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第八十九話 街の宿屋にて

『ううっ⋯私がついていながら無防備なエニカ様が緑人種の女の手によって乱され汚されていく様をただ見ることしか出来なかったなんて⋯何と情けないことでしょうか〜〜〜!!エニカ様と距離がやたらと近かったがために始末も出来なかったとは⋯!!』

「ボクとエニカ姉様を説明事項とやらで引き離すだけじゃ飽き足らず、エニカ姉様の生まれたままの姿を薄汚い有象無象に晒させたり、よりにもよってあの緑人種の女に絡まれる隙を作るだなんて⋯公衆浴場って非道で危険な場所なんだね⋯」

「ピギャピギャァ⋯」

 公衆浴場でのデュランタさんとの入浴後、頼んでいた洗濯物を受付で受け取ってから着替え、浴場を出てデュランタさんと別れた後、ソイルとヒサメを迎えに行った。

 従魔専用の待機スペースの片隅でソイルは崩れた砂山のように平べったく、ヒサメはいわゆる体育座りで膝に顔を(うず)めて突っ伏しているのが見えて、明らかに不貞腐れて落ち込んでいるのが分かった。

 ちなみに二人とも、最初は呼んでも来なかったからへそを曲げてるかもと思いながら側まで来たら、秒で抱きつかれて「寂しかったよエニカ姉さ⋯良い香りがする。このまま姉様と溶け合いたい⋯」「ピギャアァ⋯」とか言って寂しがってたのがすぐ分かったから、そのまま真っ直ぐ裏の小路亭に戻ることにして今は部屋で休んでいる。

 部屋から戻って鍵を閉めた瞬間に、コロはすぐ元の姿に戻って嘆き、ヒサメはプチ闇落ちして、ソイルは二人の意見に同意しつつ砂山フォルムに戻っていた。

 ⋯うん、正直誰からどう声掛けしようかな。

 宿に戻ったら初任務達成のこととか、突然の雨でもコロの判断とソイル、ヒサメの協力で公衆浴場に連れてきてくれたり待っててくれたから、そのことで褒めたり労ったりしようと思っていたけど⋯流石に何のフォローもなしに突然褒めたり労ったりしても実感が薄れちゃうと思うんだよねきっと。

 とりあえずまずコロから。その言い方をしたら二人ともデュランタさんや公衆浴場のことをさらに誤解して悪印象を持ちそうだから、せめて訂正を試みよう。

「コロ。心配してくれてたのは嬉しいけど、そんな言い方になるようなことはデュランタさんにされてないよ。

 逆にデュランタさんから付きっきりで公衆浴場の使い方とかルールとかを教えてもらったり、桶でお湯をかけてもらったり、髪や身体を洗ってもらったりしてだけだから。」

「コロ君、エニカ姉様の言っていることが事実なら、君がいながら緑人種の女の付きまといを許した上に、エニカ姉様に軽々しく触れさせたってことで間違いないんだね?」

「ピギャァ?」

『ええ。間違いございません。

 私が間近におりながら、あの女の手がエニカ様のつむじから爪先に至るまで白い物体で(まさぐ)り、全身が赤く色付くまで熱を与えられるエニカ様の痛ましくも淫靡的なお姿をただ見守ることしか出来ませんでした⋯あの時のエニカ様を見るあの女の視線と笑みは、悦びに歪んだ悍ましいものでしたよ⋯』

 コロ、それただ髪とか身体を石鹸で洗ってもらって、最後にお湯をかけてもらった時のことだよね?

 何でわざわざ遠回しな表現で悔しそうに言うのかな?しかもデュランタさんのそんな凶悪な表情でいたのも想像つかないし。

 しかもヒサメとソイルも厳しい目でコロを見てるのは何で?

「コロ君がいるからと思って送り出せたのに、エニカ姉様に触れた汚らわしい女の目や手の始末すら出来なかったなんてね。正直残念に思ったよ。

 だけど、それは今回付き添いすら出来なかったボクとソイル君にも言えることだ。

 色んな事情で全員エニカ姉様を守るために動けなかったのは痛手だったけど、 今回の反省を元にみんなであの女を始めとする不届き者をどう始末するか⋯一緒に考えていかないとだね、コロ君」

「ピギャッ!」

『ヒサメ⋯ソイル⋯お二人からそう言われるとは私もまだまだです。

 しかし、お二人の力を貸して頂けると心強いです。よろしくお願いしますね』

「ああ、勿論!」

「ピギャァ!」

「あ、みんな良いところで話が終わった?

 今日は初任務を無事に達成できたのと、公衆浴場でみんなに待たせたりとかしちゃったから、みんなへのご褒美を考えてるんだけど何がいい?」

『エニカ様からのご褒美ですと!?』

「何をどこまでおねだりしていいんだい!?」

「ピギャァッ!?」

 気付けばみんなして爽やかに物騒な計画を立てそうな勢いだったから、ちょっと無理やりだけど話題転換を図った。

 みんなご褒美のことで目を輝かせてるから策は成功したみたいでホッとしたよ。

 みんなの希望を聞いた後、夕ご飯を食堂で頂いてから明日の予定などを確認して床に入った。

 明日は朝から冒険者ギルドで今度は街の外での依頼に挑戦、その後に買い物に行く予定にしている。

 街の外での依頼と買い物は、()()()()()()()()()()()()()()()()()、明日こそは今日の通り雨のようなイレギュラーがなく、無事に予定が進められたらいいな。

 そう思いながら眠りについた。








「エニカ姉様は眠った?」

『はい、命属性の魔法で確認しましたがぐっすりとお休みになられていますよ』

「それなら安心したよ。じゃあ今夜はボクたちの大切なエニカ姉様を掠め取ろうとする手癖の悪い盗人の確認と始末を改めて考え直そうか?」

「ピギャァ」

『ただその前に⋯少々()()()をしてきても構いませんか?』

「ピギャッ!」

「了解。見つからないようにね」

『ええ。それは勿論です。行ってまいります』

次回更新日は3/19の予定です。

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