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第九十話 街の外にて

 翌日、クリストフさんの美味しい朝ごはん(昨晩は依頼で収穫したばかりの野菜で作ったシチューと黒パン、朝は野菜たっぷりポトフとゆで卵。どちらも野菜をゴロゴロ入れてあって食べ応えもあった)を頂いてから冒険者ギルドへ向かった。

 目的は勿論依頼を受けるため。

 ただ今回は昨日と違って、街周辺の森や川辺りの依頼を受ける予定にしている。

 昨日は街の様子を見たり、市場や店の場所を確認するために街中での依頼を受けたから、今回は街の外での採取を中心に依頼を受けてこの辺りの地形に慣れたり、目ぼしい素材があればゲットしようという話になった。

 到着して早速掲示板を確認。

 冒険者ギルドの掲示板は一日一回、朝の時間帯に新しい依頼書が貼られるため、朝一は冒険者でごった返すそうだけれど私達はあえて忙しい時間帯を外して来ている。

 まずは依頼を受けてこなすというルーティンに慣れるのと、競争率の高い依頼を受けて他の冒険者から目をつけられないようにするためだ。

 目ぼしい依頼書は既に無くなったであろう掲示板に残っている依頼は、報酬が少なかったり、手間がかかりやすかったり、常に依頼を出しているからといった理由で残っているものが大半を占めている。

 猫耳型イヤーマフ化しているコロの助言を受けて、一枚の依頼書を剥がして受付カウンターに持っていこうとした時だ。

「おはようございます、エニカさん。昨日ぶりですね」

 さっきまで冒険者の対応をしていたデュランタさんが声を掛けてくれた。

「デュランタさん。おはようございます。昨日は公衆浴場でお世話になりました」

「いえいえ、お会いするとは思わなかったのでびっくりしましたけど、エニカさんと一緒に過ごせて()かったですよ」

 ん?何か言い方に違和感があった気がするけど⋯気のせいかな?

「そ⋯うですか?そう言ってもらえて私もホッとしました。せっかくのお休みを邪魔しちゃったんじゃないかなと思って。」

「いいえ!むしろ充実した時間を過ごせましたよ!  

 エニカさんとも仲良くなれましたし⋯ね」

 チラリ、と流し目で私を見るデュランタさん。

 色っぽい仕草に同性だけどちょっとドキッとしちゃったよ。きっとデュランタさんにその気は無いし、茶目っ気のつもりで言ったと思うけどさ。

「デュランタさんからそう言ってもらえて私も嬉しいです。でも、昨日は色々良くしてもらったのに、十分に挨拶やお礼も出来ないまま別れてしまってすみませんでした」

 一緒にお風呂に入った後、実はデュランタさんからご飯に誘ってもらってたけど、待たせていたソイルとヒサメが気掛かりでお断りしていた。

 ちなみにコロは入浴中、霊属性の魔力が続く限りデュランタさんへの怨嗟の声と発狂する声が聞こえていたのも理由の一つにある。

「それはお気になさらないで下さい。

 従魔の皆さんと来られていたのなら、皆さんの方を優先されるのは当然だと思います」

 微笑みながら答えるデュランタさん。大人の対応だ⋯

「でも、もしエニカさんさえよろしければ、機会があれば一緒に()()お食事やお風呂に行きませんか?」

「それはデュランタさんが良ければ⋯」

「はいはい、デュランタいつまでエニカさんを口説こうとしてるの!エニカさん、依頼書を持ってるじゃない!邪魔しないの!他の冒険者の対応だってあるから戻って戻って!

 いつまでもデュランタが足止めしてすみませんでした!私が代わりに対応出来ますのでこちらへどうぞ!」

 ぜひご一緒に、と言いかけたところで昨日対応してもらったクララさんが間に入ってきた。

「邪魔や足止めしようなんてしていないわ。

 でもお話に夢中になっちゃってごめんなさいね、エニカさん。依頼書は私の方ですぐに対応致しますね」

「対応する気があるなら最初からちゃんとしなさいよもう⋯」

「えっと、依頼書の方はお願いします、デュランタさん。クララさんも気に掛けて下さってありがとうございます」

「承知致しました。ただ今対応致しますね」

「いえいえ!デュランタの対応に不備がありましたら、いつでも私でも他の職員でも良いのでご相談して下さいね!エニカさん!」

 デュランタさんは粛々と、クララさんはやれやれといった様子で小さく溜め息をついた後、パッと切り替えてお辞儀をしてからカウンターに戻っていった。 

「もうクララったら失礼な子ね。好き勝手言ってくれちゃって。

 お待たせ致しました、エニカさん。こちらの依頼書の受付をしております。依頼の詳細に関するご説明を致しますね」

「よろしくお願いします」

 デュランタさんから詳細を聞いてサインをしてから、街の外の依頼先へ向かうこととなった。


――――――


 冒険者ギルドを後にして、街を出る前に門番さん(今日は担当者がローボルさんとヒュースさんじゃなかった)に冒険者タグを見せながら依頼のための一時的な外出であることを伝え、無事許可を貰ってから依頼先へと足を運んだ。

 街から歩いて大体30分ほど経った辺りで辿り着いた場所は、つい最近までみんなと歩いてきた森の中を流れる川の岸辺だ。

『エニカ様!エニカ様をあの緑人種が口説いた瞬間、何とか辛くも燃やさず自制することが出来ました!』

「エニカ姉様!あの女がいやらしい目で見た時に凍らさなかったよ!我慢出来たよ!」

「ピギャッ!ピギャピギャッ!」

 周囲に他の冒険者などがいないことを確認してから、みんなそれぞれ話し始めた。

 みんな本当にデュランタさんと相性悪いみたいね⋯ 

 あとクララさんは冗談で言ったとは思うけど、デュランタさんが私を口説くって何かな?そんなことして無かったと思うんだけどね。それは置いといて。

「よしよし、みんな我慢して偉かったよ。ご褒美も忘れてないから安心してね」

『ありがとうございます!!』

「楽しみにしてるよ!!」

「ピギャッ!!」

 イヤーマフに徹しているコロと街中で大人しくしていたソイル、ヒサメをそれぞれ撫でながら声を掛ければ、嬉しそうに返事をしてくれた。

「でもご褒美前にみんな一仕事頑張ってこうか」

『はい!』「うん!」「ピギャァ!」

 今回受けた依頼は、『水属性の魔石を決められた一定量集めること。質は問わないものとする』。

 成功報酬は銀貨五枚。でも報酬の割に地味にハードな仕事だとコロから聞いたから心してかかるつもりでいるよ。

次回更新日は3/21の予定です。

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