第四十三話 森の中にて8
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ウンディーネちゃんが去ってしまった後、コロから少々話があります、と凍っていない木の下でコロの話を聞くこととなった。
『エニカ様⋯倒れていたウンディーネと遭遇した時、突然近寄られた上に、そのウンディーネが目を覚ましてエニカ様に触れようとした時には、強くお止めしなかったことを後悔致しました⋯今回そのことで改めてご注意をしようと思いましたが、一先ず置いておきます』
「⋯うん」
『エニカ様をお守りするように指示をしたのは私ですが、ソイルが宙へエニカ様を打ち上げた瞬間を目の当たりにした時には、エニカ様に万が一のことがあれば私とソイルの命を持って償わなければならないことを覚悟致しました⋯でもそのような私の気持ちとソイルの末路のことも一先ず置いておきます』
「⋯うん」
「ピギャッ!?」
『ウンディーネの自ら魔核を見せた決意と覚悟を見受けて、改めてエニカ様との顔合わせを許可致しました。
⋯⋯私はそのことで大変後悔をしております。
あのウンディーネが何の魔物か判明する前より、お会いしたばかりのエニカ様へ並々ならぬ想いを抱いている様子であることに気付きながらも、様子を見て牽制しながら必要時は始末をするのみ、と独断で判断していたため、結果的にエニカ様を危険な目に合わせただけでなく、あのウンディーネも半端に傷つけてしまいました。
⋯⋯申し訳ございません』
「⋯ううん。コロが謝ることじゃないよ。
コロ、私にウンディーネや水精?型の魔物のことを何回も話に出してくれていたし、私がウンディーネちゃんのことを気にしてたからソイルと一緒に様子を見ててくれたんだよね?
本当だったらウンディーネちゃんの様子を見てたり魔物としての特性を知ってたら関わること自体危ないことだったし、下手したら私だけじゃなく二人のことも危険な目に合わせるところだったんだと思ったら、私の方が考えが足りなくて悪かったなって⋯」
『そのようなこと⋯!』
「ピギャ⋯」
「ウンディーネちゃんが人間の女の子みたいな見た目をしてたのもあったから、同性の女の子と話せたと思ってちょっと浮かれてたみたい⋯⋯
初めはあの子の目が覚めた時、魔物だからこれ以上関わるのは良くないって少しは用心しようとする気持ちになってたけど、あの子が自分で胸を開いて魔核を見せた上で「何時でも見せる」「壊されたって構わない」って本気で言っているのを聞いたら、ここまで体を張って証明するのなら心のどこかでこの子なら信頼出来そうだと思っちゃったんだ。
⋯⋯あの子の境遇を考えたら刷り込みかもしれないって思ったけど、従魔にして欲しいって言われた時は、性格や特性とかよく考えないで同性の仲間が出来たら嬉しいって単純に考えちゃったしね。
だから、今回みたいに人型とか私と同性の魔物とかと出会った時に、私が相手に心を許しきってたらまた説明してもらったり、必要があれば止めてくれたらありがたいな」
ウンディーネちゃんと従魔契約して仲間に迎えるかはともかく、同性の仲間が出来ることに嬉しさを感じていたことと、同性や人型であることに私が安心しきっている場合にコロとソイルに客観的に見てもらって、必要時はストッパー役になって貰いたいことを改めて二人に伝えた。
そうしとかないと、今回のように言葉を理解できるぐらい頭が良く会話も出来る出会ったばかりの魔物に対して、人間の女の子と話すような軽い感覚で接していたことは否定出来ないし、もし相手が騙すつもりでいたら私は簡単に引っかかっていたのが目に見えているからだ。
だけど、それはそれとして性格や特性なども踏まえて、従魔契約を行う相手を考えた方が良いことは頭では分かっているけれど⋯
走り去っていったウンディーネちゃんの泣きそうな顔が、ずっと脳裏をチラついていた。
『エニカ様のご意向は承知致しました。
しかしエニカ様。エニカ様はあのウンディーネのことをいかが思われますか?』
「えっ?」
意外なことに、ウンディーネちゃんの話題をコロから振ってきた。
「あの子のこと?いかが思われますかっていうのは、どういうこと⋯?」
『申し訳ありません。このご質問だと逆にお答えし辛かったですね。改めてお尋ね致します。
エニカ様はあのウンディーネと従魔契約をしたいと思いますか?
それとも契約をせずに、このまま旅を続けますか?
エニカ様の率直なお気持ちを我らに教えて頂きたいのです』
コロの質問に目を見開いた。
色々理由はあるけれど、今までのコロの様子からウンディーネちゃんを仲間にすることは快く思っていないと思っていたし、ウンディーネちゃんも実際の攻撃まではしていないけど、特にコロへの敵意を剥き出しにしていた様子は目の当たりにしていたから、仲間に出来ないと判断してこのまま旅に戻るものだと思っていた。
コロの質問の意図は読み切れない。だけれど、私が出した答えは一つだった。
「ウンディーネちゃんのこと、出来ることなら私は従魔契約をして仲間になってもらいたいと思ってる。
だけど仲間や従魔契約云々の前に、もう一度、よく話をしたいよ。みんなでね」
従魔契約をしてほしいと願ってくれたウンディーネちゃんと、気の緩んでいた私を守ろうと心配して警戒していたコロと、私を守ったり意を汲んでくれたソイルと、ウンディーネちゃんがどんな想いを持っているかを知らないといけない私と、で話さないとだったね。




