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第八十四話 依頼先にて

 ファレスタに到着して翌日。

 裏の小路亭で朝食を食べてからコロ達と冒険者ギルドへと足を運んだ。

 昨日は宿屋の部屋に辿り着いた瞬間に寝てしまい、夜中に起きて簡単に寝支度を整えたりして、またすぐにベッドに入ることになったけど、不思議とグッスリよく眠れて目覚めもスッキリしたものだった。

 ⋯コロ、ソイル、ヒサメの三人が隣のベッドから熱い眼差しで寝ていた私をガン見していたから、昨晩のドアップ以上に驚いて意識が覚醒したとも言えるけれど。

 ドアップの時はまだみんな私に声を掛けてくれてたし、前にコロから似たような起こし方をされたからまだ耐性があった。

 けど今回は『朝日に照らされながら寝台で眠るエニカ様の何と神々しいことでしょうか⋯』「ピギャァ⋯」「こんなに長い時間、無防備なエニカ姉様の寝姿を拝めたことは初めてだよ⋯このままここでエニカ姉様を眺めて愛らしさを讃える生涯を送りたい⋯」と呟きながら、瞬きせずにそれぞれ自分の世界に浸っていたのが言葉に出来ない怖さがあったよほんと。

 それは置いとくとして、身支度を整えた後、クリストフさんの作って下さった朝ご飯(今朝は黒パンとベーコンエッグとミネストローネのようなスープ、昨晩はジャガイモのポタージュみたいだったけど、どちらも大変美味しかった)をしっかり食べてお礼を伝えてから冒険者ギルドへと訪れている。

 今日予定しているのは、街中でこなせそうな依頼を受けて、夕方までに依頼が終わるようだったら余った時間で市場を見て必需品の買い物をすることだ。

 最初は朝から買い物しようかと思ったけど、昨日ギルドで見た依頼の一つに「買い出しを手伝ってもらいたい」という依頼があったから、その依頼でこの世界の物価を確認して、手持ちのお金で事足りるかを確認してからでも遅くないと思ったことをみんなに伝えてから今に至る。

 早速、ギルドの掲示板に貼ってあった依頼書を二枚、剥がしてカウンターに持っていくことにした。

 依頼書の内容は、一つは買い出しの付き添い依頼、もう一つは畑の収穫と土の手入れの手伝い依頼。

 報酬は買い出しの方は一回銀貨二枚で期間は常時受付可能、畑の収穫と土の手入れは少し高くなって銀貨四枚で期間は春の緑月中、と内容によるとはいえ討伐や採取依頼などと比べれば少し安値だけど、初めて受ける依頼としてはうってつけじゃないかなと思った。

 買い出しの付き添いは意外と力持ちなヒサメ、畑の収穫と土の手入れはソイルが適任じゃ無いかなとも思ったしね。

 依頼の話は昨日の時点でみんなに話して同意を貰っているから大きな問題はなし。

 余談だけど、畑仕事の依頼書の期間の欄にあった「春の緑月」はエターナレンにおける暦の呼び方の一つで、エターナレンにも元の世界のように一月から十二月まで暦月が定められているとコロから聞いた。

 初めの月からあえて日本の暦と照らし合わせて時節を説明すると、三月頃が「春の桃月」、四月頃が「春の緑月」、五月頃が「春の青月」、六月頃が「夏の白月」、七月頃が「夏の金月」、八月頃が「夏の橙月」、九月頃が「秋の赤月」、十月頃が「秋の茶月」、十一月頃が「秋の藍月」、十二月頃が「冬の銀月」、一月頃が「冬の紫月」、二月頃が「冬の黒月」という呼び方があるとのこと。

 今日は確か春の緑月の10日目。

 どうやって今日の日付が分かったかと言うと、この世界ではとある二日間を除いて、十二ヶ月全てが基本一月に三十日の周期で月が切り替わるけれど、暦を確認するにはカレンダーは存在しないことを聞いた。

 その代わりに街や村には必ず「暦番(こよみばん)」という役職があって、街なら役場、村なら村長宅などその街の中核機関となる場所に、その日が何月の何日目かを羊皮紙で毎日正確に記している。

 そのため、誰もが日にちを確認できるようになっていて、今日も冒険者ギルドに向かう途中、役場の掲示板で日にちを確認することが出来た。

 つまり畑仕事の方の依頼書に記載してある期限は、今月中に依頼したい旨が記載されているということだ。

 依頼の受付は、昨日から対応してもらっているデュランタさんにお願いするつもりだったけど⋯

「あれ?今日はいない⋯?」

 他の受付カウンターには昨日見かけた他の職員さんはいたけど、昨日デュランタさんがいたカウンターには小人の可愛らしい別の職員さんが受付をしていた。

(『昨日の緑人種の受付職員は休みのようですね。他の職員のところで依頼をしましょうか』)

 コロの言葉に右耳を触れて答えてカウンターに並ぶことにした。


――――――


「おはようございます!あら?貴女は昨日登録されていた方ですよね?デュランタが対応していた⋯

 本日はデュランタが休みですので私、クララが対応致します!よろしくお願いします!」

 今日対応して貰える職員さんは、クララさんという元気があって溌剌(はつらつ)とした対応をされる笑顔の可愛い金髪碧眼の小人の女性であった。

「おはようございます。エニカと言います。昨日からお世話になっております。改めてこちらこそよろしくお願いします。

 早速ご相談なのですが、こちらの依頼書にあります依頼を受けたいと思っているのですが、ご相談させてもらってもいいですか?」

「かしこまりました!大丈夫ですよ!

 依頼書の確認後、依頼の詳細をご説明致しますので受注が可能と判断されましたら、依頼書にエニカさんのサインをお願い致します!」

 クララさんから二つの依頼の詳細を確認した時だ。

「この場所は⋯」


――――――


 あの後、クララさんの説明を聞いてから、依頼を受けるために必要なサインをして、冒険者ギルドから依頼先へと向かった。

 その場所はと言うと⋯

「あら、お帰りなさいエニカさん。お仕事の方がもう終られたのかしら?」

「えっと、実を言うと冒険者ギルドで受けようとした依頼先がこちらになっていたので来ました。

 冒険者ギルドでお買い物の付き添いと畑仕事の依頼を出されていませんでした?」

「あらまあ、エニカさん達が依頼を受けてくれたのねぇ。嬉しいわ。ねぇクリストフ」

「⋯ああ、よろしく頼む」

 私達が確認していた依頼の主は、裏の小路亭のマーサさんとクリストフさんからであった。

次回更新日は3/8の予定です

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