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幕間2

「今日も、いろいろとアンナさんに迷惑かけちゃったね」

「いえ、お気になさらず。ユーリさまのお役に立てて良かったです」


 自室でテーブルを挟んでアンナと向かい合い、お茶を飲みながら今日のことを振り返るユーリ。

 パワラがつまみ出された後もお見合いは数件行われていたのだが、結果は芳しくなかった。

 そもそもパワラのインパクトが強すぎて、そのことを引きずっていた影響も少しはあったのかもしれない。


 アンナも今日のお見合いが失敗に終わった責任を感じているのか、いつもより言葉少なだ。

 そんなアンナを元気づけようと、ユーリはことさらに明るい声を出す。


「パワラの時はありがとう。アンナさんがいなかったらどうなっていたか」

「どういたしまして。ユーリさまこそ、私をかばってくださって、嬉しかったです」


 微笑みを浮かべてまっすぐ見つめてくるアンナを正面から見返すことが出来ず、ユーリは照れくささをごまかすように自分のティーカップを傾ける。

 二口ぶんほど飲むとカップを置き、くだんの幼馴染について付け加えた。


「パワラとの縁はもうこれっきりだ。幼馴染だからって、さすがに今日のパワラの言動は許せない」

「……そうですか」


 さすがのアンナも、先日のキリカたちのように復縁を願うようなことは言わなかった。


「村を出て、僕は色々な縁を手に入れたから、そちらの方を大事にしたいな。もちろんアンナさんとの縁も」

「ふふ、ありがとうございます」


 ちょっと恥ずかしいことを言ってしまったと感じたユーリは、残っていたお茶を一気に飲み干すと。


「きょ、今日はもう寝ようかな」


 まだ就寝時間には早いのに、ついそう口にしてしまう。アンナは特に異を唱えることなく頷いた。


「それが良いですね。ユーリさまもお疲れに見えます」

「そ、そう?」


 ユーリは自分の顔をぺたぺたと触ってみた。やはりパワラの一件が尾を引いているのだろう。

 怪訝な表情で自分の顔を触るユーリがおかしいのかアンナはくすくす笑うと、やがて立ち上がった。


「私も片付けが終わったら今日はもう休むことにしますね。おやすみなさい、ユーリさま」

「うん、アンナさんもおやすみなさい」


 アンナが退室するのを見届けたあと、ユーリは寝巻に着替え、ベッドにもぐりこんだ。

 明日以降、もうパワラのことで頭を悩ませることがないようにと願いながら、ユーリは眠りについた。

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