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メイドのアンナ

 ユーリさま。

 ようやく、結ばれる時が来ましたね。

 私はずっと、この時を心待ちにしておりました。

 そして今、私の中で、これまでのことが不思議と思い返されてしまいます。




 戦士キリカさま。

 あなたはずっとユーリさまを脳内でめちゃくちゃにしていたとおっしゃっていましたね。

 でも、実は私も同じでした。

 私もずっとユーリさまを妄想のなかで、気持ちよくしてあげていました。



 魔女ドロテアさま。

 あなたはとても素晴らしい薬を私にくださりました。

 あなたが水筒ごと置き忘れていったジャスミンティーを、他のお茶に薄めて何度も出していたこと、ユーリさまはついに気づくことはありませんでした。

 もちろん薬の力を借りずとも最終的には私に振り向いていただけたとは思いますが、念には念を、というやつです。



 神官ロザリーさま。

 あなたは神に処女を捧げたとおっしゃっていましたが、私はそんな無意味なことはいたしません。

 私の処女はユーリさまだけに捧げます。



 幼馴染のパワラ、でしたか。

 愚かな娘です。あんな言動をすればユーリさまの心は離れていくだけだというのに。

 村でユーリさまとどれだけ長く一緒に過ごしたか知りませんが、無意味な時間でしたね。



 衛兵の中にもユーリさまに懸想けそうする者がいるようですが、あなたたちにはユーリさまを守る栄誉を与えます。それだけで十分でしょう?



 道具屋のメアリーさん。

 あなたの執念は見習うべき点があると思います。でも大人しく亡き夫にみさおをささげてください。



 盗賊のテルミトーさん。

 相思相愛になるという指輪は、あなたが隙を見せなかったので手に入れることが出来ませんでしたが、幸いもう不要になりました。

 むしろ他の女に指輪を悪用される危険な要素を排除してくれて、今となっては感謝しているくらいです。



 小説家のテテスさん。

 夫婦で小説を書くというのは素晴らしいアイディアです。ユーリさまと私の恋物語という形で、実現に向けて動きますね。

 あなたが新刊を出した時の『勇者ユーリ絶賛!』の帯くらいはもちろん許可してさしあげます。



 鍛冶屋のベアトリーチェさん。

 あんな心の闇を隠しているとは意外でした。なるべく依頼を増やせるよう手配しますので、邪念が湧かないくらい仕事に打ち込んでください。



 花屋のデイジーさん。

 あなたがしたことは運試しと同義でした。そしてその運試しに負けた……。ただそれだけです。今後別の機会があれば、相手のことをもっと知ってから挑むことをおすすめします。



 呪術師ノーマさん。

 いえ、呪術師ではなく詐欺師であったかもしれませんね。あなたのような人が今後も来るであろうと予測できます。予行演習の機会をいただいたと思っておきます。



 吟遊詩人のライラさん。

 歌唱の技術はまことにすばらしいものでした。あんなことさえされなければ、王都でも活躍の機会があったでしょうに。あなたの歌声が二度と聞けないであろうこと、少し残念に思います。



 占星術師オーガスタさん。

 あなたのお見合い日時のことを、なぜ魔女ドロテアさまが知っていたのか。そんな疑問をいだかなければよいのですが。



 エルフのディアーネさん。

 実は、あの儀式に成功してもユーリさまはあなたを選ばないと思っていました。あなたは胸が小さいので。



 ダークエルフのベラドンナさん。

 あなたは恐ろしい相手です。ユーリさまをあなたに近づけることは、これから先一度もないでしょう。ご容赦ください。



 結界術師バリアソナタさん。

 結界術師の方たちの働きにはいつも頭が下がる思いです。これからも王都を守っていただけますよう、よろしくお願いします。



 魔竜エルドラさん。

 あなたは人型になるすべを身に着けておくべきでしたね。もしそれができたなら、あなたは手強いライバルだったかもしれませんが、諦めて同族と結ばれてください。




 ……。

 ふふ。こうして振り返ってみると、わずかな間にずいぶんと多くの出来事があったものだと思います。

 でも、もはやすべては過去のことです。私にとってもユーリさまにとっても。


 愛しいユーリさま。

 このメイドのアンナが、いつまでもあなたにお仕えしますから。








 ずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっとずうっと。








 一緒にいましょうね。






これにて完結です!

最終話までお読みいただき、ありがとうございました!

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