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第九十二話 森の中の川辺にて2

『エニカ様とヒサメの疑問にお答えする前に一つ、エニカ様にご質問があります。エニカ様は魔石がどのように発生しているかご存知ですか?』

 水辺なのに水属性の魔石が思ったよりも採れないことと、水属性以外の魔石が多く見つかることに私とヒサメ、ソイルが不思議がって首を傾げていれば、突然コロが私に尋ねてきた。

 魔石について確かコロとソイルに出会ったばかりの頃、少し教えてもらってたような⋯

「えっと⋯確か魔力が溜まりやすい場所だと、ただの石が突然魔石へ変異することがある⋯みたいなことはコロから聞いてた気がするから、魔力が溜まっている場所に魔石が発生しやすいとか?」

『流石ですエニカ様!以前お話ししたことを覚えて下さっていてコロは大変喜ばしく思います!

 今エニカ様が仰られたことはほぼ正解と言えます。

 しかし、以前エニカ様にご説明したその内容はもう少し厳密に申し上げますと、実は「ただの石」というものは基本的にエターナレンには存在しておりません。エターナレンの大地に存在する石は全て魔石なのです』

「え?じゃあ前に話していた魔石へ変異するってどういうことなの?」

『以前エニカ様にはエターナレンで生まれ、存在する者たちは大なり小なり、どのようなものでも必ず魔力を持って生まれることをお話ししていましたかと思います。

 それは生物だけではなく、空や海、大地や森などといった自然や大気や水、石や火などの無機物にも当てはまり、基本どのような物質であっても必ず魔力を保有しております。

 そのため、広義的に申しますとエターナレンに存在する石全てが魔石と称することが出来ます。

 しかし、自然から発生した魔力はムラが出やすく様々な条件が満たなければ、微量な魔力しか内包していない場合が大半を占めます。

 ただし、そこで今エニカ様が仰られた「魔力の溜まりやすい場所」が要点となります。

 高濃度であるか大量の魔力に晒されることで内包する魔力量が増加したり、魔力の質が向上したり、()()()()()()()したりする場合があるのです。

 稀に様々な条件が重なり元から内包する魔力量が多く、質が高い場合もございますが、自然界でそのような鉱物が見つかることはそう多くありません。

 そのため、自然界に存在する微弱な魔力量の魔石との差別化を図るため、一定以上の魔力量や質の高さが認められた鉱物を魔石と呼ぶようになっているのです。

 魔石の条件に当てはまらない魔石は世間一般では「石」と呼ばれておりますね。

 ただ、石と見なされていても微量の魔力は大抵の場合含まれており、冒険者ギルドでの依頼における魔石には該当しますのでご安心下さい』

「へぇ〜そうだったんだ」

 コロの説明を聞く感じだと、元の世界でいうところの宝石の定義の仕方と近いかも。

 宝石も広く見れば鉱石に当てはまるけど、そこに装飾品として使えるほどの美しさや貴重さ、あと硬さだったかな?

 そういう条件が揃って初めて宝石として認められるっていう考え方を魔石に置き換えたら分かりやすい気がするな。

 魔石については分かったけど、それが川辺でも水属性の魔石が採れないことと、水属性以外の魔石が見つかることにどう繋がるんだろ?

「今のコロ君の話を聞いて魔石のことは分かったよ。

 でも、川辺なら水属性の魔力は十分にあると思うのに、水属性の魔石を見つけるってなったら思ったより数が見つからないのは何故なんだい?」

「ピギャピギャ」

 ヒサメも私と似たようなことを疑問に思っていたみたいでコロに尋ねていた。

 側で静かに聞いていたソイルも相槌を打っていた。

『きちんとお答えしますので安心して下さい、ヒサメ。今の魔石の話を前提としてエニカ様とヒサメの疑問に一つずつお答え致しますね。

 まずは水属性以外の魔石が見つかることから説明致しましょうか。

 基本川辺にある石自体、元々は山や森にある岩石や地面が風雨で削られ、何かの拍子に川まで落ちたり転がったりして、様々な経緯で川辺まで流れ込んでいるものが大半を占めます。

 そのため、元が山にあった岩石や地面の場合であれば地属性の魔石が、森であれば命属性、火山であれば炎属性、山頂に近い場所からであれば風属性など、川辺で水属性以外の魔石が見つかることは珍しくないのです』

「へぇ⋯水場であれば見つかる魔石のほとんどが水属性って訳じゃないんだね」

「ピギャァ⋯」

 ヒサメとソイルが感心したように呟く。

 私もこうやってコロから話を聞かなければ、今ある川辺の石が元から川辺にあるんじゃなくて、別の場所から流れてきた可能性があるだなんて思わなかったよ。

『ちなみに今回やたらと川で別属性の魔石が見つかったのは、昨日通り雨が降っていましたので、恐らくその雨が山や森に降っていれば、川が増水して上流から別の場所にあった魔石が流れてきている可能性はあると思いますよ』

「理由は分かったけど、何で事前にその可能性があることを話してくれなかったんだいコロ君」

『川の状態は実際入ってみないと分からないので、到着してすぐ川に向かっていったヒサメに任せておけば良いかと判断しておりました。

 では川辺で水属性の魔石が少なく感じられている理由についてお話し致しますね!』

 ヒサメからジト目で見られながらもコロは切り替えて説明を再開した。

『今申し上げましたように、川辺では他属性の魔石も混じっておりますが、比較的容易に水属性の魔石を見つけられやすい場所でもあります。

 その他に水属性の魔石が発見しやすい場所というのは、海底や湖底など水底に沈んでいることが多く、質を問わなければ川の方が見つけやすいのです。

 また、ヒサメの言われた通り、川も十分な水属性の魔力を含んでいるため長期間川底に沈んでいれば、例え他属性の魔力を含む魔石であっても微量ならば水属性に変異することがあるのです』

「なるほどね。海や湖まで行って潜る手間や他属性の魔石が水属性に変化するまでの経過を考えれば、(ここ)で水属性の魔石は見つかる方ってことになる訳なんだ」

『そういうことです』

 ヒサメの言葉にコロが同意する。

 ふとヒサメとコロのやり取りを見て疑問が思い浮かんだ。

 私とヒサメの疑問への答えは分かったけど、何でコロはこのことを話す前に私とヒサメに水属性の魔石を探させたんだろう?

次回更新日は3/25の予定です。→3/26の更新予定に変更となります(3/24改稿)

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