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第五十五話 川近くの野営地にて4

「あの、コロさん?期間の話をするのに打ち上げるってどういう意味かな?」

『説明不足で申し訳ありませんエニカ様!

 簡潔に申しますと、私を空に打ち上げてもらうことで現在地と街までの大まかな距離を確認し、そこから目安となる到着期間を計算したいと考えております』

「そんなこと出来るの?」

『はい!では早速実践致しましょうか。

 ソイルかヒサメのどちらか、今お話しした通りのことをしたいと思いますので、打ち上げの協力をお願い致します』

「ピギャッ!」

「ソイル君早かったね。そしたら頼むよ」

「ピギャァ!」

 コロの依頼に素早く手を挙げたのはソイルだった。  

 ヒサメも協力してもらえそうだったけど、今は体力魔力を温存してもらうようにしよう。

 でもヒサメは分かるけど、ソイルに打ち上げてもらうってどうやって⋯

「ピギャッ!」

 そう疑問に思ってたら、ソイルが一声上げて突然地面に潜り込んだ。

 ソイルが潜った地面はすぐに盛り上がっていき、段々と大きな人型となった。

「ソイル!?そうやって大きくなってたんだっ!?」

「ギギィ」

 低く落ち着いた声で頷くソイル。

 身体が大きくなると声だけじゃなく動作も大人っぽくなるんだね。

『準備が出来たようですね。ではソイル。お願いします』

「ギィ!」

 大きくなったソイルが差し出した手にコロが飛び乗る

 その瞬間、ソイルがおもいきり垂直にコロを飛ばした。めちゃくちゃ剛速球で。

「⋯⋯コロを飛ばし過ぎてない?ソイル」

「ギィ?」

「そうかい?この辺りの森は高い木が多いから、それなりに高く上げようとしないと木の上まで上がらないんじゃないかな?

 それにコロ君ならエニカ姉様がいるから意地でも帰ってくるよ!殺しても死ななそうだし!」

「ギィ!」

「えっ」

 二人ともそんな軽い認識でいいのっ!?ヒサメの言葉に説得力はあるけれども!!

「そ、そういうもの⋯?でも、コロが戻って来るのちょっと遅くない?」

「言われてみればそうだね⋯もしかして木に引っ掛けてちゃってないかい?ソイル君」

「ギィ?」

 空へと高く打ち上げられたコロを確認しようと、みんなで上を向いた時だった。

「っ!? 何か大きいものが落ちてくる!!エニカ姉様こっちへ!!ソイル君頼んだよ!!」

「ギギャァッ!!」

 異変を感じ取ったヒサメとソイルが咄嗟に動いた。

 ソイルは落下物に備えて土壁を高く作り上げ、ヒサメは私をお姫様抱っこで抱えて即座に元の地点から距離を取った。

 次の瞬間、ズゥンッと重たいものが落ちてくる音が響いて聞こえてきた。

「ソイルっ!!コロっ!!」

「エニカ姉様落ち着くんだ!声を聞いて襲ってくるかもしれない!⋯様子を見て近付いてみようか」

「うん⋯」

 ヒサメと顔を見合わせながら頷く。そんな時だった。

「ピギャ!ピギャ!」

「っ!? ソイルの声⋯!?」

「声からして元の大きさに戻っているみたいだけど、ソイル君は無事のようだ!近づいてみよう、エニカ姉様!」

「うん!」

 ソイルの無事が分かったのは安心したけど、コロは大丈夫かな⋯?


――――――


「ピギャッ!!」

 ヒサメと一緒に土壁の側まで来ると、小さくなったソイルが土壁の外側にいる姿をすぐに見つけることが出来た。

 魔法で土壁を作るために、大きくしていた身体を取り崩したようだったが、特別変わりは無いようだ。

「ソイルっ⋯!無事だったんだね!?良かった⋯!!」

「ピギャァ⋯ピッ!ピギャッ!」

 私がソイルの名前を呼んだ時、ソイルは一瞬瞳を潤ませかけてたけど、すぐに真剣な表情に戻った。

 小さくなった手でソイルは土壁を指差す。土壁の向こう側は不気味な程静かだ。

「⋯土壁の内側はボクが確認しよう。ソイル君は土壁を保ったままエニカ姉様を守ってくれないかい?」

「ピギャッ!」

「ヒサメ⋯無理をしないでね」

「様子を見ながらだけど、なるべくどんな状況か伝えるようにしようと思う。

 だけど、危ないと思ったらすぐに二人を連れて逃げるようにするよ。⋯じゃあ、行ってくるね」

 そう言ってヒサメは土壁を軽やかに登っていった。

 ヒサメもコロも何事もありませんように⋯!

「エニカ姉様、ソイル君、聞こえるかい?」

 壁をあっという間に登りきると、ヒサメは私たちの方を向いて声を掛けてきた。

「私は聞こえるけどソイルは⋯ソイルも聞こえるね。ちゃんと聞こえてるよ」

 ソイルが頷いたのを確認してからヒサメへ返事をする。

「分かったよエニカ姉様、ソイル君。それじゃあ話を続けるね。

 今壁の内側にいるのは死にかけたジャイアントクロウだ。落下の衝撃で翼が折れているようだけど、何故か頭から喉辺りにかけて焼けてるのか、焦げて煙を出しているよ」

 うわぁ⋯想像するだけでグロいよ⋯でも、そんなことをしそうなのって⋯

「!? ジャイアントクロウの口の辺りから何か出てきそうだ!⋯心当たりはあるけど、念の為用心しとくね」

 そう言うと、ヒサメの右手から鋭く尖った氷柱状の氷が出てきて構える。

「出てくる⋯!」

 下から見上げても美しいヒサメの横顔に真剣さが帯びる。



『ソイル〜〜〜!!!高く打ち上げ過ぎですよ〜〜〜!!!ジャイアントクロウに食べられたではありませんか〜〜〜!!!』


 土壁越しに聞こえたのは、聞き慣れた高い声だった。コロっ⋯!!やっぱり無事だったんだ⋯!!

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