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ダークエルフの射手ベラドンナ

「アタシのようなダークエルフを招き入れるとは、お前は相変わらず変わっているな」


 今は、いつもの別荘の一室に戻ってきているユーリ達。

 ダークエルフの射手ベラドンナは興味深そうに室内を見渡したあと、用意されているお茶でゆっくりと喉を潤した。

 ベラドンナはダークエルフの中でも輪をかけて見目麗しい女であった。ふう、と一息つく姿すらとてもなまめかしい。


「結婚相手を探していると聞いた……。お見合いか。人間は変わった風習を行うのだな。お前を求める女はいくらでもいる。望むまま、ハーレムでも作って好きに過ごせば良いだろうに」


 あまりの放言にむっとしたアンナを挑発するように見やった後、ベラドンナはふたたびユーリを正面から見据えた。


「お前を求める女はいくらでもいると言ったが……実はアタシもその一人でな」

「え?」


 予想していなかった言葉に、ユーリがあっけにとられた。


「お前としても、あのやせっぽちのエルフより、アタシのほうがいいだろう?」


 特に照れる様子もなく、そう言ってのけるベラドンナ。

 彼女は豊満な胸を見せつけるかのような、胸元が大きく開いた服を着ている。そして動きやすさを重視してか、スカートもかなり短い。それに加えて先ほどからわざとらしく足を何度も組み替えていた。男のさがか、ユーリの意思に関係なく視線はそちらを追いかけてしまう。

 そのたびにユーリは顔を赤らめ、視線を前に戻して見てない風を装っていたが、もちろん気づいているベラドンナは楽し気に口角を上げていた。時折、そばに控えるアンナに勝ち誇ったような視線を向けることも忘れない。

 それでもアンナは微動だにせず、二人を見守っていた。しかし、見る人が見ればその体が震えていることに気づいただろう。もちろん怒りでだが。


「まあ結婚は性に合わないが、浮気相手としてならいつでも構わない」


 アンナからすれば聞き捨てならないようなことを言うと、ベラドンナはゆっくりと立ち上がった。


「今日はそれを言うために来たんだ……それじゃあな、勇者ユーリ」


 ミニスカートに包まれた形のよいお尻を左右に揺らしながら、悠然と去っていく。

 歩き去る彼女を呆けたように見つめ、扉の向こうにその姿が消えたあともしばらくぼうっとしていたユーリだったが、さっきから無言のアンナのことをようやく思い出し、慌てて振り向いた。どことなく自分を見つめる視線が冷たいことを悟ると、あせりながら自己弁護のために口を開く。


「ぼ、僕は結婚した後に浮気なんて絶対にしないよ!?」

「……ええ、そうだといいですね」


 アンナから返ってきた言葉は、普段と違って実につっけんどんなものであった。

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