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第五十七話 雨宿り先にて

 みんなと川で大ガラスの肉を捌いた後、コロが空から確認した大まかなルートに沿って街へ向かうことになってから二日後。

 途中で休憩を挟んだり、魔物の出現に対処しながらも順調に進んでいた。

 このままスムーズに街まで行ければいいな、と思ったけど中々思い通りにはいかなかった。


 ポツッ ポツポツッ ポツポツポツッ⋯

 ザァァァ⋯ ザァァァ⋯


「やっぱりヒサメの言った通り、降り出してきたね」

「この辺りの森の天候なら大体だけど分かるから任せてよ」

『先程まで晴れていましたが、瞬く間に曇っていったので本格的に降られる前にこの洞窟を見つけられて幸いでした。

 ソイルも先に偵察をして頂きありがとうございます』

「ピギャッ!」

 昼食後、変わらず街へ向かって森の中の道無き道を歩いていた最中、ヒサメから「風の温度が少し冷たくなった。近いうちに雨が降るかもしれない」と言われて、少し早めに野営地となる場所を探すことにした。

 コロが今いる場所、大きな樹の根に覆われた洞窟を見つけて、ソイルに地面に潜って洞窟内の様子を見てもらって安全を確認してから洞窟に入れば、間もなくして雨は振り始めた。 

 洞窟の出入り口は私とヒサメは少し屈まないと入れないぐらいの高さだけど横幅は広く、中に入れば意外と奥行きがあり、天井も私とヒサメが余裕で立てるぐらいの高さがあった。

 ソイルに中を確認してもらっているから大丈夫だと思うけど、他の魔物の巣穴になっていなくて本当に良かったよ。

『ソイル、偵察を依頼したばかりのところ申し訳ありませんが、雨風がなるべく入りこまないよう、出入り口を完全に塞がない程度に石壁を造ってもらってよいでしょうか?』

「ピギャッ!」

 ソイルは一つ頷くと、洞窟の出入り口の横幅いっぱいに土壁を展開してすぐ、壁の素材を土から石へと変えた。

 勿論、空気穴や見張りが出来るぐらいの隙間をちゃんと残して造っている。

 最近のソイルは魔力の質が私と同じレベルまで引き上げられたことで、土だけでなく石や砂など、大地に関わる材質のものであれば変化させることが、いつの間にか出来るようになっていた。

 ソイルの成長が本当に凄い⋯でも、もしかしたら練習すれば私も材質変化が出来るようになるのかも⋯?

『エニカ様。今晩の野営は洞窟内のため火の使用は控えた方がよろしいかと思いますが、お夕飯はいかが致しますか⋯エニカ様?』

「あ⋯ゴメンねコロ。ちょっと考え事しちゃってた。

 今日の晩ご飯のことだよね?こないだのカラス肉と最近採れた実を食べようと思ッてるんだけど、食べる前にお手伝いをお願いしていい?」

『勿論ですエニカ様!』

「あ、ズルいよコロ君!ボクも手伝よエニカ姉様!」

「ピギャピギャ!」

「みんなありがとうね。でも今日は冷凍していたお肉を鍋に氷水で浸して解凍したりとか、食べる前に実を洗ったりとか、カラス肉に少しだけ熱を通してもらうぐらいだから、そこまですることは無いけれど⋯お肉の解凍はソイル、実を洗うのはヒサメ、お肉の温めはコロにお願いしていい?」

『承知致しました!エニカ様!』

「分かったよ、エニカ姉様!」

「ピギャァ!」

「よろしくね。コロ、ヒサメ、ソイル」

 ここだけの話、一見すると和やかな雰囲気で決められた「お手伝い」は、割り振りや手伝ってもらう配分に気を使って決めるようにしている。

 早く終わるお手伝いしか頼んで無かったりとか、誰かが時間のかかる仕事を任されたりしていると、誰かしら「もっと役立てるのに⋯」と言わんばかりの、と言うより本当に口に出しながら悲しそうな目で見てくるからだ。

 みんなの気持ちは本当にありがたいけど、こんな気の回し方は初めてだよ⋯

 そう思いながら、肩掛けバックから必要な荷物を取り出そうとした時だった。 

「ピギャ?ピギャッ!ピギャァ!?」

「どうしたんだい?ソイル君?あれ?」

『貴方が自らそのように声を出されるとは何が⋯これはっ⋯!?』 

「どうしたの⋯え?」

 いつもは自分から声を出すことは多くないソイルが慌ててるような声を出していることに、私たちも異変を感じてソイルの見ている方向に目を向ける。

 そこには、つい先程ソイルが造ってくれた石のバリケードが綺麗サッパリ無くなっていたのだ。

『全員すぐに出入り口付近に集まって下さい!!緊急事態です!!』

「分かったよ!エニカ姉様走れるかい!!」

「う、うんっ⋯!!」

「ピギャ!ピギャッ⋯!?」

『やはり⋯!ソイル!

 現時点でこの洞窟内の地面は使()()()()()()()()()()()()()()()!!自力での移動手段が必要になりますよ!!』

「ピギャッ!?⋯ピギャァ!!」

 この短時間で何が起こっているのか。私にはすぐに理解することは情けないけど出来なかった。

 ただ一つ分かることは⋯

「ピギャァ!!」

 いつもなら短い距離であればモグラみたいに潜って移動するか、地面を波のように盛り上がらせてサーフィンみたいに移動していたソイルが新しい移動方法を自ら編み出した。

 身体を瞬時に丸め、丸くなった底部分に四つの小さな足が飛び出す。

 そこから胴体となる部分を楕円形に伸ばしたことでコロは素早く、小回りが利く身体を手に入れた。

 小さな砂山のような姿から一転、モルモットのようなフォルムとなったのだ。

 こんな時じゃなければ褒めたり愛でたりするものを⋯!!

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