動することが出来た。
「……」
少し時離れた場所に死体の山とその真中でお茶を飲む若い女性がいた。
「……よし。」
覚悟を決め、向かおうとしたスピリトは袖を引っ張られた。
「これを……」
袖を引っ張ってきたのは王都に潜伏していた協力者のエマだった。
「そんな血まみれでどうしたんだ?」
「……」
「エマ……?」
エマは一度だけ使える蘇生薬を渡し、事切れていた。
「ああ、やっと来たんだ。」
近づいて来たスピリトを見ても動かずお茶を飲んでいた。
「君が来ないからずっと嗅ぎ回ってた子の能力奪って殺しちゃったよ。」
「身体はいらなかったから瀕死で見逃したけど。」
「いや〜一人で私に立ち向かってくるなんてね。」
フローラの座っている椅子のテーブルに穴が空いていた。
「遠くからの狙撃、でも私にとっては近すぎたかな。」
「土に返してあげなよ。」
エマの身体が崩れ始めた。
「お前は許さない。」
スピリトの雰囲気が変わった。
「俺を覚えてるか?いいや全然?」
「俺はアレンだ。」
「お前が最初に処刑したのが俺だ。」
「ふーん。」
「今ここで殺してやる。」
「いいや?君は私の養分になる。」
フローラがスピリトに触れた。
「ごちそうさま。」
「アレンが消えた……?」
「あっ……!」
フローラがテーブルに置いてあったナイフを首に突き刺した。
「ありがとう。」
死体の山から少女が立ち上がった。
「アレンは私のことが随分嫌いみたいね。」
アレンの記憶を奪って馴染ませる本の数秒の間にアレンに喉にナイフを刺されていた。
「でもおかげでアレンは完全に消え、邪魔な記憶も全部消せたよ。」
テーブルに突っ伏しまだ死んでいないアレンに手を触れた。
「離れろ!」
「言われなくても。」
アレンから体力を奪っていた。
「まあどんどんきなよ。」
「全員消してあげるから。」
「……」
「こないならこっちから。」
フローラの腕が右肩を貫いた。
「二人目。」
また一つ記憶を奪われた。
「いいこと思いついた。」
右肩を抑え、地面に膝をついたスピリトに構わずに近くに居た民間人を捕まえていた。
「……何をするつもりだ。」
「こう。」
フローラはスピリトと自分の記憶を入れ替えた。
「君記憶持ちすぎでしょ。」
「何する気だ!」
スピリトにはさっき奪われたまま放置されているカレンだけが残っていた。
「これで終わり。」
フローラが心臓にナイフを突き立てた。
「全員居なくなっちゃたね?」
フローラはもう一人の民間人と自分を入れ替えていた。
「いや、まだ一人いるのか。」
倒れた身体に近づきナイフを引き抜いた。
「これで49人分の記憶は消えた。ついでにこの身体の持ち主の記憶も。」
「アレンも消えて50人後は君等二人だけだ。」
「私はあなたにそんなに恨みを抱いていなかった。」
「真実を知るまでは私はフィオナ様に処刑されたから。」
「でもあなたはアレンを2回も殺した。」
「死んでるんだからよくない?」
「私は天国には行けなそうね。」
「どうして?」
「こんなにも民間人を殺してしまったから。」
カレンはスピリトの能力を使い回りに居た民間人全員を殺していた。
「これでもう乗っ取れない。」
カレンは入れ替わりを防ぐために近くに居た全員を殺した。
「犯罪者の仲間入りおめでとう。」
何も言い返さずフローラに斬りかかった。
「さよなら。」
フローラは抵抗せずにカレンに貫かれた。
「これで一対一だね。」
カレンと交換し、スピリトと同じ身体に入っていた。
「さよならカレン。」
自分で突き刺した剣で命を失っていた。
「私の勝ち。」
スピリトはカレンが居なくなり、フローラと同じ身体の中に居た。
「あれ?」
身体の主導権を奪えていなかった。
「残念だったな。」
「俺が持ってたのは記憶だけじゃない。」
「49人いたのに全く抵抗されなかったのに違和感を感じなかったのか?」
「アレン以外の50人の抵抗力は俺が持っている。」
「私を殺せばお前も死ぬぞ?」
「いい加減罪を清算しようぜ。」
「潮時か……」
「お前が今まで奪ってきた全員の辛さを思い知れ。」
「う、ぅ……」
少しづつフローラが消され始めていた。
「ただでは死なない……」
街も人も全てが地面に沈み始めた。
「そんなことをしても無駄だ。」
「それはどうだろうな。」
油断した隙にフローラは心臓にナイフを付きた立てた。
「お前も道連れだ。」
321年生きた化物は国一つを犠牲にしてようやく息絶えた。




